第2話 桜子の親友と秘密にしている事
ドベドベ動画の事に関しては学校でも広まっていた。
どういう広がり方かというとまあ簡単に言えば巷で有名になっている動画配信者、的な感じで、だ。
一躍ときの人、的な感じで有名になっている。
俺はその感じを見ながら欠伸をしながら窓から外を見る。
外では.....今日も雨が降っていた。
「ね。邦明くんも見た?」
「.....ああ。佐藤.....」
佐藤凛峰(さとうりんほ)。
今目の前に居る学級委員で美少女の女の子。
栗毛色のウェーブの掛かった髪型をしているが.....珍しく学級委員だ。
俺はそんな佐藤に、今話題になっている動画の事か?、と聞いてみる。
すると、うん、と返事をしてきた。
「.....いや。俺は観てないな。あまりそういうのに興味がないから」
「そっか。.....そうだよね。.....邦明くんってそういうタイプだから.....勉強頑張る感じだもんね」
「まあ勉強ばっかりじゃないんだけどな。.....でも確かにそうだ。.....あまり興味はないな」
「うんうん。.....まあそれが良い所ではあるんだけどね」
「.....?.....それはどういう意味だ?」
ハッとしてから、いや。何でもないよ、とちょっとだけ顔を赤くする佐藤。
因みにだが.....俺と凛峰はそれなりの仲である。
それは何故かと言えば簡単だ。
凛峰は今は居ないが桜子の親友だから、だ。
しかし桜子の親友だからと言えど佐藤にVチューバーの件は話してない。
これは何故かと言えば佐藤に迷惑を掛けたくないそうだ。
だから俺もそれには賛成してから一切話さない事にしている。
というかこの秘密はちょっとマズいと思う。
話してしまうと、だ。
「.....でも本当に君って勉強熱心だよね」
「それな。.....何だか俺は勉強中毒かもしれないな」
「.....勉強中毒.....羨ましいな。.....私は馬鹿な女の子だから」
「.....いや。お前は馬鹿じゃない。.....今だって委員しているじゃないか。ちゃんと」
「.....それは目標があったからだよ」
赤くなりながら言うのを籠る感じになる佐藤。
俺は???を浮かべながら、熱でもあるのか?、と訝しげに聞いたが。
佐藤は、あ、いや、何でもない!?、と手をバタバタさせる。
それから、じゃ、じゃあね、とそのまま手を挙げて去って行った。
取り残された俺は納得がいかない感じだったが。
まあ良いか、と思いながら外を見る。
「邦明」
「.....?.....桜子?」
「次の計画。.....色々考えたよ」
「ああ。そうなのか。どういう計画だ?」
「まあ色々だよ。後で話すね」
それから桜子は手を振りながらそのまま去って行く。
そして桜子は佐藤の元に向かう。
相変わらず仲が良い感じで話し始める。
俺はその姿を見ながら大欠伸をしてから。
そのまま次の時間になったので授業を受けてから.....頬を叩いた。
集中集中、と思いながら。
☆
「で?具体的にはどういう計画だ?」
「まあその.....夫婦な感じでやるんだったら面白い事はしたいって思う。だからこそ人に迷惑を掛けず.....やっていきたい」
屋上にてそんな感じで会話をする俺達。
俺は顎に手を添えながら、まあ確かにな、と答える。
すると、でしょ?、と桜子が向いてくる。
顔が近い.....。
「先ずはそうね。.....えっと.....恋愛テクニックとかね。良いかもしれない」
「.....恋愛テクニック?.....俺達はそんなの知らないだろ」
「まあそうね。.....だからこそイチャイチャするわよ」
「.....へ?」
「イチャイチャ。.....まあ正確には恋人擬きをするから」
「.....無茶苦茶だな.....お前」
無茶苦茶でも.....夢の為だもん、と言う桜子。
俺はその姿を見ながら、やれやれ、と息を吐く。
それから、まあ良いや。なら協力するよ、と切り出してみる。
すると桜子は、有難う邦明。.....何時も有難うね、と言ってくる。
「.....報酬とか要らない?」
「.....報酬って何の?.....要らないよそんなの」
「.....でもこのままだと何だか.....申し訳なく感じるんだけど」
「大丈夫だ。.....こういうのマジに楽しいしな」
「.....そう.....じゃあ今度何かお礼する」
そんな事を言いながら俺達は空を見上げる。
そこで俺はこんな事を考えていた。
俺って桜子が気になるのか?
そんな馬鹿な、と言う感じで。
まあこれは気のせいだな。
「そろそろ戻った方が良いかな」
「.....ああ。そうだな」
俺達はそう言いながらそのまま屋上を後にした。
ちょうどまた雨が降ってくる。
憂鬱な天気だけど.....でも何だか心は晴れやかだな。
そんな事を思えた。
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