第7話 キラキラグループ
キーンコーンカーンコーン
「はい、鉛筆置いて後ろから回収」
カラカラ、とシャーペンの音。
列の一番後ろの人たちが解答用紙を集める。
ありがとう、と言って解答用紙を渡す。
しばらくして、先生の指示で起立と礼をして、今日は終了。
ふう、何とか課題テストは終わった。
出来は良いと思う。
つまずいたところもなかったし、全部埋めれた。
このあとも終礼をして解散。
でも明日はまた別のテストがあるんだよね。
今日は火曜日だから休日はまだ先。
残りも頑張らないと。
私は教室を見渡す。
ももちゃんは……あ、いる。
帰るの、誘ってみようかな。
鞄を持って、ももちゃんの席に向かう。
「あ、あの、ももちゃん」
ももちゃんは帰る用意を止め、私を見る。
「……絵奈?」
どうかした?と聞いてくれた。
「あの、一緒に帰らない?」
ももちゃんの大きな瞳がさらに見開く。
あ、嫌だったかな……
「あっ、嫌なら嫌で、」
「いいよ。帰ろ」
そう言って、ももちゃんは少し微笑む。
ほわん、と温かいものが広がったような気がした。
「ももちゃん、帰ろ~」
あれ。
誰かがももちゃんを誘った。
か、かぶった、約束が。
「あ、莉緒」
莉緒、という子は肩までの髪をハーフアップにしていて、背は私と同じくらい。
何だか上品な雰囲気の子だ。
莉緒ちゃんは私に気づくと、あ、と気まずそうな表情になった。
「絵奈、莉緒もいるけどいい?」
気まずい空気に気づいたももちゃんが私に聞く。
「うん、全然いいよ」
私が答えると、莉緒ちゃんの表情が明るくなった。
「えと、西園さんだよね」
「うん。えっと……」
「
「あ、うん、莉緒ちゃん」
「あと、2人いるんだけど大丈夫?」
「え、うん……」
視線を感じ、莉緒ちゃんの後ろを見ると、キラキラした雰囲気の子が2人立っていた。
1人は長い髪をカールさせていて、すごく背が高い。
肌もすごく白いし、顔立ちがきれいだし、かっこいい雰囲気。
もう一人は黒髪をサイドポニーにしていて、前髪がすごくきれい。
ハーフっぽい顔で、可愛らしい子だ。
うわぁ……いかにもキラキラグループって感じの子たちだ。
「莉緒、その子も誘ったの?」
ロングの子が私をチラッと見て莉緒ちゃんに言う。
「うん。絵奈ちゃん、右が
きれいな子が彩花ちゃん、ハーフみたいな子が華音ちゃん。
「へえ、絵奈って名前なんだ」
彩花ちゃんが少し笑う。
「絵奈、めっちゃ可愛いよね~」
華音ちゃんがフレンドリーに話しかけてくれる。
すごいな、莉緒ちゃん、こんなきれいな子たちと仲良いんだ。
ももちゃんもモデルさんみたいに可愛いし、キラキラしてるグループだなぁ。
「じゃあ、帰ろっか」
莉緒ちゃんの合図で教室を出る。
「お腹空いた~」
「彩花、どこかで寄り道する?」
「んーどこで?」
「前教えた可愛いパン屋」
「じゃあ行こうかな」
華音ちゃんが彩花ちゃんにくっつきながら先頭を歩く。
仲が良いんだなぁ。
その後ろを私とももちゃん、莉緒ちゃんが歩く。
そういえば武尊……私が席を離れた時にはいなかったな。
何か用事があったのかな。
「そ、そういえばみんな、芸術選択何選んだ?」
莉緒ちゃんが話題をみんなに振った。
芸術選択っていうのは、音楽、美術、書道から一つ選べるの。
私は音楽にしたんだけど……
あ、武尊は何にしたんだろ。
明日聞いてみようかな。
先頭の彩花ちゃんと華音ちゃんが振り向く。
「私と彩花は美術だけど」
華音ちゃんが無表情で答える。
……何、今の。
「私は音楽だけど絵奈ちゃんは?」
「わ、私も音楽!」
「一緒だね!!」
良かった、仲間がいて。
「ももちゃんは?」
「書道」
へえ、書道なんだ!
意外だなぁ。
「……地味w」
誰かが笑った。
「えっ?」
華音ちゃんと目が合った。
今の……華音ちゃんが言ったの?
彩花ちゃんはもう前を向いてるし、莉緒ちゃんは焦ってる。
ももちゃんは何事もなかったかのように平然としてる。
華音ちゃんは、ん?と、聞くように私を見てニコニコしている。
……何、この雰囲気。
彩花ちゃんの口元だけ笑っていたことに私は気づかなかった。
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