第5話 消えない亀裂 side紘夢&武尊

『絵奈、と、武尊……?』



見るのが辛くてすぐあの場から逃げ出してしまった。

絵奈と、武尊が仲良くクレープ食べてた。

俺も前は行ってた。

2人……カップル、みたいだった。


しかも絵奈、すごく変わってたというか、すごく可愛くなってた。

最初見た時誰かわからなかった。

髪もきれいだし、肌も白くて……桃みたいな感じ。

武尊と出席番号が隣だってクラス表で知ったからああ、絵奈かってなったけどまさか3人同じクラスとは思わなかった。


武尊はもともとカッコいいし、優しいから絵奈とお似合い、だよね。

俺なんか釣り合わないや。


俺はハッとした。

既に付き合ってるのかもしれない。

あいつが引っ越してからも連絡してたんだと思う。

……けど、見てて辛い。


もう、関わらないようにしよう。

また……絵奈を傷つけるだけになるから。



『……ひどいよ……紘夢なんか嫌い!大っ嫌い!!最低!!!』



「……絵奈……」


ごめん、絵奈。

あの時、4年前あんなこと言って傷つけて。


ぴろん。


携帯の通知音が鳴った。

……武尊からだった。

てか何で俺の連絡先知ってんの。



『久しぶり、紘夢。元気にしとった?同じクラスでめっちゃ嬉しいわ~。絵奈も同じやねんで?また3人で遊ぼ―な!』



相変わらずの関西弁と明るいノリ。

そうだった、武尊は大阪に引っ越してたんだっけ。

全然連絡してなかった。



『久しぶり。元気だよ。また遊べたら良いね』



まあ、たぶん遊ぶことはないだろうな。

武尊は良いか、関わっても。



……絵奈からあの時のこと、聞いてないよね?



いや、聞いてたら連絡は来ない。

俺が悪いんだから。



『そうかそうか良かった。んで、明日課題テストあるやん?総合得点負けた人が1位の人のクレープおごるっていうルールやねんけど紘夢もやろうや!』



……は?

いつの間にそんな話に?

てか、



『絵奈も参加するねん。絵奈マジで賢いから本気でやらなあかんよなあ』



ドキッとした。

絵奈、も参加するんだ。

……どうしよう。


けど、これを機に仲直りできる、かもしれない。



『そっちが良いなら』



携帯を机に置く。

……俺も、あいつに負けたくない。




『そっちが良いなら』



おっ、よし、返信来た。

しかも参加してくれる。

友達たどって紘夢の連絡先をゲットした。


俺も明日のために勉強せな。

間違ったところ、やってみよう。

基本問題は絶対落とさんようにせな、もったいない。

それに、紘夢には絶対勝ちたい。

絵奈は……俺負ける気がするけど勝ちたい。



それより……紘夢と絵奈に何が起きたんかな。



絵奈は「クラスが離れたからほとんど話せんかった」言うてたけど……あれ、嘘よな。

絶対なんか隠してる。

やなかったらあんな固まらへんし。

……絵奈が変わったのと関係がある……?


からしっかり話聞かなあかんかもなあ。


明日は……絶対勝つ。

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