高校1年生 1学期
①大好きな幼馴染みとの再会
第1話 変わりたい私
ある4月の月曜日。
A組
16番 西園 絵奈
A組、かぁ。
見たところ近い出席番号で同じ小・中学校だった子はいない、みたい。
あー……残念だなぁ。
何となく視線を感じるけど、とりあえず教室に行かなきゃ。
私は
今日から高校一年生なんだ!
通う高校は、家から歩いて行ける距離にある公立の高校で、私は一般試験で何とか受かることができた。
学力とかはそこそこ上くらいで、部活は強いところはすごく強い。
特に男子バスケットボール部とか、サッカー部は強いらしい。
大学進学率も高いし、通いやすそうだからという理由でここを志望校にした。
制服はと言うとブレザーのタイプ。
スカートはチェックの模様で、リボンは赤。
カーディガンとかも着れるし、可愛い方かなって思う。
親からは似合ってる、とは言われたけどいまいちしっくりこない。
サイズとかは大丈夫なんだけど、何となく違和感は感じる。
慣れてないから、なのかな。
上靴に履き替えて3階の教室に向かう。
今日は入学式だけど、前に説明会とかで何回か行ったから場所は何となく覚えてる。
A組だから一番はしっこ。
廊下は静かだな。
まだ時間も早いし、来てない人が多いだけなのかも。
ガラガラっと戸を開けると、教室には既に5人くらいのクラスメートが来ていた。
その全員の視線が私に集まった。
ひ、ひえっ、みんな私を見てる……
反射的に思わず下を向いてしまう。
そ、そりゃ話したこともない女子が急に教室に入ったらびっくりするよね。
慌てて自分の席に向かう。
な、何だろう、まだ視線を浴びてる気がする。
うう……新学期早々やらかした。
私の席は真ん中の列で前から3番目。
近くの人はまだ来ていないみたい。
少し離れた席には既に仲良くなってる二人組がいた。
すごい、な。
中学の頃、私はあることがきっかけで人と話すのがすごく苦手になってしまった。
コミュ症って言うのかな。
人前に立つと頭が真っ白になる。
……トラウマ、でもある。
だから友達も多い方でもなかった。
別にぼっちでも全然平気だったけど、いろいろな意味で過ごしにくかった。
そのまま高校生になるのは絶対に嫌で、高校生なったら絶対にそれを克服しなきゃって思って、春休み中頑張った。
頑張った、といってもそんな大したことではない。
克服するために、私は変わらなきゃって思った。
最初から性格とか、中身は変えられないからまず見た目というか雰囲気を変えようって思って、できるだけ明るく考えることにしてみたり。
そうしたらいつのまにか世界が明るく見れるようになったんだ。
……あの時の私なんてもういない。
私は、私なんだ。
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