第2話 いろ
「本当? 私、
そう告げる
その時、有田は間違いなく強烈な引力と
「じゃ、じゃあ、人体装飾の技、勉強しておくよ」
「メイクは色が作れれば慣れらしいの。試験が終わったら私、練習台になれると思う。春休みに会える日、後で連絡……連絡先からだね」
有田は浮かれ気味に通信クリスタルを取り出す。
俺を
それから春休み、俺達は郊外の図書館で待ち合わせ、装飾魔法の本に書かれた内容を真似し始めたんだ。
有田の調べた通り、そばかすの辺りにイエローを乗せた上で肌全体を補正してみる。何度か試すとまぁまぁな感じに色ムラは消え、有田はびっくりする程、喜んだ。俺の目には素の方が断然、良く見えるんだけど。更に瞳と近い
俺は違和感に手を止めた。
「……やり直すよ」
「あはは、私じゃないみたい! 気分上がるね」
有田はけばけばしい目元を緩ませてから茶目っ気たっぷりにウィンクする。その彼女らしくない大胆さは確かに非日常の姿の解放感なのかもしれなかった。
「一回、完成させない? 私、このままでも全然、外歩ける」
そう、きっと
魔法を解除したきり考え込む俺に有田は励ますように話しかけた。
「大丈夫。一位君なら上手くなるよ」
「技術もまだ全然だけど、俺、今のままの有田さんよりもっと可愛いメイクした顔が思い描けないんだ。だから、時間かかるかもしれな……い、けど……」
手元で青と紫を細かに変化させながら俺は
「一位君って天然? 私じゃなかったら自信過剰になっちゃうんだから」
強がりながら赤らむ有田は清楚な藍とは異なる
楚々と涼しげに咲くだけが彼女じゃない。この時、俺はそれを知ったんだ。
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