第17話 見て来なかった事

「公爵令嬢のあんたとロイエが仲良いなんて思えないし。」


「あら?何を判断材料にしてるのかしら?

あなた方が騒動を起こすからその家族に対しても厳しい目で見られてましてよ?」


ロイエに関わり出した最初の理由はそれですわ。

まぁ、すぐに警戒どころではありませんでしたわね。

次期館長として選ばれ、本人はそれを知らないとわかったのですから。

普通なら知っててもおかしくはありませんが・・・。

双子の狙われっぷりで家族の守りは期待できませんし。


「まぁ、信じようが信じないでいようが私にとってはどちらでも良いのですよ。

ただの兵器に成り下がった危険因子に信用されるなんて恐ろしすぎますわ。」


「はぁ?僕等が兵器って言う訳?」


「ひっどーい。」


「精霊術で街のいたる所を破壊する存在ですから妥当ですわ。

自分達の起こした行動で周りへの迷惑も何も理解しておりませんもの。

ロイエの断髪もあなた方が壊した建物や物に対する賠償金でしてよ?

あの子は賢いですから、あのままでは家は確実に潰れて娼婦として働く事になるのを予想してしまったのでしょうね。」


「は・・・・?」「えっ?」


それぞれ異なる声を出す2人に何も理解してない様子に呆れますわ。

ロイエに押し付けた苦労も何も知らないのですね。


「私があの子に接触したのは国に害をもたらすあなた方双子の姉だからでしてよ?

長男は枷になりえますが首輪にはなりえません。

子爵夫婦はあなた方のせいで出来た賠償金で奔走していて手が回りません。」


1つ、1つ理解させる為に小さな子供に教える様に伝えていく。

それでもこの双子は興味が無ければすぐに忘れていくのでしょうね。


「出稼ぎに出る令嬢に婚約者がつくと思いですか?

家族の未来を潰してる自覚すべきでしてよ。

あなた方が作った借金によって長男は婚約者に逃げられ。

ロイエは後ろ暗い話しか聞こえない者の後妻しか寄ってこない。

ご両親は借金の返済に奔走を続ける・・・。

だと、言うのに・・・あなた方双子は騒動を起こして慰謝料を増やし修繕費を増やし借金を増やす・・・疫病神ですわね。」


家族から言われて無かった言葉だからショックなのでしょうね。

ですが、そんなの私には関係ありませんわ。

関わりも無く、兄からは愚痴の元だった存在ですし。

ロイエはもうそう言う事しか出来ないと無自覚に諦めるような愚物ですもの。


「違うっ!僕等はそんなんじゃないっ!!」


「初対面の相手にそう言う事言うとかデリカシーなさすぎぃ。」


「あら?あなた方が作った借金によって令嬢失格にされたロイエの未来を潰しておいて言う事がそれでして?

自己責任能力もありません事・・・。

力ある者の責任を学ばせないとはご両親の評価もさぞ悪いのでしょうね。」


「ふざけんな!!!」


「そもそも、あなた方の行動がご家族の悪評に繋がってるのでしてよ?

末の双子の息子の教育がまともに出来てないからいたる所で騒動を起こしてるのでしょう?」


あぁ、本当に理解が出来ておりませんのね。

周りの評価など気にしてもなかったのでしょうが・・・。

自分達の行動が家族の評価にも繋がってるなんて気にも止めて無かったのですね。


「あなた方双子があっちこっちで物を破壊しその時にけが人も出ている。

謝罪をしてまわっておりますが、あなた方2人への再教育をしてない・・・。

つまり、双子の教育は一切してないと判断されるのでしてよ?

あぁ、その場限りの反省をしてそれが今後に生かされてまして?

出来てないのでしょう?

すこしはちゃんと反省すべきでしたわね・・・。」


外側から見ればそうにしか見えない。

説明すればそれが本当の事と理解したくないような反応にどうしても呆れてしまう。

今まで自分達の殻にこもっていたツケが巡り巡って戻って来た・・・いえ、以前から戻っていたのをようやく耳に入れたというところですわね。


「そんなの今更言うのおかしいでしょ?」


「おかしくはありませんが?

伝えたとしても弱い奴の言葉なんて聞かなかったのはそちらでしてよ?

私の兄は王宮魔術師の1人であなた方をここに居れたるのに尽力をしてくれました。

そんな兄もあなた方の長男、メレディス様と学園時代同期でしたのが悪かったのでしょうね・・・。

メレディス様の頼みで害獣として処分基準を超えているのに手を出さなかったのですから。」


「「え・・・。」」


「あれだけ騒動を起こしけが人も出していたのですよ?

危険因子として排除されてもおかしくなのですわ。

成長して、自覚を持つならまだしも・・・。

その様子もなくただ、ただ力を振りかざして暴れてるのですから。

治安の悪い所に居る破落戸となんら変わりはありません。

ただ、その規模が違うだけでしてよ。」


破落戸と同列だと言えば噛みついて来ようとしましたがそれを無視して微笑む。


「今までの評価がそれなんですよ?

あなた方が反省しなかったから。

反省していたら自ら謝罪もしてまわりますでしょう?

そう言った事もせずに暴れ続けてるいたのですから自業自得でしてよ。」


さて、これだけ言えば少しは反省するかしら?

部屋に入った時はただ退屈だと言わんばかりの態度でしたが今では落ち込んでいますね・・・。

もっとも、本当に落ち込んでいるかはわかりませんわ。

ただの、演技の可能性もありますもの。


「ヴィナ様・・・大図書の館長からロイエの手紙を預かっておりますから渡しておきますわ。

あぁ、後程・・・今まであなた方が行った事に対する苦情文やどのような評価をメレディス家が受けているかの資料が届くように頼んでありますから。

それで自覚が無いのでしたらロイエの弟だとしても、私も排除を推薦させて頂きます。」


この双子には脅しにもならないでしょうが・・・伝えておけばロイエも納得してくれるでしょうね。

もっとも、あの子は別の方法で排除を考えてしまいそうですが。


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