第15話 戻って来た公爵令嬢

私が居ない間の王太子バカのしでかしに眩暈がしてしまいましたわ。

その上、ただでさえ問題の双子に至っては害悪でしかないと判断してしまいますわね・・・。

快楽主義の傾向があったとしてものは見過ごせませんわ。


「ヴィナ様、ロイエは無事なんですわね?」


「うむ、わしの幼馴染のところにおるわ。

身の安全は確実だから安心せい。

ところで、アリアナ嬢はどうするつもりじゃ?」


「そうですわね・・・。

王太子バカに対する聴取とかはすんでおりますの?」


「影を動かして裏取りをしてると聞いておる。」


ヴィナ様の言葉に一つ頷き現状の説明をお願いすれば次々と出て来る情報に頭が痛くなりますわ。

双子は家族にロイエの事を伝えておらず学園に居ないのも知りませんし。

長男は双子が何もしてないのに訝しんでおられますがロイエに対する信頼から気づいておりませんね。

双子に至ってはロイエがどうやって戻って来るか楽しそうに語ってると・・・。


「・・・正直に申しましてよろしいでしょうか?」


「うむ。」


「双子の討伐を考えるべきでは?

簡単に家族を見捨てるなど信用なりませんわ。」


「まぁ、言いたい事は分かるがのぅ。

あやつ等も自覚がないのが性質が悪いわ。」


「そうですわね・・・。

とりあえず、一端は王城の精霊封じの部屋に放り込んでおきましょう。

お兄様にも連絡を入れませんと・・・。」


「王太子は会ったか?」


「馬鹿の尻拭いで忙しいのに必要性あります?

ただの考えなし馬鹿なんですからそのまま幽閉されていればいいと思いますわ。」


それよりも早急に双子の確保が必要になりますわね。

ロイエがの立場を知ってるのはごくわずか。

知ってる方々は対応に追われておりますでしょうし・・・。


「はぁ、馬鹿のせいで大変ですわ。

一応アレには勘違いでロイエを追放したのが原因と教えるべきでしょうか?」


「そうじゃのぅ・・・必要じゃがアリアナ嬢が教える必要はないじゃろう。

王自ら教えなければ反省もする事ないであろう?」


「・・・それも、そうですわね。」


あの馬鹿王太子はプライドが高いので私の忠告も無視もしてましたし。

はぁ、女に負けたのが気に入らないのでしたら努力すれば良いものを・・・。

それをする事もなく別の事で威張られても困るのですわ。


「噂に聞いておったが・・・。

王太子も剣術の方に傾向しおってるとなぁ。」


「そうですわ。

私に勝てる分野に力を入れたとも言えまして・・・。

欠点となる部分にも力を入れるべきだと何度も言いましたのに。」


「・・・なんじゃ、拗らせておるのぅ。

わしとしては王太子よりも双子の方が問題じゃろう。

長男は反対しやせんか?」


「ロイエの件があり危険視されると説明すれば納得するのでは?

うちの者が調べたロイエの生活などの情報も渡せば黙るでしょう。」


あの子、苦労を苦労と考えてないもの・・・。

だから自分でどうにかしてしまってるのでしょうし。

普通なら貴族令嬢がバイトなんて・・・いえ、双子のせいで借金作ったりがありましたわね。

修繕費と慰謝料の支払いの苦労時代よりはマシって考えだとおっしゃっておりましたね。

そう考えてしまうとロイエの意識を変え無ければどうにもならなそうですわ。

今回の件が終わったらその辺りの事をしましょう。


ヴィナ様と今後の話をしていましたら白い鳥が入り込んできたのに視線を向ける。

大図書に動物が入り込むなんて・・・もしかしてあれは。


「あぁ、丁度良い。

あれはリィン・・・ロイエを預けてる幼馴染からじゃ。

どれ、手紙かのう?」


楽しそうに笑いながらヴィナ様が白い鳥に触れた瞬間に紙の束になるのに驚く。

紙を鳥に姿を変えて運ばすなんて・・・とんでも無い方ですわね。


「幼馴染はここもよく利用する知識欲の強い奴でのぅ。

ロイエの知識なら気に入ると思ったんじゃ。」


「なるほど、ここの司書経験もありますから知識はありますわね。」


・・・ただ、スペルミスとかは多くってテストは良い点取れて無かったのですわよね。

年子の双子の弟達の防衛でロイエに人が割けず教師をつけるのも忘れてたりと・・・。

あの子、もっと主張すべきだと思いますわ。


「ふむ・・・ふむ。

ふぉふぉっ、どうやらリィンと実験をして楽しんでおるようじゃ。

あぁ、アリアナ嬢こっちはお前さん宛にロイエからの手紙じゃ。

他にも何枚があるが・・・双子と長男宛はお前さんが届けるか?」


「・・・そうですわね。

ヴィナ様の依頼と伝えてよろしいでしょうか?

公爵令嬢の私と仲が良かったとは思いませんでしょうし。」


「それぐらいはお安い御用じゃ。」


3枚の手紙を受け取り双子と長男宛のは避け私宛の手紙を開ける。

婚約者ボンクラが私の顔を覚えてないのに人の顔を覚えられないなら国交大丈夫か?と言う現状の事を忘れてるような気の抜けるような始まりの手紙。

そこからヴィナ様の紹介で迷いの森に住むリィン様の家に送ってもらった事。

ヴィナ様の紹介と大図書の司書と言う事で知識提供(ヴィナ様の許可あり)で実験をして楽しい様子が伺えて安心しましたわ。


「・・・あの子、一見するりと切り抜けてるように見えますから性質が悪いのですわ。」


「ふぉふぉっ、そうじゃのぅ。

しかし、それに慣れ切った結果が双子の態度ではないのか?」


「・・・否定はできませんわね。」


今回の様に対応出来たとしてもそれに慣れ切ってはいけないと言う事でしてよ。

まぁ、慣れてしまうほど苦労をかけていた自覚を持つべきですわ、あの双子はっ!

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