第14話 心配事を思い出しちゃった

あれから数日。

異世界の道具再現をリィンさんとしていたけど・・・。


「なんだ気になる事でもあるのか?」


「・・・顔に出てましたか?」


「顔と言うよりも纏ってる雰囲気だな。」


貴族令嬢の教育でポーカーフェイスが身についても雰囲気で駄々洩れだとよく言われたっけ・・・。

まぁ、ここで取り繕う必要もないから駄々洩れも仕方ないハズ!


「学園の方がどうなってるかと思いまして・・・。

アリアナ様もそろそろ戻ってるはずですから。」


「ん?現場に居なかったのか?」


「えぇ、先代公爵の葬儀の為に領地に戻ってます。」


「・・・だとしても人違いをするのは馬鹿だろう。」


うん、それは否定出来ないので何も言えませんよ。

王太子の馬鹿さに呆れるのも仕方ないですよね・・・。


「そもそも、公爵令嬢と仲が良いのか?」


「館長の紹介で知り合いになりまして・・・。

後、アリアナ様の兄が王宮勤めの魔術師なので。」


「あぁ・・・お前の弟達、精霊術師は気になるか。」


「はい。それで身内から見た弟の事を聞かれたりしました。」


「大方、お前の苦労話に同情したか?」


「・・・否定できない。」


そうですね。

一応、うちは子爵の爵位持ってる貴族です。

ただし、貧乏っ!!大図書にバイトしに行ってる令嬢ですからね!

・・・言っててむなしくなるなぁ。


「まぁ、そう言う事なら学園が気になるのも納得だな・・・。

ヴィナに手紙を出せばむこうの様子も教えてくれるだろう。」


「そもそも、無事の連絡してない・・・。」


「着替えを頼むときに伝えてはあるから問題はないだろう。」


そう言えば一度、リィンさんは王都に行ってましたね。

・・・・数日前の事でしたけど集中できる事があるとそっち記憶の方が印象強くって忘れてた。

楽しすぎる実験が悪いと思いますっ!


「ついでで研究結果も送っておくか。

しばらくお前には実験の助手をさせるから連れ戻りの話が出ても困る。」


「あっ、はい。」


この人・・・我が道を行くなぁ。

王命来ても蹴りそう、むしろ迷いの森の真価発揮して来いってセラフィナさんに頼みそうだ。


「あぁ、安心しろ。

俺の気が済むまでとは言わん。

いま戻っても面倒だろうからな、ヴィナの判断で戻っても問題無いなら通いで良い。」


「あー・・・王太子とその側近がうるさそうだからですか?」


「そう言う事だ。

プライドが高い連中なんて己の過ちを認める事なんてない。

責任転換してくるだろうからな。ここでの研究成果で立場の確保も出来るだろう。」


「おぉ・・・。」


そこまで考えてたんだ。

正直、王命反故した事の叱責が終われば子爵令嬢って立場から許すのは当たり前だろうって言われると思ってたし。

まぁ、でも学園内には他国からの留学生とかもいるしなぁ・・・。

あの王太子が王になって国交を続けるのは怖いって思われそう。

それなら第二王子が王太子になるのかな?


「懸念事項か?」


「一応・・・?

王位継承権がおそらく変わると思いますのでどうなるかと思いまして・・・。」


「あぁ・・・留学生もいるんだったな?

他国の貴族や王族もいるのか?」


「王族が居るのは確実ですね。

その王族の側近もいると思いますが・・・。

公表してる方と身分を偽った方もいますので人数は把握してません。」


隣国に嫁いだ国の王女の子が留学中って言うのは聞いたから確実にいる。

次期王がアレだと心配になるだろうなぁ。

その辺りの心象も加味して王太子への罰が決まるハズだから・・・。

うん、王も間違えたら他国からの信用も失うから慎重に動く事になるんだろうな。


「さすがに王太子をこのまま王にするのは不安でしかない。

その側近もだが女に騙されてるような奴が国の将来を背負うなんて誰もついていけない。

まだ下に王子が居るならそちらに継承権が行くのも道理だ。」


否定出来る要素が微塵もないなぁ。

まぁ、事実だから仕方がない・・・。


「いえ、それもあるんですが。

第二王子の婚約者がいない上に学園在籍してるんですよね・・・。」


「・・・婚約者の居ない貴族令嬢が群がるな。」


嫌そうな顔で予想を口にするのにひとつ頷く。

卒業パーティがあんな感じで台無しになって第二王子に継承権移行ってなれば群がる人は出て来るだろうし・・。

来年の卒業パーティも今年の二の舞になりそう。


「あぁ、来年も同じようになりそうだと思ったのか。」


「はい・・・。

正直、今年の王太子を誑し込んだ人物は王太子妃の立場を狙ってたと考えてますので。

同じようにその立場を狙う者が学園内に居れば来年の卒業パーティも今年同様の事になりそうと思いまして・・・。」


第二王子の婚約者いないけど・・・。

こんな事になったから決めるのは急務だろうし。

いや、そもそも今回の様な事が起こらないように第二王子が卒業まで婚約者を決めないかも。

決めたとしても公表はしばらく先になるのでは?


「第二王子の人柄は知らんが・・・まぁ、その懸念をしてしまうのも理解できる。

今年やらかした奴の弟と言うのもあるが・・・。

まぁ、さすがに影の監視は強化されるだろう。」


「護衛ではなく?」


「諜報機関の連中だからな。

あぁ、聞かれても俺が言ってたとでも答えておけ。

さすがに貴族令嬢がそんな事を口にすれば変な勘繰りをする連中が出る。」


「なら、言わないで欲しかったですよ!?」


まさかの身の危険になるようなネタを口にしないでくださいよっ!

普通に怖いですから!


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