第13話 無自覚

「こんなものか。」


「よく書けますね。」


レポートとか書き方わかんないからどうしろと?って言うのが正直な感想。

前世でも歴史のレポート提出とかヒーヒー言いながら作ってたなぁ。

書き方教えて!って泣きついた事数知れず・・・。


「書けるだろう?」


「書きたい内容はわかります。

自分で書こうとするとまとめ方・・・いえ、書く順番が分かんないって言えば良いんでしょうか?」


うん、書く内容は分かる・・・けど、どう書けば良い?って、ペンが止まるんだよね。

書き方誰も教えてくれないし、資料まとめれば良いよ!

って、言われてもどうしよう?ってなる。


「まとめるのが出来ない奴か。」


「そんな感じでしょうか?

一応、個別に書けますが順番おかしいだろうってレポート提出して怒られた事結構あるので・・・。」


結論先ならなんでその結論に至ったかの書き方が良いだろうとか言われたなぁ。

書いてると理由と結論一緒に書いてるのとかよくありません?

その場合は最後にそれらをまとめた文章にしろって言われました。


「むずかしいの?」


「んん・・・文章構成がよくわからない?

箇条書きで書き出しが出来てそれを長文構成にするとわけわかんなくなるの・・かな?」


セラフィナさんの質問にそう答える。

これもう感覚的なものだと思うんだよね。

まとめ方なんて個人の感覚なんだときっと!


「・・・資料が膨大過ぎてまとめられないだけでは?」


「えぇ・・・そう言うの見ても無いのになんで言えるんです?」


私の書いたレポートなんて見た事も無いのになんで意見出来るんです?

意味が分かりませんよ。


「レポートが書けないと嘆くのはそう言うのが多いからだ。」


「なるほど、経験則。」


そうやって泣きつかれた人達バッサバッサと切って捨てたのでは?

想像出来ちゃう・・・自分の知識欲を満たす時間を削られたくないって感じで言いそう。

まぁ、でも1人見たら何人も見て!ってなるよね。

あいつだけずるいとか言う人出て来るし。


「まぁ、ここでは知識提供だけでいい。

レポートは人によって書き方が違うからなまとめ役は1人で十分だ。」


「あっ、はい。」


「あれは時間経過が必要だから別のも同時並行で研究していきたい。

何かあるか?」


「えぇ・・・急に言われても・・・。」


期待の眼差しをスルーして他を考える。

話題に出た電池?とか?

 バッテリー的なのは一応あるけどめちゃくちゃ大きい。

それの小型化とか?

・・・いや、構造わかんないから下手な事言えないな。

そもそも、魔石のサイズ自体が大きいからその魔石に合わせて作られた感あるし・・・。


「無いか?」


「調整?」


「は?」


思いついたのは調整ぐらいだなぁ。

これってあったけ?

厨房の火の調整って出来なかったから多分・・・ない、はずっ!

貧乏貴族だからその設備無かっただけかもだけど。

うちの家のは強火、中火、弱火ってあらかじめ設定されてる火力でしか出来なかったから・・・。

火力ごとの火口があったんだよね。


「もう、すでにあるかもしれないんですけど・・・。

厨房の火って調整出来る機能ってありましたか?」


「・・・ないと思うが?」


リィンさんも考え込んで多分って返しにならそれにするかなと考える。


「多分、応用は出来ると思います。

火力調整とか出来てましたね。」


「・・・ロイエの知識は偏ってるのか?」


「前世、平民ですから普通に家事の手伝いしてただけです!」


「む、そうか。

なら不思議でもないか・・・。

それにしても火力調整か・・・他にも応用が出来そうだな。」


「多分出来ると思いますよ?

厨房だと火力でしたが音や明かりの光の強さとか調整出来ましたから。」


「音?なんでそんなものが?」


「電話って言う・・・えぇっと、通信機で音量調整とか?」


そう言えばあったね電話!

この世界にそう言うの無かったから頭の片隅にでも追いやられてたみたい・・・。

って、事は割と忘れてる?

・・・大丈夫、今回みたいにきっかけがあれば思い出すだろうから大丈夫っ!


「そんな便利なものがあったのか?」


「ありました。

でも、この世界ちょっと厳しいんじゃないんですか?」


あれって、基地局とか電波の中継点が無いと無理だし・・・。

この世界で作ると魔力依存とか?

リィンさんに元の世界の電話の仕組みを伝えこの世界で基地局を作っても魔物に破壊される可能性もある事。

個人の魔力だけなら魔力量によって通信出来る距離が決まりそうなんて話をする。


「・・・なるほど、中継地点は確かに無理だな。

作ったとしても短距離が精々だな・・・。

だが、それでも冒険者にとっては有用になりえるだろう。」


「そうなんです?」


「分かれて探索の場合などは有用だ。

後は諜報機関とかだな・・・。

それを考えれば開発はしない方が良いだろう。

この概念が露見すればロイエ・・・お前、狙われるぞ?」


「・・・黙ってます。」


「そうしておけ。

多分、お前の中で無意識に選択してるのだろう。

利便性が高いの記憶の奥底に沈めてる印象がある。

一種の防衛本能のようなものだと思うが・・・。

まぁ、悪い事ではないだろう。」


無意識な識別って事かな?

危機回避出来てるから良いけど・・・。

んー、リィンさんに提供できる知識も今後も生活利便性よりになってく・・・って事で覚えておけばいいかな?



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