第10話 考え方の違い

「世情からこの世界とは大分違うのだな。」


「・・・唐突過ぎて何を指してるかわからなかったですよ。」


前世の世界と今世のこの世界の違いだと理解するまで時間かかりましたが・・・。

まぁ、両方を体験すると・・・違いに戸惑ったりしますね。


「いつから記憶があった?」


「物心ついた時には?

夢の中で前世の自分の人生を見続けて・・・あっ、この夢は自分の記憶だって認識したら前世だと認識出来た感じです。」


「ふむ、セラフィナに聞けば産まれた時からや死に掛けた事で前世の記憶を思い出した奴がいるらしい。」


記憶の戻り方ってレパートリーあるんだ。

まぁ、どの記憶の戻り方もラノベ展開である奴だけど。

いや、むしろなんでそこまで知ってるんだろう?

思わず、セラフィナさんを見ればにっこりと綺麗な笑顔で返される。


「ふふっ、君みたいな転生者の魔力の質がものすっごく良いからね。

精霊が近くで過ごしてたくなるんだよ。」


「だからお前は賛成したのか?」


「理由の1つではあるね。」


「魔力の質とか・・・私からすればよくわからないんですがね。」


質と言われてもそもそも魔力自体あんまり感じない。

魔力量のある人だと圧となって感じるけど・・・質になると全然分かんないなぁ。

そう言うのは専門家に投げれば良いと思ってるし。


「精霊は魔力によって体が構成されてるのもあるから敏感に察知できるからな。

人間はスキルの恩恵の感知出来るから感覚の鋭さはあまりないぞ。」


「へぇ、そうなんだ。」


セラフィナさん興味なさそうだなぁ。

まぁ、種族の違いなんて興味なさそうだもん。


「話を戻すが・・・。

前世の今世の常識の違いに苦しまなかったのか?」


「そう言うものと思ってたのでそこまでは?

えぇっと・・・前世の世界でも国ごとによって法律や常識の違いがありました。

なので、この国の常識はそう言うものと・・・。

んー・・・前世で言うと他国に来た延長線って言えばいいのかな?」


今世はこう言う世界なんだって考えもあったし・・・。

転生を自覚してからは記憶の齟齬はなかったのもある。

一番は記憶の戻り方なんじゃないかな?


「そもそも記憶が夢で見てたのと夢でこうだった!って言う風に実際に話題に出した事もあったので・・・。

違いに関しては前世の記憶って認識する前から口にして周りに指摘されて育ったので・・・あんまり苦しまなかったですね。」


「なるほど、夢を前世と自覚する前から口にして違いを指摘されたか・・・。

それならすんなりと受け入れられただろう。

記憶と認識しても困らなかったのか?」


「今生の記憶があったから大丈夫でした。

前世の記憶を自覚して自覚前の記憶がなかった常識とかも消えていて混乱してたと思います。」


振り返っても中々に常識の比較とか子供が突拍子の無い事を言った扱いだったからなぁ。

まぁ、小さい子なら夢と現実の区別も上手く出来てない扱いで許されてたんだろうな。

妖精がいたずらで不思議な夢を見せるなんて話もあるから・・・きっとそう言う夢を見て口にしたんだろうって認識されてたんじゃないかな?


「まぁ、子供なら突拍子の無い事も言い出すからな・・・。

幼いから周りも不思議に思わなかったか。」


こう言う話ですら考察するんだなぁ。

そんなに気になるものかな?


「不思議そうな顔だね。」


「んー・・・。そう言うものって割り切って流す私からすればとことん突き詰めるのが不思議なので・・・。」


「なるほど、自分と対極のような位置にいるのがリィンか。

それは不思議に思うかも。」


「分からない事を放置すると気持ち悪いだろう。」


「双子が騒動を起こし続けてたのでじっくり考える時間もありませんでしたから。」


「なるほど、確かに騒動が回りにあれば身の安全確保に集中もしたいから考え事も出来んな。

なら、疑問も落としどころさえあれば問題ないだろう。」


「精霊の私からすれば好奇心と興味が無いと無理かな?」


精霊はそう言う感じなんだ・・・。

まぁ、あの双子と楽しそうにしてるちっちゃな精霊とか見ると好奇心旺盛なんだろうなぁ・・・。

好奇心旺盛だからこそあの双子と楽しく過ごせてるんだろうし。


「双子の事か?」


「よくわかりますね?」


「精霊に関しては双子ぐらいだろう?」


なるほど、共通点から考えてる事を察知されたのか・・・。

観察力すごいなぁ。

私はそう言うものとかって流しちゃうし・・・。


「あまり深く考えてないな・・・。

そうやってなんでも流して良く生きていけるな。」


「生きていけるからいいんじゃないんです?」


「馬鹿か、馬鹿王太子みたいなのもいるんだから知識はため込んでおけ。

他国でその知識は多額の金になる時もある。」


「自衛能力無いからこそため込むのはダメなんじゃないんです?

権力持ち相手だと囲われるじゃないですか。」


「む・・・確かにそうだな。

なるほど、ロイエの場合は自衛を兼ねてるのかもしれんな。

貴族令嬢として深く知りすぎればそれもそれで厄介か・・・。

・・・感覚的にそう言うのを察知してるんじゃないか?」


「考察でとんでもない事言い出すのやめてくれません?

私、自身はそんなもの自覚もしてないしそう言う風に生きて来たとしか言えないんですよ?」


リィンさんの考えにドン引きする。

とんでも無い事言うのやめて欲しい。

それが当たってたら怖いんですけど?

無意識死亡フラグ折りしてるって事ですよね?

今後の自分の発言や行動がフラグ避けしてるかもって怯えるやつじゃないですかぁ!

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