第9話

(蓮視点)


俺と結は、ノートのコピーを持って凛の家へ向かった。


比較的豪華な一軒家だ。

インターホンを押すと、凛のお父さんらしき人が出てきた。


「いつもノートのコピーを取ってくれてありがとうございます。どうぞ上がってください」


凛の家に上がっても、凛は2階の自室からは出てこない。


「不登校が続きましてね。困ったものです」


結は、

「2階の凛の部屋で話してみようか」

と。


結の言葉通り、俺たちは2階の部屋へ向かった。


ドアを二回ノックする


ドア越しに、俺は言った。


「凛、なあ、どうして学校を休んでいるんだ?聞かれると辛いか?」


ドアが空いた。


「いつもノートのコピーありがとう。嬉しいよ。でもね…。」


結は俺を静止した。


「言わないで良いよ、凛。少し、女子二人で話してみようか」


結は凛の部屋へ入って、パタンとドアを閉めた。




(凛視点)


私と結は、布団に腰掛けた。

ふわっと布団が沈んだ。


結は、


「遠足を思い出すよね」


私の顔を見て微笑んだ。


私は人に初めて自白した。相手は結だったらわかってくれると思った。


「私ね、滝下先生の事が好きなの。でもね、男の人も好きになるの。おかしいでしょう?」


私はぽろぽろと涙をこぼした。

結は私の肩に手を置いた。


「そんなことないよ。恋愛って良いよね。男子でも女子でもいいじゃない。何なら、私にする?」


私の涙は止まり、ケタケタと笑った。


「前にも凛に言ったけれども、蓮はいいやつだよ。下品だけどああ見えて優しいし、ルックスは良いし、頭もトップクラス。最後に凛をかっさらっていくのは蓮かもね」


凛の父親がドアをノックした。


「滝下先生が家庭訪問に来たから、そろそろ席を外してもらおうか」


「えっ?」


結と私の声が重なった。


どうやら大事な話があって、私は自室にいるように父に言われた。


何の話をするのだろう。私は不安で仕方なかった。





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