第6話

私は保健室に通うようになった。

保健室登校と言うというものだろう。


「最近、保健室に来てばかりだけれども、勉強に支障はないの?」


「友人がノート取ってくれているんです」


「友人がって、人任せは行けないと思うわよ。何か悩みでもあるの?」


私は意を決した。


「私には、好きな人がいるんです。でも、その人は私に全く振り向いてくれないんです」


「同級生?それとも先輩、後輩?」


「先生のなかにいるんです。でも、全然気づいてくれないんです」


「教師と生徒は御法度だからね。スクールカウンセラーに相談してみるのも良いかもね」


私の目から涙がこぼれた。

ああそうか、頑張って言ったのに、意味がなかったんだ。タオルハンカチで涙を拭いた。


「若いと、先生をお母さんやお姉さんと投影

する事があるのよ」


私の涙は止まらない。おまけに、しゃっくりも出てきた。


先生は私の背中をなでた。

そして、ギューッとハグをしてくれた。

私の顔は紅潮した。


「人は心が乱れた時に抱きしめられると、安定するのよ。少し長めにハグするから、そうしたら教室に戻りなさい」


「はい」


私の涙はすーっと出なくなり、しゃっくりも収まった。


ただ、私は先生に告白し、先生に愛して欲しかった。ハグだけじゃ物足りないよ、先生。



保健室から出ると、蓮が壁を背に立っていた。


「ほらよ。ノートだ」


「ありがとう」


蓮は私の顔をじっと見た。


「顔が赤いけど、熱でもあるのか?」


「えっ、そうかな。気のせいだよ」


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