第4話
私は見た。
校外で滝下先生が、前担任、島津陽一先生と楽しそうに歩くのを。
私は蓮と二人の帰り道だった。
あちらも私に気づいたようだ。
「久し振りだな、元気にしていたか?」
島津先生が担任の時は、過呼吸は少なかった。
ただ、現在の村上達也先生になってから、過呼吸が増えた。
村上先生だって良い先生だ
「私は元気ですよ。それより…。」
二人は付き合っているのですか?なんて言えない。
蓮はデリカシーなく言った。
「村上先生!滝下先生と付き合っているのか!?」
「まさかね」
滝下先生はお茶を濁す。
「そうだったらどうする?」
「良いな〜。やり放題か」
「このエロ魔神!TPOをわきまえてよ!」
その場の雰囲気が和む。
「じゃあな」
村上先生と滝下先生は、楽しそうに帰って行った。
少し歩いた時のこと。
私の呼吸が乱れた。
「大丈夫か?お前、顔が真っ青だぞ」
私がいつも常備しているビニール袋はなかった。
「ビニール袋ないのか?」
苦しい。息が出来ない。
蓮がお姫様抱っこして、私を近くの木陰に移した。
そして、蓮は私に長くて深いキスをした。
すると、徐々に呼吸が楽になっていく。
すーっと。
蓮は私の唇と自分の唇を離した。
私は知らず知らずのうちに涙を流していた。
「事故とはいえ、ああするしかなかった。忘れてくれ」
私は蓮の顔を直視出来なかった。
「心配だから、家まで送るよ」
「ありがとう。お言葉に甘えるね」
蓮と二人で私の自宅へ向かった。
二人のあいだに会話はなかった。
自宅に着くと、母が顔を出した。
「あら、蓮君じゃない!珍しいわね」
私は事の顛末を話した。
「事故」のキスを除いて。
「今日はすき焼きを作ろうと思っているのよ。一緒に食べましょうよ」
「ありがとうございます、僕、家に連絡してきます」
「蓮君は長身で格好よくて、優しくて。好青年よ」
学校では中身エロ魔神をオープンにしている事はともかく、年上ウケはいい。
………………………………………………………
(蓮視点)
初恋の相手、凛に触れる事が出来た。
事故とはいえ、念願のキスが出来た。凛は気付いていないと思うが、俺は勃起していた。
夜な夜な、そのことを俺は反芻した。
おそらく、凛が不安定なのは、あの保健室の滝下が原因だ。凛は滝下の手の上で転がされている。
俺に対して口は悪いけれども、華奢で可愛い凛を滝下の手から取り戻したい。
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