第13話 ヘファイストス

 グッドとラックは時空の歪みを出た。

「まだ会えないな。僕たち、人助けしてるのに」

「諦めなければその内会えるだろ」

「諦めてはいない。でも、この指輪を見てたらふと思った」

「分からなくはないな」

「分からず屋のラックが分かってくれるとは珍しいこともあるもんだ」

「俺だって分かることもある」

グッドとラックはいつものように機体を休ませるため、近くの星に降りた。星の民は鍛冶をしていた。誰も話さず、真面目に金槌で金属を打ち続けていた。高熱の窯があちこちにあり、立っているだけで汗が出てくるほどだった。

「熱いな」

「ああ。ここは長くはいられないな」

その時、ラックは良い事を思いついた。

「兄さん、一ついいか?」

「どうした、ラック」

「その指輪、使えないか?」

グッドはすぐにラックの言いたいことが分かった。グッドは民に尋ねた。

「すみません、ちょっといいですか?」

「・・・」

「あの、いいですか?」

「・・・」

「・・・」

「兄さん?」

「駄目だ。この星の民は無口だ」

「俺に任せろ」

ラックはわざとこけて民にぶつかった。

「ああ!すまない!ぶつかっちまった」

「・・・」

「・・・」

「ラック?」

「駄目だ。この星の民は無反応だ」

二人は諦めかけた。グッドが膝をついたとき、僅かに光の反射で指輪に気づいた者がいた。その者がゆっくりと立ち上がり、二人に近づいてきた。

「・・・それ、よく見せろ」

「え!?どうぞ」

「・・・これ、どこで手に入れた?」

「えーと、別の星で手に入れました」

「・・・そうか。それ、くれないか?」

「どうぞ、どうぞ」

グッドはジュノーにもらった指輪を渡した。その者は指輪を受け取ると、窯に投げ入れた。すると、指輪に埋め込まれた鉱石が膨れ上がり、窯を壊しながら大きくなった。その者が水をかけると、大きくなるのが止まった。他の星の民も作業を止め、驚いていた。

「・・・親方、それは一体なんですか?」

「・・・これは、特別な鉱石、アダマンタイトだ。俺はこの素材を探し求めてた」

その者は黙ってグッドの手を掴んだ。

「俺はバルカン。お礼がしたい。何か欲しいものはないか?」

「欲しいもの?うーん、そうだなあ…」

「兄さん、カッコイイ剣はどうだ?」

「それいいね。カッコいい剣をお願いします」

「分かった。待ってろ」

バルカンはアダマンタイトを削り取り、金槌で打ち始めた。しばらくして、作業を終え、バルカンが一本の剣を持ってきた。

「・・・出来たぞ」

「カッコイイ!形といい、艶といい、完璧だ!」

「ああ!男心がくすぐられるぜ!」

「・・・気に入ってもらえて何よりだ」

「気に入りました!」

「大切にするぜ!」

二人はバルカンと別れて、機体に戻った。

「これはいいなあ!」

「見れば見るほどカッコイイぜ!」

「強くなった気分だなあ!」

「飽きないぜ!」

グッドとラックは時空の歪みに入った。

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