第12話 ヘラ

 グッドとラックは時空の歪みを出た。

「いい曲だなあ」

「まだ聞いているのか。充電がなくなるぞ」

「充電しながら聞いているから大丈夫だ」

「あ、そう」

グッドとラックはいつものように機体を休ませるため、近くの星に降りた。星の民は式を挙げていた。

「おめでとう!」

「ひゅ~」

「やったわ!ブーケを取ったわ!」

二人は離れた所から式の様子を見ていた。

「ずいぶん盛り上がってるな」

「祝ったのはセブンの時以来だ」

式が終わると、民は片づけを始めた。

「いやー、良かった、良かった」

「次の組が待ってる。早く準備に移ろう」

あっという間に式の準備が済むと、次の組の二人を中心に式が始まった。

「おめでとう!」

「ひゅ~」

「また始まったぞ」

「ああ。それによく見たらあちこちで式が行われてる」

二人の右でも左でも後ろでも式が行われていた。二人の元に一人の女性がやって来た。

「あなたたち、式を挙げてみる気はない?」

「ないです。あなたは誰ですか?」

「そうね。私はジュノー。この星でキューピッドと呼ばれているわ。式の進行をする組織の代表よ」

「代表が直接誘いに来るとは光栄だな」

「それが、ある組に依頼されたものを用意できてなくて、その言い訳に予約が埋まっていると言っているの。その予約分が切れかけているから大変なのよ」

「その依頼されたものって何ですか?」

「それはね、式で流す曲よ。故郷を懐かしむようないい曲が見つからないのよ」

二人は顔を見合わせた。

「それならいい曲知ってます」

「本当?」

「はい。これです」

グッドは端末からアポロの作った曲を流した。

「これはなんて素敵な曲なの!その曲、ぜひ使わせてもらえないかしら」

「いいですよ」

ジュノーはグッドから借りた端末を持ち、依頼した組の元に向かった。そして、その曲を気に入ってもらえ、式を進行することができた。二人もその式に参加した。

「いやー、良い式だった」

「そうだな。ケーキも美味しかった」

そこにジュノーが来た。

「2人とも!お陰で式は大成功よ!端末を返すわ。あと、お礼の印に、この指輪をプレゼントするわ」

「きれいですね」

「ええ。これは自信作なの。この星で取れる鉱石を埋め込んであるわ」

「ありがとうございます」

「私はまた次の式の準備があるから行かなくちゃ」

「大変ですね」

「ええ。式を挙げるには結婚が必要なんだけど、式を挙げるために離婚してまた結婚する組もいるわ。それじゃあね」

二人はジュノーと別れ、機体に戻った。

「いろいろあるんだな」

「俺たちに縁のない話だ」

「まずはゼウス王の救出が最優先だ。急ごう」

グッドとラックは時空の歪みに入った。

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