第10話 デメテル
グッドとラックは時空の歪みを出た。
「戦艦はこの歪みに入った」
「この近くの星にいるはずだ」
グッドとラックはいつものように機体を休ませるため、近くの星に降りた。星の民は田を耕していた。
「空気がおいしいな」
「この星はのどかだな」
二人は民に聞き込みをした。
「この辺りで戦艦を見なかったか?」
「せんかん?それは食べ物ですか?」
「話が通じないな」
「それより、さっき取れた野菜、一つどうですか?」
「あ、どうも。美味しいです」
「そうでしょう。ここの水は新鮮ですから、美味しく育つんですよ」
「それはいいですね」
二人はこの星が気に入った。二人は民の手伝いをすることにした。
「こうして水をやって、雑草を抜く。その繰り返しです」
「そうですか。大変ですね」
「大変だけど、楽しいんですよ」
「なるほど」
そこに、神事の衣装を着た女性が通りがかった。女性は神事に使う神楽鈴を鳴らし、田畑に向かって祈祷した。それを見て、民は女性に向かってお辞儀をした。
「あの方は“ヒミコ”という特別な巫女様です。あの方が祈祷した田畑は必ず豊作になるといわれています」
「それはすごい。まるで神様みたいだ」
「そうです。あの方は神様の使いなのです。近ごろ、田畑を荒らす巨大な動物を払う効果もあるとか」
「田畑を荒らす巨大な動物?怪獣か」
「大切に育てた田畑を荒らすなんて。俺たちが退治するぜ」
女性が祈祷を終えたとき、怪獣が現れた。
「出たな!田畑を荒らす怪獣め!」
その時、同時に戦艦が現れた。戦艦はいつものように怪獣を回収するため鋼鉄の網を田畑に下ろした。田畑は網によって荒れた。
「ああ!田畑が!」
「あの戦艦、許せねえ」
「追うぞ」
二人は戦艦を追うため機体に乗った。
「「うおおお!」」
機体は戦艦に突っ込んだ。銃を手にした二人は、数々の怪獣を納める倉庫を通り、操縦室に突入した。
「手を挙げろ!」
全身うすい灰色の宇宙人が手を挙げた。
「田畑をどうしてくれる!?」
「ラック、違う。見たぞ。あれだけの怪獣を。何が目的だ?」
「フフフ…。ガイア人。忘レナイ。兄者ノ兵器ヲ破壊シ、兄者ヲコロシタ。我ハ復讐ヲ果タス」
「兵器…まさかセブンが戦った奴の弟か」
「ソウダ。ガイア人ヲ調ベタラ、オモシロイモノ見ツカッタ。銀河獣。アレハガイア人ヲコロセル。我ハ怪獣ヲ集メテ銀河獣ヲツクル!」
「銀河獣だと!それだけはさせねえ!」
「邪魔サセナイ」
宇宙人がボタンを押すと、穴が開き、二人は落ちた。
「「うわああ!」」
「マタ会オウ。ソノ時ハ銀河獣ガ相手ダ。フハハハハ」
二人が目を覚ますと、手伝った民の家だった。
「起きましたか」
「戦艦は…?」
「あの大きな浮遊物のことでしたら、飛んでいきましたよ」
「そうですか…」
二人は起き上がった。窓の外で荒れた田畑を民が耕していた。
「みんな、頑張ってる」
「もう起きていいんですか?」
「大丈夫です。痛みには強いんです」
「面倒を見てもらったお礼に、俺たちも手伝うぜ!」
二人は民と協力し、田畑を耕した。そして、民と暮らしながら、田畑が元通りになった。
「お陰様で田畑が戻りました。皆さんのお陰です」
民たちは拍手した。二人はこっそりといなくなった。民が家に戻ると、『ありがとう』と書かれた二人が使った鍬が置かれていた。民は空を見上げた。
「兄さん、どうして別れを言わなくて良かったのか?」
「いいんだ。別れを言うと、寂しくなるだろう?」
「兄さん、泣いてるのか?」
「泣いてない」
グッドとラックは時空の歪みに入った。
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