第6話 クゥタ

 美穂の好きなおうち。

クゥタは枕をして、おなかに毛布をかけて眠っていた。

クゥタの手はまんまるでやわらかい。

美穂はその手をしっかりとにぎって目をとじた。


    ◇◇◇◇


『美穂ちゃん!』


誰かが呼んでいる。

そうだ、さっき玄関のチャイムがなってお客さんがきて、おかあさんが美穂を

呼びにきたんだ。起きていたけど、おかあさんの顔をみると涙がでそうな気が

して眠ったふりをしたんだ。

となりの部屋で誰かが話している。

誰だろう。悦子先生かな。小さな子の声もする。


『美穂ちゃん、おきて』


耳元で誰かが呼んでいる。

おかあさんじゃない。

誰なの? 誰が呼んでいるの?


クゥタだった。


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