第2話 美穂の手
そのおねえさんは幼稚園の悦子先生だった。
悦子先生はにこにこと笑いながら、クゥタのかわりに美穂の手をしっかりとにぎって
おゆうぎの輪のなかに入れてくれた。
♪おおきな栗の木のしたで、あなたとわたし、なかよくあそびましょう。
おおきな栗のしたで♪
◇◇◇◇
悦子先生の手がはなれ、久美ちゃんに代わった。
ほっぺにくっきりとえくぼをうかべて美穂を見ていた久美ちゃんが、
美穂の手にふれたとたん、ビクッとした。
美穂はもっとビクッとした。
美穂の右手は生まれたときから指がない。
おかあさんのおなかに置いてきちゃったんだ。
久美ちゃんのえくぼが消えた。
今にも泣きだしそうな久美ちゃんと美穂がはなれた。
今度は俊樹くんが元気よく美穂の手をつかんだ。
「あれー」
俊樹くんのおおきな声がきこえた。
「美穂ちゃんの手、へんだ、へんだよう。
まんまるの手袋みたい。きもちわるーい」
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