第31話⁂消えた家宝⁂



 グランド人とグレイの戦いの火蓋は切って落とされたが、最終的にはビリ-王の敗戦色が色濃くなって来た。

 

 

 だが……その時ルフィ姫の左の目が突如として銀色に輝いた。

 一体どういう事なのか?


 実は、その瞬間不思議な現象が起こっていた。


 あれだけハイセンスでゴージャス感あふれる近未来的な空中都市〈グランド王国〉だったのだが、一瞬とんでもない光景が銀色の瞳の中に現れた。


 それは、今まで見ていた現実世界とは余りにも違う、朽ち果てた要塞、悲惨極まりない荒れ果てた廃墟と成り果てていた。


「エエエエエエ————————————ッ!何が起こっているの?」


 五つの扉「ファイブドアーズ星」の憧れの的だった、ハイセンスな近未来都市である空中都市〈グランド王国〉に一体何が起こっているのか?


 そうなのだ。ルフィ姫の左の目が銀色に輝いたという事は、想像を絶する恐ろしい出来事の幕開けを意味していた。


 実は…この戦争には思いも寄らない恐ろしい計画が隠されていた。


 

 

 すると…その時ルフィ姫の意識が遠のき、徐々に誰かの魂の声がぼ~んやり聞こえて来た。


 やがて…その声は鮮明になり誰だか分からないが、恐ろしい策略で凝り固まった、魂の声がハッキリと聞こえて来た。


(ウッフッフッフ!ウッフッフッフ!この空中都市〈グランド王国〉がここまでになたのには訳がある。ワッハッハーワッハッハー実は…巨大植物都市〈ジャイアント プラント王国〉の「金の扇子」を手にしていた。あおぐことにより様々なものが出てくるとされる伝説の「扇子」ウッフッフッフ!それを…あのリンゴ婆さんを騙してウッシッシッシ~!)


 リンゴ婆さんと、この宰相ビギンとは、どんな繋がりが有ると言うのか?

 

 リンゴ婆さんが、アクアの世界の魔女に会いに出掛けた時に、間違って幻想的で美しい氷の国に辿り着いた事が有ったが、あれは偶然だったのか?アクアの世界の魔女の仕業だったのか?それとも…氷の国の美しい女王ビイチの仕業だったのか?

 

 それと……アクアの世界の魔女と、氷の国の美しい女王ビイチにはどんな繋がりが有るのか?実は…そこには…想像も付かない恐ろしい真実が⁈




 ◆▽◆

 

 こうして「金の扇子」を手にしていたビギン宰相は、この「金の扇子」を振って空中都市を発展に導いていた。あれだけの近未来都市を築き上げた潤沢な資金元は、この打ち出の小槌有っての事だった。

 

 だが、そう思って有頂天になって居たのも束の間、この美しくハイセンスな空中都市〈グランド王国〉は借りの姿で、本当は朽ち果てた要塞、廃墟と成り果てていた。 


 一瞬銀色の瞳に現れた実際の姿、近未来都市が廃墟と化した原因は、あの「金の扇子」は一時的で完成形ではなかったのだ。


 



 実は…あの巨大植物都市〈ジャイアント プラント王国〉の世にも美しいヘレン妃が有していた。だが、その扇子はリンゴ婆さんの手に渡ったものの、誰かの手によって奪われてしまった。


 あの氷の国の女王様ビイチによって奪われてしまったのか?

 だが……あの時……一瞬、黒い恐ろしい影が女王ビイチに迫っていた……。

 女王ビイチには、どんな秘密が隠されているのか?


 

 その秘密を解き明かす為には、描かれていた「打ち出の小槌」の絵柄の謎を解き明かす必要がある。


 ※打ち出の小槌は、振ることにより様々なものが出てくるとされる伝説上の槌(つち)で日本の昔話に登場している宝物のひとつ。鬼の持つ宝物であるとされる。

また富をもたらす象徴として大黒天(だいこくてん)の持ち物であるともいわれている。

 


 ◆▽◆


 実は…〈ジャイアント プラント王国〉の蛇達は、元来巨大ではなく普通の蛇だった。だが、この王国には、巨大で獰猛な動物も多く生息していた。


 

 それでも…何故そんな巨大な動物たちがひしめく中で、代々王の座を守り通せたのか?  それは、ヘビは古代より「神の使い」と言われ崇拝されてきた。


 幾ら獰猛な動物たちがひしめき合う〈ジャイアント プラント王国〉と言えども、王に相応しいのはやはり蛇だ。


 だから、この国の王は蛇が代々政権を握っていた。

 それでも用心に用心したに越した事はない。いつ獰猛な動物たちに襲われるか分からないので用心棒として鬼を、王の側近として据えていた。


 それこそ…古来、日本の歴史の中で語り継がれる怪物「鬼」。ツノが生えた頭、つり上がった目に牙の生えた口という恐ろしい姿で金棒を振り回す、そんな鬼とは違った、もっと巨大な鬼だった。


 おどろおどろしい気配を秘めた得体の知れぬ恐ろしい化け物で、鬼の容姿は裸で頭はハゲ頭、鋭い角はウシ科のガウルそのもので歪曲している。猪の様な顔面に口にはニョッキリ牙が生えており、吊り上がったギョロリとした目の玉が三つの巨大な鬼で妖怪のようでもある。背けば一網打尽に喰い殺されてしまう、恐怖を与える存在として恐れられていた。


 こうして…ヘビ王国は鬼の用心棒のお陰で守られていた。

 そんなある日用心棒の鬼「隆牙(リュウガ)」が、突如として姿を消した。


 それもあれだけ信頼していた「隆牙」が、忽然と姿を消した。一体どこに消えたのか?それも大切な家宝「打ち出の小槌」もなくなっていた。

 あんなに厳重にしていたのに…一体どこに?



 それでも…この〈ジャイアント プラント王国〉では代々王の家宝として「打ち出の小槌」を重要金庫に厳重に保管していた。


 だが…いつの頃からか「打ち出の小槌」だけでは、ただの床の間の飾り位の価値しかない事に気付いた先代王たち。


「打ち出の小槌」の柄、御所車や古典四季花柄の艶やかな桜や牡丹、菊などの和花柄を贅沢にあしらった金色の「打ち出の小槌」である。御所車は雅な王朝文化の象徴として、振袖や工芸品などに描かれる事も多い高貴な何とも美しい柄だが、この柄には続きが存在する。それが妃の一族が所有する扇子だった。


 こうして…美しいだけではない、唯一無二の扇子の持ち主である貴族の姫との結婚の義が執り行われた。



 その家宝「小槌を振ればどんな願いも、どんな金銀財宝もザックザク手に入る」

 実は…この「打ち出の小槌」は効能が永遠に続く訳ではない。それを知らずに盗んだのだった。

 それでも…この世に二つとない宝物が盗まれたという事は、到底あるまじき事。

用心棒の鬼「隆牙」が盗んで逃げたとなれば、到底許されぬ事。血眼になって行方を追っている。


 

 それでも…同じ場所に保存すると危険が有るので、別々の場所に保管してあったのでそれだけが救いだ。


 だが、残念な事に両方盗まれてしまった。消えた「打ち出の小槌」更には「扇子」の行方も、杳として 見付からない。

 どこに消えたのか?

 

 

 














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