第29話⁂グランド人とグレイの戦い⁂


 七つの頭は茶色と言っても濃い焦げ茶色をしており龍そのものだ。黒光りした毒々しいまでのウロコを身体中に蓄えているが、更に目が真っ赤に光り危険を察知すると、電光石化の如く光を放ちどんな暗闇も照らす事が出来る。

 ギラリと光を放つ恐ろしいまでの鋭い目で睨み付けられたら、恐怖で足がすくみ卒倒しそうだ。

 十本の角を持ち、その性質は、輝く金色のたてがみを持ち、昔から「百獣の王」として恐れられた獰猛かつ狂暴なライオンそのものだ。

 胴体部分は恐竜王ティラノサウルスそのもので、がっしりした体、長くて力強い後ろ脚と、とても小さな前脚と凶暴極まりない爪はニョッキリと這い出て、その鋭い爪先で襲われたらひとたまりもない。

 そして…巨大なコウモリのような羽を広げ沼地から……這い出て来た。まさに悪魔!


 天使の魔法である神の力が備わり、やがて徐々に悪魔に変化して悪魔の暗黒魔法を自由に使いこなせる恐ろしい悪魔に変貌を遂げていた。


 


 こうして恐ろしい事に、空中都市〈グランド王国〉に戦争が勃発した。

 ハイセンスな近代空中都市が粉々に打ち砕かれ存亡の危機に瀕している。


 碧とルフィ姫、そして…クロ―ン三人組、信長🅰秀吉🅰家康🅰五人の勇者たちもこの戦争に乗り出した。

 


 極僅かだが、浮島の上に築かれた紫禁城のような広大な城も有れば、マチュ・ピチュのように高地の断崖に築かれた天空の城も存在する。


 そこに、あの恐ろしい「ティラノサタン」と呼ばれる悪魔が現れて、七つの龍の頭を変幻自在に操り巨大な口から炎を吹き出して行く。更に頭から出た十の角を勢い良く建物にぶつけ粉々に打ち砕き、やがて…口からは恐ろしい勢いで炎を吹き出し天空の城を燃やし尽くし、粉々に破壊して行った。

 

ガガガガ————ッ!ドッカン!バッカンビビビ———ッ! 

ヒュウ————————ッ!


 更には暗黒魔法で沼地のワニやトカゲを巨大化させて、戦闘部隊として引き連れて行った。


 巨大ワニの破壊力は凄まじい。

 兵士たちを一網打尽に打ち砕いて牙と鋭い爪で食い殺している。

  グシャグシャ  バキバキバキ

 更に巨大トカゲも負けてはいない。


 浮島の上には巨大ワニとトカゲが群れを成し、築かれた紫禁城のような広大な城もかん落寸前だ。


 

 

 だが敵も黙っちゃいない。ビリー王も果敢に応戦している。


 グランド人兵士たちが宇宙船を自由自在に操り、機関銃でグレイを片っ端から撃ち殺して行く。更には爆撃機で、爆弾・焼夷弾・ロケット弾などを投下したり、ミサイルで果敢に「ティラノサタン」巨大ワニ、巨大トカゲに撃墜している。


ババババ ババババ ババババ


ヒュ————————ッ!ボッカ——————ン!

 

 グッシャ————————ン!

 すると今度は「ティラノサタン」が暗黒魔法を天に向かって念じた。


 太陽が燦燦と降り注ぐ何とも良い日和だったのが、一気に真っ暗闇に覆われ、恐ろしいまでの雨を降らせた。それはまるで洪水か滝のような勢いだ。やがてその雨はどす黒く濁り暗黒の雨となり、敵対するグランド人の生命力を一瞬で奪って行った。


 ドッドドドドドドドドド———————ッ!ゴゴゴゴゴゴゴ———————ッ!

 

 ザザザザ————ザザザザ———ザザザザザ ザザザ ザザザザ


 更には桁違いのエネルギーを溜めた闇の稲妻が、槍の様に恐ろしい響きを立てて刺さって行った。逃げ惑うグランド人達だが、命付きバタバタ倒れて行く。


 ピカピカ ゴロゴロ  ピカピカ ゴロゴロ ガッシャ—————ン!


 これは大変ビリー王にも最終秘密兵器があった。


 あんな無能な王が四十年近く王に君臨出来たのには訳がある

 それは世にも恐ろしい核兵器を有しているのだ。

 

 第二次世界大戦末期に、広島に投下された原爆の五〇〇〇倍以上の威力を持つ核兵器を有している。だから…グレイ達も易々と手出しは出来なかった。


 だがここまで破壊されて黙ってはいられないビリー王が、国中にお触れを出した。


「本来グレイのお義父さんで『シャイニングヒュウチャー』社長ビギン、イヤ息子に社長の座をお譲りになり、現在政治家として国を率いてくれている宰相(さいしょう)、何故このような真似をなさるのですか?私がお義父様に何をしたというのですか?北西に住む悪魔を手なずけて味方に引き入れたらしいが。更にはギャング王国のジノ王とも同盟を結んでいるご様子。度々強盗目的で我が国に侵略している大泥棒と何故同盟を結んだのですか?絶対に許せません!……それからギャング王国のジノ王、私には秘密兵器が有る。直ちに引き下がれ!さもないとギャング王国に巨大な核兵器を投下するぞ!」



 ◆▽◆


 潤沢な資源を有する⁑空中都市〈グランド王国〉そこにはギャング王国のジノ王の姿が有った。

 ギャング王国のジノ王は実は、この近未来都市をここまでにしたビリ-王の義父で妃の父である『シャイニングヒュウチャー社長、現在は宰相』を巻き込み〈グランド王国〉の乗っ取りを企てていた。


 更には、あの恐ろしい姿の、黒光りした毒々しいまでのウロコを身体中に蓄え、七つの頭と十本の角を持つ「ティラノサタン」と呼ばれる悪魔とも同盟を結んでいた。


 ※「ティラノサタン」の名前の由来:ティラノは暴君と言う意味で、サタンは悪魔と言う意味。『狂暴な悪魔』


 それでも腑に落ちない事だらけだ。あんな無知で凶悪なギャング王国と同盟を結んでどんな徳が有ると言うのか?


 それが大有りなのだ。それでも…妃の父である『シャイニングヒュウチャー』社長ビギンは、仮にも娘婿に何故反旗を翻す必要が有るのか?

 

 実は…娘が嫁ぐ頃は、先代王が政権を握って飛ぶ鳥を落とす勢いだったこの〈グランド王国〉、その為次期王であるジノ王子に嫁ぐ娘を誇りに思っていたが、甘やかされて育ったせいか、ただのお飾り王で無能の一言に尽きるのだ。

 

 いくら世襲制の国だと言えども、近年はこの王では国の存続の危機と危惧する声が日に日に高まっている。


 娘の妃も無能でただのお飾り王のクセに、側室を何十人も抱え国の運営は父親ビギンに丸投げの夫にうんざり、離婚して実家に戻り再出発を考えている。


 この様な状態なので宰相のビギンも、これでやっとあの無能な浪費家王ビリ-を、王の座から引きずり下ろして念願のグレイ王国を築くことが出来ると思い、ギャング王国のジノ王に加担した

 

 それではどうして、ここまでこじれたのか?

 実は…ここまで、こじれるには深い訳が有った。


 その昔、この〈グランド王国〉は人間と寸分変わらない姿形の宇宙人(グランド人)が支配していた。


 そこにある日、宇宙人グレイが迷い込んだ。そのグレイは非常に知能が高い宇宙人だった。


 だが、人口では(グランド人)が圧倒的で、ガタイの大きさでも到底太刀打ちが出来ず、仕方なく奴隷としてこの国で生活していた。


 そして時代は変わり…グレイと(グランド人)の人口が同等になってしまった。元来高知能グレイはメキメキ力を付けて行った。


 こうして…ビリ-王の妻の父である本来グレイだった宰相ビギンが、この国を牛耳るまでになっていた。


 無能で金遣いの荒いビリ-王などサッサと失脚させたい宰相ビギンが、この国を支配したいと思っていた矢先に、ギャング王国の強盗団が乗り込んで来た。こうしてギャング王国と手を組んだ。


 


 それでは「ティラノサタン」は何故同盟を結んだのか?

 実は…声を掛けて来たのは宰相ビギンだった。


 宰相ビギンとしては北西に天使と悪魔が住んでいて、争いが勃発している事を危惧していた。そして…ある日地上に住んでいる悪魔に会いに行った。


 この国一の巨大で強い悪魔が住んでいる事は知っていた。そこで…争いの原因を問いただしてみた。


 そして…天使たちに復讐心を持つ経緯も分かって来た。

 そこで一方的に悪魔が悪いに決まっていると決め受けていたが、違う事が分かり、案外使い道によっては強力な力になると思い声を掛けた。


 そこで今まで散々天使たちに苦汁を飲まされて来た事も分かったので、この戦争に勝利した折には、天使たちを悪魔「ティラノサタン」の部下として取り計らう約束をした。もし天使たちが背けば即刻国から追放する事も付け加えた。


こうして…三者三様の思惑の元、同盟は結ばれた。


こうして戦争勃発。 


◆▽◆

 だが、ビギン宰相が、近未来的な空中都市でSF的な建築物が目立つこの建築物を攻撃するのに待ったを掛けた。


 それはそうだろう。自分達が築き上げた建築物を粉々にされては堪った飲んでは無い。 

 だが、ビリ-王の拠点である、浮島の上に築かれた紫禁城の様な広大な城も有れば、マチュ・ピチュのように高地の断崖に築かれた天空の城も存在する、その場所は壊滅状態となった。




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