第22話⁂海の恐竜⁂



 静蘭は永遠の美を手に入れたのだから〈ジャイアント プラント王国〉に戻り、愛するベニ-王の妃になれば良い事なのだが?何故か?このギャング王国に留まっている。 

 それが…とんでもない事に、自分の意に反して「リンゴ婆さん」の姿から元に戻れなくなってしまった。きっとあのアクアの世界の魔女によって、永遠にリンゴ婆さんの姿にされてしまったのかも知れない。

 だから…小手先の魔法の杖で変身を遂げているが、長続きはしない。興奮すると直ぐにリンゴ婆さんに逆戻りしてしまう。 


 

 考えても見れば、この結婚には疑問が残る。

 静蘭は、三〇歳以上も年上のベニ-王の事を本当に心から愛していたのだろうか?


 只々ベニ-王の世継ぎを産み、ベニ-王が死ぬのを待って〈ジャイアント プラント王国〉を手中に治めたかっただけなのかもしれない。


 そして…妃になる為「永遠の美を手にいれた」と思われているが、本当の所はどうなのだろうか?


 実は…静蘭は、海底の奥深くに潜り込み、あのアクアの世界の魔女に会いに行った。

 

 それでも……?確か……?強盗団の一味が言っていたが、おいそれとは辿り着けないらしい。


「ああ……永遠に変身出来る手はあるよ。それはね?〈バイオレット王国〉の海底深く潜り込んで、アクアの世界の魔女に会う必要が有るらしいんだよな?だけどね。そこに辿り着くのは至難の業じゃないんだよな~?だから…止めた方が良いと思うけど?」

「そこに辿り着くのは至難の業じゃないんだよな~?」とはどういう事なのだろうか?



 ◆▽◆


 実は海底アクアの世界には、恐ろしい恐竜の数々が生息していた。


 今から約6600万年前、隕石の落下によって恐竜が絶滅した

 大量のチリが発生し、それが大気中に漂うことで太陽光線がさえぎられて、地球上が寒冷化、一気に氷河期到来。


 太陽光線がさえぎられた事によって、光合成をする植物が減ってしまい植物を食べる草食恐竜が死に、今度はそれを食べる肉食恐竜も死に、という食物連鎖が起こり次々と恐竜が死んでいったと考えられる。


 確かに、今から約6600万年前以前に、地球に生息していた海の恐竜たちなのだが、どういう訳か、この「ファイブドアーズ星」に、全く同じ恐竜が海底の奥深くに生息している。


 エエエエエエ————ッ!そんな事……本当にあるの?

 まぁ!同じ宇宙空間が存在すれば、有り得る話では有る。


 

 🦖それではその海の恐竜たちを紹介して行こう。


 ☆モササウルスは同じモササウルス科に属するティロサウルスと並んで有名な海に住む巨大な海生爬虫類で、名前のモササウルスとは(フランス語ではムーズ川)のトカゲ」を意味している。


 モササウルスは円筒形の胴体と先端に向かって細くなった頭部、推進力を生み出す長くて平たい強力な尾を体に備えており、獲物を捕らえて切り刻む為の後方に湾曲した歯は鋭く凶暴極まりない海の王者だ。狂暴なサメも一網打尽に噛み砕いて捕食してしまう。水中を自在に泳ぐ為のヒレ状の四肢をもっている。

 モササウルスは白亜紀後期の海の覇者と言われているが、激しい争いを行い一方的に攻撃するだけでなく、激しい攻撃も受けてけていた。



 ☆ティロサウルスは巨大な海生爬虫類で、モササウルスと同様に海の王者、海の殺し屋として世界の広い範囲に分布していた。全長は15mにもおよび、現在のマッコウクジラとほぼ同じ大きさで、体重はマッコウクジラよりも遥かに軽い。


 ティロサウルスの頭部はワニのような形状をしているが、分類的には蛇やトカゲの遠い親戚になる。見た目通り、非常にどう猛で攻撃性の高い恐竜で、大型のカメや魚、アンモナイトなどに、この大きな口で食いついて鋭い歯と強靭な顎で噛み砕いてしまう。更には狂暴なサメも一網打尽に噛み砕いて捕食していた。

 

 ティロサウルスは首が非常に短いが、頭部と口は巨大で顎の可動域が広い為、蛇のようにかなり大きく口を開ける事ができる。また、移動の際は長い尾と流線型の胴体を左右に振って推進力を得ている。獲物を追って捕まえるという性質上、かなりのスピードで泳げる。



 ☆イクチオサウルスという海の恐竜は体長2m程度とあまり大きくはないが、イルカのような流線型のフォルムの体を持った魚竜で、体には大きな背ビレがあり、四肢はヒレ脚となっていて、尾ビレは現在海に生息しているサメの尾ビレような形状をしている。口の中には肉食の動物らしい小型の尖った歯が並んでいる。


 一見、慎ましい性格の生物に見えるかもしれないが、その本性は非常に凶暴で同じ体躯のプレシオサウルスや同種のイクチオサウルスらとのケンカに明け暮れ、自分と大して大きさの変わらない全長4メートルの海洋爬虫類を捕食する恐ろしい海の恐竜だ。



 ☆エラスモサウルスは有名なネス湖のネッシーの想像図とかなり酷似している。また、全長が14mとかなり大きく、頭部が小さく、首が長い事で知られているのだが、全長の約半分を首が占めている。


 また、エラスモサウルスの首には約75個の太い骨(脛骨)があるが、同じ首が長い事で知られるキリンは脛骨は7個である事から、この恐竜の脛骨がいかに多いかが分かる。獲物を捕まえる際は、長い首を最大限に使って近くに泳いでる魚などを捕らえて捕食。


 また、水の抵抗を避けるために首をまっすぐ前方に伸ばして、獲物めがけて素早く泳ぎ、魚群の下から頭を持ち上げて一気に魚をとらえて捕食する


 水上に頭をもたげて泳ぎ、獲物を見つけると首を水中に潜らせて獲物を捕獲する。

普段は水中にいる魚やアンモナイトを食べているが、翼竜である、かなり大きいプテラノドンも捕食する。


 歯は釘のように細長く、しっかりとかみ合う鋭い歯で、一度捕らえた獲物は離さない。空を飛べるプテラノドンであっても、一度捕まったら逃げることはできない。



 ☆クロノサウルスは「クロノスのトカゲ」という意味の名を持つ海竜とも呼ばれている。

 クロノサウルスは巨大な体と3mにもなる大きな頭部を持ち、口の中には最大25cmにもなる鋭い歯が並んでいる。また、口の奥の方には先端にやや丸みを帯びた歯があり、これは硬い貝や骨を噛み砕く為のもの。


 クロノサウルスはこの大きな口で様々な獲物を捕らえて食べる。大型の魚や大型の無脊椎動物など通常は狩りの対象とならないような動物まで食べてしまう凶暴で強力な恐竜。



 ☆ショニサウルスの名は「シュショーニ山のトカゲ」という意味で体長15mという巨体の魚竜の中では最大級の種類として広く知られている。


 ショニサウルスは胴体部分が丸々として太く、腹部には4本の大きなヒレを持っており、細長い口と大きな目が特徴的な海の恐竜。

細長く伸びた顎には鋭く尖った細かい歯が並んでいるが、この鋭い歯は顎の前方にしかなく、後方部分には歯がない。



 

 ☆ダコサウルスは巨大な口を持った海生爬虫類で学名の意味は「猛烈に引き裂くトカゲ」であり、鋭い歯を持った強力な肉食恐竜である。

ダコサウルスの体には4つのオール状のヒレが備わっており、この4つのヒレを尾びれを使って泳いでいる。また、ダコサウルスは尾びれが現在の魚のような泳ぐのに適した形をしていて、ノコギリ状の歯が並んだ強力な口を使って海に住む他の海生爬虫類を捕食して生活している。



 ☆プレシオサウルスはあまり体の大きい種ではなく、2mを超える程度の大きさ。しかし、高い機動性と非常に長い首を持ち、四肢の先にあるカヌーなどで使用するパドルのような大きなヒレを使って水の中を自在に泳いでいた。


 プレシオサウルスの体は胴体よりも首の方が長く、首の先には小さな頭部がついており、頭部には細長い顎と鋭い円錐形の歯が備わっていた。

また、尾の部分はあまり力強いとは言えず、あまり役に立たない。

泳ぎの際には、四肢のヒレは関節が上下左右に動くようになっており、この構造によって四肢の動きで様々な方向に対して推進力を発揮する事ができた。


 この様な多種多様の恐竜が、牙をむき襲い掛かって来るから堪ったものではない。

 打開策は有るのか⁈


 ◆▽◆


 静蘭は(何としても永遠の美を手に入れたい!)

 そう思い果敢に海底深く侵入した。


 すると早速、どう猛な、恐竜たちが牙を剝き出し襲い掛かって来た。

 静蘭は醜い姿、醜い頭が二つ胴体から出た醜い本来の大蛇に変身して海底深く潜り込んだ。

 

 それでも…何故、静蘭の美しい大蛇に変身しなかったのか?


 それが……どういう訳か、美しい姿では本来の血気盛んな感情が湧き起こらかない。また、いつ、どんな危険が待っているか分からない。それから美しい姿では威嚇にならないのも有る。


 やはり醜いニョッキリ頭が二つ首筋から出た本来の大蛇だと、恐怖を植え付けられる。そこで最も力の発揮できる醜い姿に変身したのだった。

 

 それから美しい〈サンフランシスコ・ガータースネーク〉に変身すると、興奮すると…何故か…すぐに、リンゴ婆さんに戻ってしまうので……。


 やはりリンゴ婆さんでは海では酸素不足で生きていけないし、それから……どういう訳か?本来の醜い大蛇だと興奮しても頻繫にはリンゴ婆さんに戻らない、そんな不思議な現象が起こっていた。

 

 また…当然大蛇だと海の底もス~イスイ。


 だがそう思ったのも束の間。

 その時、巨大なティロサウルスが一気に、静蘭に襲い掛かって来た。


 大きな口をガバ~ッと開けて、二つある片方の醜い顏を鋭い歯と強靭な顎で一気に噛み砕かれて、ぐしゃぐしゃにかみ砕かれてしまった。


「ギャギャ————————————ッ!グォ——————ッ❕❕クック苦しい!」

 咄嗟に手に握りしめていた扇子を振った。


 するとどうでしょう。一気に世界が変わってしまった。

 一体ここは……一体ここはどこ?



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