第6話⁂「極夜」⁂


 




 想像以上の不出来なクロ―ンにブチ切れされて、碧と、信長🅰、秀吉🅰、家康🅰は、敢え無く打ち首となってしまった。


 ”バサッ”⚔ バサッ”⚔ ”バサッ”⚔ ”バサッ”⚔


 コロン コロン コロン コロン四体の生首が地面に転がり落ちた。


「アレ~?どして……こんな酷い目に?」アーメン👼


 折角、異世界転生?タイムスリップ?時空を超える事?が出来たのだったが、堪忍袋の緒が切れた秀吉からブチギレされ、打ち首を言い渡され……再びとんでもない場所に転生してしまった。


「エエエエエエ————————————ッ!ここはどこ?」


 真っ暗闇の暗黒世界で一日中 太陽の昇らない極夜。


 四人がテクテク歩いていると、太陽の昇らない「極夜」の砂漠地帯に、何かしら……要塞のような…到底誰か住人が住んでいるとは思えない、寒々しい不気味で巨大な城が現れた。


 四人はこんな無法地帯に放り出されて、ここでお世話になれなかったら野垂れ死にするしかないと思い、物騒極まりない城だとは思ったが、一か八か勇気を出してドアをノックした。

 すると…薄気味悪い年の頃は八十歳近くの白髪頭の腰の曲がった、魔女のような風貌の骨と皮に痩せこけた、脚に至ってはむき出しの骨だけの婆さんが現れた。


 何かしら……感じる怖い目付きと風貌に、足がすくむ思いがした四人だったが、勇気を出して話し出した。


「私たちは、突然この場所に異世界転生してしまいました。辺り一面どこを見渡しても灯り一つ灯っておらず、どうしてよいものか分からず途方に暮れておりました。すると…目の前にこのお城を発見したのでございます。どうか暫くこのお城に泊めて下さい」


「ゴッホン!私では分かり兼ねます。チョットお待ちを?今ルフィ姫を呼んでまいります」


 暫く待っていると、頭には黒いべ-ルを被り修道女風の 黒い服装で現れた女性は、どこかで見た事のあるような?年の頃は碧と同年代くらいの姫が現れた。


「私はルフィよ。あなたは達は一体どこからやって来たのですか?」


「一番最初は地球と言う星の日本国で生活していましたが、女の子を助けようと駆け込んだ時に、一瞬で安土桃山時代にタイムスリップしていたのです。そして又しても運の悪い事に、今度は打ち首の刑に処せられて、この真っ暗闇の暗黒世界に辿り着いたのです」だが、過去の記憶は徐々に失われて行く不思議な現象が起こていた。


「アア……そうだったのか?それは大義じゃったのう。ゆっくり休むがよい」


 こうして…四人は、ある一室に通され、そこで旅の疲れを癒すべく熟睡した。

だが……碧は真夜中に不審な音で目が覚めた。


「オイ!静かにしろ!今日は何か……客人が急にやって来たみたいだ。聞かれちゃヤバイ!」


「アア……分りゃ~した。この宝石はどこに置いて置けば?」


「今日は遅いから、明日片付けよう」


(な~んか?怪しい城だな~?)碧は、とんでもない所にお世話になってしまったと不安で一杯。



 ◆▽◆

 朝目が覚めると何か、懐かしい美味しそうな匂いがプ~ンと立ち込めて来た。


 すると…昨日の魔法使いの婆さんのような老婆が部屋にやって来た。


「お目覚めですか?朝食の準備ができました」そして…食堂へ誘導してくれた。


 普通、朝だと陽の光を燦燦と浴び「朝だ—————!」そんな清々しい朝を想像するのだが、この訳の分からない国は朝だと言うのに、相変わらず真っ暗闇で昼夜の区別がつかない暗黒の世界だった。


 それでも…食堂に通され朝食を見てびっくり仰天。

 こんな暗黒の地だと言うのに、なんと朝食は日本と変わらない味噌汁に白米と納豆に目玉焼きとたくわんだった。


「ゲゲゲ————————ッ!一体どういう事?」


 すると…そこに昨日のルフィ姫が現れた。

 それも何とパジャマじゃなくて浴衣を着ている。


「エエエエエエ————ッ?」


「アア……婆さん?ルフィ姫は何で地球の、それも日本国の浴衣を着ておいでなんだ?」


「アア……それが?何かしら思い入れが有るらしく、お手伝いとして働く時に細かく指示を頂き、絵に書いて貰ったのです。そして浴衣も、どこにも売っていないので私が縫ったのです。食事もこの様なものにしてくれと注文を出されて……そうそう和食を作ってくれと言われているのです。和食って何?とも思ったのですが?ネットで調べて作っております」


「あの~?それから…婆さんは止めて下さい!私の名前はリンゴです。リンゴと読んで下さい」

「へ~?チョット変わった名前ですね?」


「そうなんですが?私は物凄い長~い名前だったのです。『アナコンダマリオ○○○○○○リ○○○○○○○○○○○○ンゴ』とこのように、それでこの家で、お手伝いとして雇ってやる代わりに、その長い名前を『ここにいる間は短くリンゴにしろ』と言われたのです。だから…ルフィ姫が名付けられた名前なのです」


(徐々に分かって来たが、あのルフィ姫……どこかで見たような……?)

 そう思い思案に暮れているとルフィ姫が、話し掛けてくれた。


「どう?食事は口にあいましたか?」


「アア……故郷を思い出しました。これは地球の日本国の食事です。全く異国の地でこんな和食が出るなんて……?それから…ルフィ姫は日本人とおんなじ顔ですが、どこかで……お会いませんでしたか?」


(それにしても……?昨日から……変だとは思っていたが、あちらこちらに……無造作に袋詰めの……宝石らしきものが……ピカピカ光っているが……いかにも泥棒でも仕出かしたような……何かしら……裏社会の匂いがする……それも……ギャングのアジトの様な……このお城は何だ?……それから…名前もルフィって……最近にわかかにテレビで騒がれている・・・あのルフィと同じ匂いがするが?)


【昨今話題の「ルフィ」を彷彿とさせる泥棒集団で、日本でルフィ”などのコードネームを用い、全国で広域強盗事件を指示していたとされる男だ】

 

 こうして…朝食の後四人は城の外に出た。

 すると…すごい勢いで馬に乗った男が現れ、四人のカバンを次から次へと奪って足早に逃げて行った。


 四人は慌てて追いかけた。

 この星は一体どんな星なのか?



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