第3話⁂クロ―ン作り⁂



 安土桃山時代に異世界転生した碧は、あの時代の人々が目にしたら、絶対にヘンチクリンな人間にしか映らない。

 髪型も服装も戦国時代とは全く異質の格好、更にはあの時代は皆身長が低かったし、スタイルも悪かったから、碧は何かしら……外国人のような……それこそ……八頭身で顏が小さく……身長がやけに高い。

だから…ヘンテコな人間?外国人?宇宙人?にしか映っていない。



 こうしてヘンテコな日本人碧は、ときの「関白」豊臣秀吉に取りたてられ、結構な地位に祭り上げられ研究者となり、秀吉の策略でとんでもないクロ―ン作りに着手する事になるのだが、最初は「スパイかも知れない?」と散々疑われ命の危機に瀕していた。


 朝鮮出兵の残党で、松谷という武将が見い出したのだが、ペラペラ英語にポルトガル語に韓国語を操る碧にびっくり仰天の無知な松谷。


 この松谷という武将、本来ならば自分より優秀な男を秀吉公に、口添えしたくないのだが、相手は知性で勝負の男。自分は無知でおつむ空っぽだが……何と言ってもガタイが立派な事と腕力と武力に自信が有るので安心。それこそ、全く畑違いの博識だけのもやし坊主とはちがうので安心しきっている。。こうして……松谷は碧を秀吉公に紹介した。


 本来ならば、優秀な人材など紹介したくないのだが、実は美味しい事が有った。それは、戦国時代なので兵士が戦場で多く命を落としているので、優秀な兵士をスカウトして来た者は、出世の対象になっていたのだ。



 こうして……秀吉の前に差し出された碧だったが、実は…こんな時代なので学校で学ぶというより、寺子屋で学ぶ生徒も全部が全部ではない。無知な腕っぷしだけが取り柄の家臣も多い。



(算術は誰よりも長けているし、語学力がこれまた凄い!また「文禄の役」の残党の一人松谷が言うには薬品の知識も相当なものだと聞いている。それでも……うかつに話に乗ったら大変な事。ポルトガルからやって来た宣教師たちとスタイルは似通っているが、顔は日本人っぽい、日本人と言っているが分かった者じゃない。ひょっとしたら敵国のスパイかも知れない?)そう思い秀吉は剣を振り下ろした。


「ギャギャ——————ッ!オ オタスケ―お助け下さい!」


「ワシは、豊臣秀吉と言う者じゃ。ところで……そなた相当の知識の持ち主らしいが、一体どこからやって来たのじゃ?言うてみい」


「エエエエエエ————ッ❕豊臣秀吉。ひょっとして安土桃山時代の「関白」豊臣秀吉公ですか?……て事は……今は安土桃山時代って事?」


「そうじゃ!ワシは「関白」豊臣秀吉じゃ」


「やあ!夢みたいな話ですね?時代劇で「太閤秀吉」をよく見てましたから。ヤッホ―!嬉しいな。アア……そうそう、どこからやって来たかって事ですよね?私は、実は…未来からやって来ました。未来と言っても四〇〇年以上未来の日本からやって来ました」


「まさか、そんな未来が有るとは信じられぬ?一体どうしてそのような事に……」


「それがですね……ある日女の子が車に跳ねられそうだったので、慌てて助けようと、その女の子の元に駆け寄ったのです。そして気が付くと……とんでもない世界にやって来ていたのです。まあ?異世界転生ってヤツ?」


「な~んじゃ異世界転生って?」


「『異世界に生まれ変わる』ということです。今ラノベと言ってメチャ売れているマンガ本があります。まあ子供が読む本ですね。当然大人も読みますが……」


「それより知識が凄いと聞いているが、君の得意分野は何だい?アア……それから…四〇〇年先の未来の事が知りたい。教えてくれ!」


「僕の得意分野は特に医学や科学に興味があります。嗚呼……それでは今この時代はは、馬が交通の手段ですが、四〇〇年先の未来は自動車や飛行機が交通手段です。それから・・ぺラペラ・・ピストル・・ペラペラ・・科学の進歩で宇宙旅行もぼちぼちしています・・ペラペラ・・ファッション・・ペラペラ・・・食事・・ペラペラ・・電子レンジ・・ペラペラ・・掃除機・・ペラペラ・・クロ―ン作り・・ペラペラ」


「それにしても凄い進歩じゃのう?発展し過ぎて皆目見当が付かんが、そのクロ―ン作りは興味が有るな~?ワシはな~?優秀な人材を確保したい。そこで今尚尊敬して止まない信長公……それとじゃ……今一番筆頭格の五大老の一人で徳川家康が、不穏な行動を取って腹黒タヌキで困っておる。この二人とワシのクロ―ン作りをして欲しい」

「分かりました。僕の興味のある分野です。それではその二人の毛根部分が欲しいです。直ぐに凍結保存しますので」


 実は…碧は莉子を助けようとした時は、学校の帰りだったので学生服だった。どうにもいけ好かない、傲慢極まりない息子だが、自分の身を犠牲にしてまで、莉子を助けようとしたので神様から徳を授かっていた。


 それは…碧が必要とするものを願うと、学生服の胸のポケットに入っている銀の手帳がピカピカと光る。

 そして…「アブラ オーム シャンティ  アブラシャンティ  アブラシャンティ」と三回唱えると願いが叶う。


「アブラ オーム シャンティ アブラシャンティ アブラシャンティ」と呪文を唱えると毛根部分を凍結する機械が現れた。そしてすぐ凍結した。


 それでも…徳川家康と豊臣秀吉の毛根は採取できたが、如何せん織田信長はとっくに死んでいる。

 そこで……墓場から皮膚組織を採取したが、もうカラッカラでどうなる事やら?

 

 ◆▽◆

 碧は、興味のある仕事なので寝る時間を惜しんでクロ―ン作りに着手している。

すると…何と……とんでもない……クロ―ンが出来上がってしまった。


 これは大変な事!世界を揺るがす大変な事態が……⁈




 ※戦国三英傑信長、秀吉、家康は共に頭がよかったと言われているが、一体誰が一番優れていたのか?

 

 ◆信長は直観力に優れ目的の為に何をすればいいのかを的確に判断する能力に長けていた。

 ◆秀吉は信長の考えや他人の考えを理解する能力に優れ、他人を自分の思い通りに動かすことに長けていた。

 ◆家康はともかく、沢山の本を読破して薬作りから戦略論や歴史書も記憶する勉強家だった。そして…その知識から過去の幕府の欠点を見抜き独自の幕府を構成した。





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