玉砕をされた幼馴染から……

二髪ハル

玉砕をしたんだって……

 高校一年が終わり2年目に突入する桜が満開になって時期……。

 俺、小野寺おのでら 正也まさや思い出していた。

「……」

 最後の中学の卒業式。俺は幼馴染に告白をした。

『好きだ! だから俺と付き合ってくれないか……』

『……あっ』

 最初の方はただ……無言になっていて。それで何度も口を開こうと動いていたが口を閉じていて。それを何度も繰り返していた。

 そして……

『ごめん。…………正也を恋愛なんて見たことはない。……ごめん』

 そのままゆっくりと歩いて行き。そっくりとこっちを振り振り向いた。

『こんな私を好きになってくれたことは……ありがとう。だけど弟として、友達として……これからも仲良くしてくれると嬉しい……ごめんね私の勝手なわがままで』

 板本いたもと 愛華あいかの頬からゆっくりと頬から涙を流していた。

『……ごめん正也』

 彼女はそのまま帰ってしまった。

 俺は痛感をした。



 玉砕をしたんだって……



「……」

 告白をして一年が過ぎたが愛華から玉砕を傷は痛む……。

 もう、一年だっていうけどやっぱり痛む。それは何故かって?

 そんなのは簡単だ、毎日……彼女と、

「正也、お待たせ!」

 玉砕をした幼馴染と帰っている……。

「ふぅ……えぃ」

 深呼吸をしたと思ったら鞄を軽く俺の足に当ててきた。

「何してくるんだよ……」

「別に、ただ正也で遊ぼうと思って」

 少し笑みを浮かべながら愛華が歩き始めた。

「……」

 俺も愛華の跡を追うように歩き始めた。

 別に告白を玉砕されたからってそこまで関係が崩れるわけじゃなかった。

 今まで通り喋って勉強を教えて趣味について喋る。何事にも変わらなず宇宙人が攻めてくるわけじゃなく、隕石が降ってくるわけじゃなく普通に過ごしていた。

「……」

 けど、やっぱり心臓が痛む。顔を見るたびに好きなんだなって気持ちが溢れる。

 ……辛いな。

 愛華は学校では人気はあるけど恋愛でモテるとか彼氏がいるとかそういった噂みたいなのはなった。

「ねぇ正也」

 すると愛華がこっちを振り向いて話しかけてきた。

「なんだ?」

「ゾンビのゲーム正也がやっているの見せて!」

「良いけど……愛華さ。大丈夫なわけ」

「大丈夫って?」

 愛華が首を傾げていた。

「……」

 中学生の2年の頃。愛華がゾンビのゲームをやりたいって言ってやらせたら。あまりの怖さに……漏らしてしまった。

 その帰りはジャージを貸したけど……、

 すると愛華がハッと何か気づいた様子だった。

「あっ! わかった。ゾンビのやつでお漏らしをするって思っているんでしょ!」

「よくわかったな」

「それくらい分かるよ! 怖かったんだから正也にゲームをやらせて観てる方として楽しんでいるから平気だよ!」

 こっちに近づいて軽く肩をぶつけてきた。

「……今作のはもっと怖いぞ」

 俺でも心臓が跳ねるぐらいビックリすることあるぐらい恐怖することがあった。……いや急に出てきて攻撃してくるから恐怖より驚きの方が近いけど……。

「ぶー」

 愛華が頬を風船みたく膨らませていた。

「もし、漏らしたら正也のジーパンみたいなズボンとか借りるから平気だよ」

「……いやいやいや。ズボンを履くってゆるゆるじゃん」

 俺は愛華の腰を見たけど明らかに俺の方が体積があったから愛華が履いたら明らかにパンツが見えてしまうことになってしまう。

「平気だよ。それかジャージを借りるから」

「……そうだな一応はジャージだよな」

 ジャージだったら調整出来るから何とかなるかな?

「……にしても」

「?」

「玉砕をした相手のズボンとかよく履けるよなって」

 一度愛華が黙ってしまった。

「それはね。友達のズボンだったら平気だけど……」

「……それでもな。少しは気にするって俺が」

 好きな子なんだから気にするのは気にする。

「そっか気にするんだ……それじゃあ。私も覚悟を決めないと」

 すると愛華が足を止めた。

「なにどうしたんだ?」

 急に止まった愛華の方を見ると鞄の中から何かを探していた。

「……あっ」

 何かを掴んだらしい。こっちの方を見つめてきた。

「正也に渡し物がある」

「渡したい物」

「……うん」

 そして真剣な眼差しになっていた。

「これ……なんだけど」

 取り出してきたのは一枚の封筒だった。

「私の全てが書いてあります……」

「……えっ?」

 いきなり過ぎてわからなかったが愛華の方を見ると頷いていた。

 俺はそのまま愛華から封筒を受け取った。

「……」

 愛華の全て書かれている?

 少し言っている意味がわからなかった。少なくとも俺は幼稚園の頃から愛華と過ごしていてそれで彼女が好きだから告白をして玉砕をした。

 それでいてこの封筒に何があるって言うんだ……。

「……んっ」

 俺は少し怖かった。ゾンビゲームよりずっと一緒に見てきた幼馴染から貰った封筒の方が……。

 そして恐る恐る封筒の中身を開けると一枚の白紙の紙が書いてあった。

「………。――っ!」

 そこに書かれていたのは、




「          



     好き



            」


「……あっ」

 好きという言葉だけ書かれていた。

「……えっ?」

 俺は愛華の方を見ると少し顔が赤くなっていた。

「それが私の全部……」

「えっ!?」

 好き……その言葉に書かれている言葉怖かった。玉砕されたはずなのにという不安と好きと書かれた手紙の幸せが交互に押し寄せてくる。

「……正也に告白をされて最初の方は良くわからなかった。人を好きなんて思ったことなんかなかったから……けど、好きって言われた日からどんどんと正也のことしか考えられなくなっていったんだよ」

 少しずつこっちの方に歩いてきた。

「告白を断ってしまったけど、私は正也のことが大好き……です。私とお付き合いをして、くれませんか?」

 そのまま顔を見ながら手を差し伸べてきた。

「――っ!」

 嬉し過ぎる……心臓が一気に鳴り響いてただ言葉にならないぐらいに嬉し過ぎた。

「俺で良ければ……」

 気づいたら手を握っていた。

「……あっ。……っ! あぁ……」

 嬉しい。嬉しいすぎる……もう、愛華と恋愛なんて出来ないと思ってしたからこうして手を握れて本当に嬉しかった。

 幸せだっていう気持ちがどんどんと溢れていき。

 涙が熱くなっていると気づいた時には流れてしまった。

 嬉しい。嬉しい……幸せすぎる。もう、ぐちゃぐちゃになっていて頭の中真っ白になっているけど……幸せすぎる。

 涙が止まらない。

「……俺で良ければ。付き合って下さい」

「うん。……ごめんね。長い間待たせちゃって」

 愛華がグッと抱きしめてきた。

「……好きだよ正也」

「俺も、好きだ愛華」

 そして俺と愛華は恋人になれた。

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