第7話 〝変身〟

俺はベットに寝かされていて、服が着替えさせられている。

何があったのか不安んだ。何もなかったよね女忍者さん!


実はさっき女将に魔法を使われたのだが、スキルなんでも?で無効化されたらしい。

多少は寝ていたのかもしれないが・・・らしいというのはこのユニークスキル。

何が出来て何ができないかわからないのだ。


神がいるならとりあえず付けとけば行ける!みたいなノリだったのではないかと思う。

それでいいのかこの異世界の神よ!


検証が必要なのだが、そんな時間もない。

どうやらリッテとリースがピンチらしい。

何とか二人を助け出したいが、そのためにはこのなんでも?ってスキルが鍵を握るはずだ。

まだLv1の俺に何ができるかわからないが、やらないで後悔するよりやって後悔するさ!!と眼を見開く。


〝偉大なる聖なる力よ!我にその力を与えたまえ、与えたまえ、与えたまえ・・・〟

「あうあうあーあうあうあーあうあうあー。」たぶん今までで一番の赤ちゃん言葉だ。


シーン何も発動しない・・・何も発動しない。

なんか一人で言ってて恥ずかしくなった赤ちゃんだった。


そもそも赤ちゃんだから締まらぬ!

うつぶせになってじたばたしている。


「あうあうあー。」

よーしさっきのはなかったことにして再びやるぞ!と活き込んでみたが、何しよう!汗汗。

確か昔読んだ本で鑑定スキルが解説してくれたりしてたような?

ええいままよ。


とりあえずステータス。


ななし 年齢0

Lv1

HP10/10

MP 19/20

攻撃力 10

守備力 10

素早さ  1

知力  10


ユニークスキル

習得経験値増 アイテムボックス 異世界言語理解 鑑定 Etc(なんでも?)


このなんでもって部分に鑑定!

この世のスキルであるものを使用できるかも?

「あうああうあー。」かも?ってなんやねん。思わず突っ込んだわ!


あーうん落ち着いた。

とりあえず何ができるかな?再び見てみる。


ん?使用履歴?〝視角強化、水魔法、状態異常耐性。〟

これ三つでどうにかできる?無理だーーー


まて、たぶんスキルなんでも?で対処出来れば何とかなるんじゃないのか?

水魔法を作ったように何とか有用なスキルを覚えれば、何とかなるはず。

ベットでゴロゴロしながら考える。うんうん。と頷く。


やれるか?

しかし、この状況で有用なスキルは一体どんなスキルがある?

考える。思考タイムだ。


〝隠密系のスキルとかか?〟


あと何かあるかな?赤ちゃんから動ける人になるスキル。

〝変身系のスキル〟これも大事だね!何とか出来ればいいんだけど。


それとこの状況を何とか解決しないといけない。

真実に近づかないといけない。

どうするかな?

うーん思いつかないな。

まぁ領主邸に行って考えるかな?


 とりあえずイメージでなりたい自分に・・・

いやまて、一応服を脱がないと、なんだか物凄い脱ぎずらい。

ボタンが手に届くが中々力が入らないぞ、あ、やっと一つ外せた。

それを繰り返し、芋虫のようにズボンを脱いで。何とかなんとか準備は整った。


パンツはええいままよ。と脱ぎ散らかす。

脱皮は成功だ。虚しい戦いだ。

はーっとため息を付いた。

大人になったら、リースに可愛い女の子のいる店に連れて行ってもらおう。

そのためなら、尊厳は捨てられる・・・たぶん大丈夫のはずだ。


リースがリッテに怒られているシーンが頭によぎるが男の夢、ロマンには勝てないのさ。

赤ちゃんがごつい顔っぽくカッコつけるシーンだ。

よしっと再び気合を入れる。(全裸のあかちゃん。)キラーんと俺の眼は輝いているに違いない。


いざ!大人の自分に、なりたい自分に・・・一気に筋肉が膨張し出した。

破裂してしまうんじゃないかと思うくらいにだ。

顔の形がもうねうねと変わりだす。

こうなんだか化け物みたいになっている。

何かに飲まれてしまいそうだ。


俺邪神とかの生まれ変わりじゃないよね?とかちらっとよぎる。

色々な恐さが来て思わず眼を閉じる。

なりたい自分。なりたい自分。と唱えながら魔法をかける。


そしてなにより痛い!痛い!

わからなくなっていた足と手が出来ていく。

息が、うまくできない、なりたい自分、なりたい自分ととにかく祈り続けた。

身体と顔の形が整っていく。

全身の形が整っていく。

どれほど時間が経っただろうか?


一瞬意識がなかったかもしれない。

それほど辛い変身能力だ。

もう二度と使いたくない。

いや絶対に使わないと俺は決心した!


「あーあー。あいうえお、かきくけこ。パイナップル?あれ?これって、喋ってる?」

なぜパイナップルって言ったかわからないが口はうまく動かせているようだ。

水魔法で鏡のようなものを作り出す。

そこには子供の姿の自分がいた。

髪色も茶髪になっている。

子供だから童顔で・・・手足がほっそりしていた。

少しおなかがすいているかもしれない。

あと、うん男だ。皆も察してくれてうれしい。


「しかし子供の容姿なのか?何かが足りなかった?イメージとかか?それとも成長限界がこれって?大人になっても子供扱いされるのか?それは嫌だな。」と思い悩む。


とりあえずステータス。


ななし 年齢10(変身中)

Lv1

HP105/105

MP 29/40

攻撃力 20

守備力 20

素早さ 38

知力  20

ユニークスキル

習得経験値増 アイテムボックス 異世界言語理解 鑑定 Etc(なんでも?)


変身調整の限界が10年後とかだったのかな?

軒並み成長したステータスになっている。

もう一度水かがみを見る。


「おー童顔だけどさらに10年経てば!!イケメンなのでは?いやこの姿はまがい物の可能性があるか?うん、あんまり考えないようにしとこう。あと全裸で水鏡の前に立つのはやめよう。」水鏡を消す。


さて後は隠密スキル発動。おお、おお消えている?

手を見れば透明化していく。


あれそう言えば俺裸?とりあえずシーツでくるまって。

この家に男性用の服とかあるかな?

なかったらこのまま外に出ないといけないのか?

それはそれでなんかやだな。


リースの予備の服なかったかな?と探すがない。

なぜか箪笥にはメイド服がある。

うーんさすがにこれは・・・頭に手を当て考える。

人差し指でトントントンと頭を軽く叩きながら考えた。


「全裸で外を歩くか(シーツあり)とメイド服を着るか。」シーツなら隠密を使える。

メイド服なら、隠密を使わず。外を歩ける。が男として自分で着るのは?

うーーーん?


尊厳と女装、どっちもヤダ!!とベットを叩きまくる。叩きまくる。

シーツのほうがいい、シーツの方がいい。

でも隠密スキルが何らかの拍子に切れるかもしれない。

そのことを考えるとシーツに伸びる手が止まる。


「くーーーそったれ。」とタンスの中のメイド服をかっさらう様に手に持つ。

この期に及んで俺はまだ迷っている。


「俺に女装趣味はない、俺に女装趣味はない。」と唱えながら俺はメイド服を嫌々来ていく。

意外にも簡単に切れるタイプのようで、なんか中にこうクナイが入っていたが、もしもの時の武器に使えるかもしれない。

詳しくは詮索しない方が良さそうだ。


着替え終わった。

しかし胸の部分がちょっとないから、ごわごわする。

気にしてても仕方ない。

俺がここまでしたのだ。

今度は辺境伯さんにでも、高い女の子の店にでも連れて行ってもらわないと割に合わないぞ!!マジで!!


とりあえずドアを出ようとして、何かが反応する。

このドアを出たら気付かれるとスキルが警鐘を鳴らしてくる。

さすがリッテさんの師匠なのかな?


「仕方ない男ものの服は領主邸から拝借しよう。」そう言って。窓に手をかけた。

ぎぃーと言う音ともに、窓を開ける。


時刻は夕方くらいで裏路地のような所、見つかりにくい宿なので人通りもない。

もう少し行けばスラムもっぽいところが見える。

スキル遠視で確認。あとここは境界線なのだろう。


「あの女将、絶妙なところで宿屋やってるな。」

それとうん、わかってた。

ここ2階だって、落ちたら死ぬ!!俺、高いところ恐いんだもん。


「くっそー絶対リースに可愛い女の子がいる店に連れて行ってもらう、絶対にだ!」

大事なことだから二度言った。そして窓から外に出た。


「うん、今二階で物音がしたような?しかし赤ちゃんが動くはずもないし、気のせいかな?」

宿の留守番をしている女は気付かなかった。

そのことで後で色々と災難な目に合うとはまだ知らない。

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