第6話 女将と女忍者さんと赤ちゃん

 女将と女忍者さん


「状況は最悪かね?」宿屋の女将が頭を抱えながら、思考する。

「最悪ですね。」それを冷たくばっさり行く女。あ、結構美人さんだ!

「あうあうあー。」と子供ご頃に手を伸ばそうとする。身体が勝手に!!


「殺りに行ったのかね。」ヤバい言葉が出てきたよ!と震えだす。

「殺りに行ったんでしょう。」なんだか美人さんが恐く見えてきた。

伸ばした手をひっこめる。なんだか悲しそうな顔になる。


「最悪だね。」思わず俺も頭を抱えた。

「最悪ですね。」二人してため息を着く。

赤ちゃんの俺もため息を吐いていいだろうか?


「動くにしても夜だろうと思うけど。どうしたもんかね?」

女将が腕を組む仕草をした。また考え出す。


「どうしましょう?」美人のお姉さんも途方にくれていた。

「さすがにお手上げかね。まぁ奇跡的に領主が回復してくれればいいけど、あまり期待しない方がいいね。」今日何度目かになるため息を吐いた。

「あうあー。」子供心に慰める。女将が俺の頭をなでてくる。


「あんたも大変だね。利用されたか。最初から、たまたまかな?」

やれやれ顔の女将さん。


「昨日リース様が来ている事は把握されていたんじゃないかと。」

立っている美人のお姉さんが腕を組んで、胸を強調してくる。

くっ!あれは罠だ!と顔をそらした俺は悪くない。


ごめんなさいチラ見してます。

顔を背かれて少し悲しそうだったので、チラ見しているのがばれてなんか少し嬉しそう。え、なんかこの人ヤバい人なのかな?と半目になってみていた。


若干おろおろ気味の美人さん、

よく見たら黒装飾に身を包んでいる。

多少忍者っぽい、女忍者だーっと一瞬目をが輝かせた俺は悪くないと思う。


「そうだね。その可能性が高いか・・・のこのこ罠に掛かったね。幸いなのが赤ん坊の存在には気付いてないって事かね。まぁ何があってもあたしがあんたを守ってやるよ!」

うん、お願いします。

赤ちゃんなんで無理できません!とまだまだ頭をなでている。

なんか少しなで方雑になってない?


美人忍者を見れば、向こうもなんだかんだで、なでたそうにうずうずしている?

「そうでしょうね。気付いてたら一緒に保護しているはずですから、その面でもリース様は仕事してくれたでしょうね。」とさっきから俺に向けて話してくる。


表情崩れてますよ。女忍者さん!!


「半人前、表情が出ているよ!手際がいいなら明日中には処刑されるかね?」と聞く女将。

赤ん坊をやらないよ!と美人の女忍者さんから遠ざけようとしている。

女忍者さんは残念そうだ。


「その可能性が高いでしょう。万が一にも後継者候補の二番手をここで排除出来たら、グッと自分の立場が固まります。もう後継者確定ですね。思い切りがいいです。多少好感が持てます。あと赤ちゃん抱かせてください。」と手を広げる女忍者。


「そうだね。家に欲しいくらいの人材だ。となると手強いね。しかし性格が問題だと聞いているよ。はーーー。あと赤ちゃんはやらん。」とため息を吐く。

本当に今日何度目だろうか?


沈黙が続く。

女忍者と女将が火花を散らしている。正直逃げたい!


「リッテ様はどうするつもりでしょうか?あと本当にそろそろ渡してくれません?」とクナイを持っている。え、やるつもりなの?


「今夜中に動くだろうよ。あとそいつはしまえ、お前の腕じゃ赤ん坊に当てちまうよ。」

「あうあうあー。」何それ危ない!!


「わかりました・・・暗殺ですか?」

「そうだね。暗殺で済めばいいけどね。」


「・・・」

「・・・」

「・・・はやくこちらに赤んぼ坊を渡してくれません?なでて可愛がりたいので!」


「あうああー。」そんなにヤバいの?

「まぁあの子ならない丈夫だろう?」あえてさっきの言葉をスルーする女将。


「そうですね。ブラッディーマリーでしたよね?」

なんか女忍者さんが手を何回もにぎにぎしている。

ああー抱きたいとか言う波動を感じたような気がした。


「ああ、最後に生き残った血に染まった令嬢さ。表向きには一家全員死亡になってるけどあの子だけは生きてた。当時成り上がりの伯爵邸に押し入った刺客、まぁ妬まれてたんだろうね。敵対派閥から送られた刺客が家族使用人を殺しつくした。聞くところによると当時の警備主任もグルだって、こうなるともう殆ど詰みだよ。しかしそこでなぜかリッテだけ生き残った。当時はマリーって名前だったね。まだ10歳くらいだったか、魔法とナイフですべての刺客を殺し尽くした。」眼を詰むって昔のことのように言う。


「あうあうあー。」それっ超ヤバい奴じゃない。

「本人は覚えちゃいないみたいだけどね。」って優しく俺をなでる。


「どうしますか?あと本当にそろそろ襲いそうなんで早く渡してください!」

「あうー。」俺赤ん坊。

危ない薬とかじゃやないですよ。女忍者さん!と抗議の声を上げる。


「うーん。大人しく辺境伯の回復を待つしかないね。あとあの子のフォローかね。なんというか、不運だね。個人的にあの子には幸せになってもらいたいんだけどね。」そう言ってどこか遠い目をする。

「あうあうあーー。」そうだそうだ。


女忍者は我慢我慢と言ってこぶしを振り上げる。

演歌とかである握りこぶし振っている。

恐らく女将をなぐってでも俺を奪取したいのだろう。

しかし、まだ女将に勝てないから我慢しているに違いない。


「お前もそう思うかい。」とまたなでだす。

女忍者がほぞを嚙んでいる。(どうすることもできない!)

ふくを捲って上着を捲って噛んでいて、へそが見えている。

なんかこう美人のへそだね。うんうん。

「あうあうあー。」女忍者はもうわけわからないよもう!


「とりあえずリッテを探すよ。なんとしてもこれを止めないといけないね。今日は休業にして、皆でリッテを止めないとね。お前さんもしばらくベットで寝てな。」

そう言って女将が手をかざす。

「スリープ。」と聞こえた俺は眠くて仕方なくなり寝てしまいそうになる。

あれ?今のって魔法なのか?とおぼろげながら思ってがくんと落ちた。


「この子をしばらく奥の部屋のベットに置いときな。しばらく起きないからね。」と言って大事そうに女忍者さんに渡す。

「はい。」と嬉しそうに抱いた。そして一言。

「出来れば起きてる時にも抱きたかったです!!!」と女忍者がはぶてる。


「はー帰ってきたら、好きなだけあの子に言って抱かせてもらいな!」と先代は言う。

「はい、これで私は100パーセントいや、200パーセントの力が出せます。」と言って燃えている。


「おー私はやったるぞ!!」とか言い出した。


「まだまだ未熟だね。こんなのしかいないとは人材不足だね。さて、今代を止めに行きますかね。」


一瞬にして黒装飾に身を包む。顔も頭巾に覆われ誰かわからない。


女忍者が赤ちゃんを二階のベットに連れて行ったが、そこで何があったのかはわからない。

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