第145話 もう1体のSSSSランク
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【
種族:ブラッド・ドラグーン
ランク:SSSS
属性:水・闇
HP:150/150
MP:250/250
SP:20/20
STR:120
ATK:120
VIT:120
INT:120
MIN:120
RES:120
AGI:120
DEX:120
LUK:120
ALL STATUS:1500
〈アビリティ〉
【血統因子】【龍姫】【疑心】【魔力循環】【虚弱体質】【常在戦場】
〈スキル〉
『バブルケージ』『ポイズンブレス』『パラライズブレス』
〈アーツ〉
『ドラゴンハウル』
〈装備〉
・スロット1:なし
・スロット2:なし
・スロット3:なし
〈龍覚醒〉
【???】:未解禁
――――――――――――――――――
「うわぁ……」
その性能を見て思わず引いてしまったが、先程ルヴィアが言っていたようにこのドラゴンもまた『ブラッド・ドラグーン』の1体であった。
その性能はルヴィアの属性が火・光であるのに対し、水・闇と真逆の性質となっている。光と闇は互いに弱点となる属性だが、火と水だと水のほうが有利となる。
また、ルヴィアと違ってMPに関しては多めな印象ではあるが、その代わりにHPが若干少なく、SPはルヴィアのMPのように極端に少ない。
それ以外のステータスに関してはルヴィアの初期値とは変わらないようだ。
おそらくはアビリティの1つである【虚弱体質】というのが関係しているのだろう。どうやらHPやSPが上がりにくくなるようだ。
見た感じだとスキル系統を使いこなすタイプのドラゴンのようだが、そのスキルはいずれも妨害系に属するもののようで、攻撃には関与しないらしい。
『バブルケージ』は相手を泡の檻に閉じ込めて一定時間AGIを低下させるというもの、そして『ポイズンブレス』と『パラライズブレス』は相手に毒と麻痺の状態異常を与えるという技になる。ブレスとあるが、ルヴィアのドラゴンブレスのように吐き出すものなのかどうかは……実際に見てみないと分からない。
肝心の攻撃技に関してはアーツの『ドラゴンハウル』くらいしかないが、いかんせんSPが低すぎてそもそも使えない気がするのだが……。
ルヴィアの場合は『魔力供与』で強力な『ドラゴンブレス』を使用できるのだが、現状ではSPを相手に渡したり、増やしたりする手段は持っていない筈なので、ある意味ではルヴィアよりも厄介かもしれない。
「えっと……取り敢えず、自己紹介してもいいかな?」
取り敢えずステータスの確認ができたところで、一触即発になりかけている2人のブラッド・ラグーンに対して話しかける。流石にこの様子は後ろで震えているダブリスに悪い。
「あら、私ったら……失礼しましたわぁ。私は【龍淵姫】リディスと申します。よろしくお願いいたしますわ、マ・ス・タ・ァ?」
何やらセクシーな口調で自己紹介をしていくリディス。容姿はルヴィアよりも大人らしいが、そこまでグラマラスでセクシーというわけでは無い。しかし雰囲気的にそう思わせるような何かがあった。
「あ、あぁ……よろしくリディス。僕はリュート。そしてこっちが――」
「妾は【龍閃姫】ルヴィアだ。先輩として、よろしく頼むぞ……後輩殿でよいかな?」
「あらぁ? たった数日の差でそんな先輩面をされても……困りますわぁ」
相変わらず間にビリビリと何かが走りそうな勢いで睨みつけていくルヴィアとリディス。
うーん、なんか嫌な予感しかしないんだが、この状態でここから先進んでいかないといけないんだろうか……?
戦力の補強には違いないだろうが……まだ召喚しないほうが良かった、なんて事にならないように気をつけないといけないな。
「ふむ……まさか龍姫様を二方も呼び出すとは、君の豪運は本当に神がかっているな……」
「は、ハハハ……」
その後、ようやく復帰することができたダブリスから運について語られる。確かに前は運がいいから、という理由で未知の召喚石を選んでルヴィアを呼び出したが、まさか今回もまたSSSSランク、それもルヴィアと同族というドラゴンを呼び出すなんて思いもしなかった。
とはいえ、そもそもがSランク以上が確約されているので、そこから更に高ランクドラゴンを呼び出すなんて事はまぁありえるだろう。それこそ僕の運ならSSSSランクも普通にあり得る……のかもしれない。
因みに掲示板の情報が正しければ、これでSSS《トライエス》ランクドラゴン以上のドラゴンが呼び出されたのはリディスで10体目になるようだ。一応、ダブリスに確認したので間違ってはいない。
そのうち、SSSSランクについては6体となるよううて、リディス、そしてルヴィアとスズ先輩のアーサーを除くとなんと既に3体は呼び出されているらしい。
その全てが人型ドラゴン――というわけではないようで、うち2体はかなり巨大なドラゴンだったらしい。エンシェントなんちゃらみたいな名前でかなり強力らしいのだが、サイズ的にかなり場所を取るようで場所によっては召喚できなかったりするという話であった。
また、残りの人型ドラゴン1体に関しては、召喚者であるプレイヤーがちゃんとしたドラゴンが出てくることを期待していたのに、出てきたのが人型だったのを不服に思ったらしく、その場で運営コールを行って問い合わせた結果、特別に引き直しを認められたのだという。
人型ドラゴンは総じて性能は高いものの、かなり特徴的である。それに、このゲームの特徴であるドラゴンとは似ても似つかない姿であることは間違いない。
なお、その引き直しをしたプレイヤーはその顛末を掲示板に記載しており、掲示板の住人からはそのドラゴンが女性型であったことも相まって物凄い勢いで叩かれていた。
因みに本人は引き直してドラゴンらしいドラゴンであるサンライズドラゴン――これはウルカのパートナードラゴンであるシルバーレイズドラゴンと同じSSランクドラゴンで、同じくバランスの良い光属性のドラゴンのようだ――と契約できている。引き直してもSSランクなのだから、そのプレイヤーも相当LUKが高そうである。
結果として、掲示板の住人が更に嫉妬で狂いそうになっていたことは言うまでもないだろう。
……とはいえ、安定した戦力として考えるのであれば、実はSSSSランクよりもSSランク程度のドラゴンの方がマシだというのは否定できない。
勿論、ルヴィアが弱いとかそういう事は全くないのだが、いかんせん彼らが最初から持つデメリット系のアビリティがあまりにデメリット過ぎるので、僕らのようにうまい具合にステータスやスキルの性能などが噛み合わなければ、その高い実力も発揮させる事は難しいだろう。
まだSSS《トライエス》ランクドラゴンがどんな性能なのかが掲示板などに出回っておらずよく分かっていない現状だと、使い勝手と性能とがうまく合わさっているのはやはりSSランクドラゴンなのたろう。
それはセンディアやアテナの性能から考えると間違いないだろう。
とはいえ、SSランクドラゴンは結構召喚コストが重かったりするようで、ウルカもMPをアビリティや装備で引き上げたりしている。
また、センディアのようにバランスの良いタイプは結構珍しく、現在までに明らかになっているSSランクドラゴンの多くは特定の性能や役割に偏った特化型の場合が多いらしい。
Sランクドラゴンもその傾向は強いらしく、結局のところバランスよく戦闘で使いやすいドラゴンはAランクドラゴンなのではないか――というのがその掲示板での結論となっていた。
結果として、初回でAランク確定の召喚石を選んだプレイヤーがちゃんとドラゴンを使ってゲームをプレイする中ではやりやすい方になるのだろう。
……その結論がどうであれ、結果として僕がSSSSランクドラゴンを2体召喚したという事実は変わりようがないのだが。
「……取り敢えず、先に施設の利用料を頂くとしようか」
「あ、はい……」
その後、ダブリスに対して召喚費用としてのお金を支払う。
その間、バチバチと火花が散っていたリディスとルヴィアであったが、何か通じるものでも感じ取ったのか、双方ニヤリと笑みを浮かべて睨み合っていた。
属性相性的にはルヴィアが厳しいが、もし戦闘になるとスタミナ的にリディスの分が悪い。そういった点もあって、特に一触即発から先に進むことにはならなかったようだ。……あぁ、良かった。
何かあれば即送還させなくてはならなかった。もしそうなると、再召喚に凄いコストがかかるので本当に良かった。
取り敢えず色々あったが、新しい仲間は増やすことが出来た。
「さて、共に往きましょうか、マスター」
そして僕のもとに歩み寄って、極々自然な流れで僕の右手にしがみつくリディス。いや、なんでさ。
「む! ずるいぞ! 妾も!」
その後、何故かルヴィアも僕の左手の方にしがみついてくる。いや、本当になんでよ。
「いやはや。微笑ましいものだな」
「いや、笑ってないで止めてくださいよ……」
尊いものを眺めるような眼差しでこちらを見守っているダブリスを余所目に僕らはそのまま聖竜神殿を後にする。
因みにやはりというか、リディスの方も常時召喚アビリティである【常在戦場】を持っていたので彼女もルヴィア同様、常に付き添う形となった。どうやら2体目以降であってもこのアビリティ持ちだと常時召喚される形になるらしい。
ただし、この手の同時召喚のデメリットとして2体目のドラゴンが戦闘に関与した場合、ドラゴンのHPやMP、SP以外のステータス値が幾らか減少するらしく、【常在戦場】は強制戦闘参加のアビリティなので、この場合だと送還しない限り2人のステータスは戦闘中に減少してしまうという形になるようだ。
まぁ、こればかりは仕方ない……のかな?
何にせよそれらのステータス自体は他のドラゴンよりも高いのは確かなので、そこまで大きな問題にはならないだろう。
「さて、そろそろオキナの店に向かおうか」
「うむ。了解したぞ」
「何処かは知りませんが、分かりましたわぁ」
その後、僕は2体の龍姫を連れ添ってオキナの店に向かうことにしたのだが、途中にエリア開放による影響か調味料や野菜等の種類が増えている事に気付いてついつい買い物をしてしまったりし、普通なら数分で着く距離に30分もかけてしまった。
その間、僕の両脇にくっつく彼女らの存在により周囲の視線をかなり奪うこととなってしまったのは……言うまでもないだろう。
ただ、それが人型ドラゴンによる視線なのか、それともリア充爆発しろ的な視線なのかは……不明である。個人的に後者ではないと信じたいところだ。
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