第3話  賞味期限

女を沼に落とす事を覚えたら「さいご」だ。

2度とふつうの恋愛なんて出来ない。


-依存関係-


自分 と 誰か が繋がっていないと不安になるんだ。

心の一傾向には、ある種の人格変容をもって応じるしかないだろう。


恋愛は クレーンゲーム と同じだ。

取れそうな物だけを狙えば、お金を浪費しない。

ただ、欲しい物に執着してしまえば『沼』へと落ちる。

最後は財布の中をカラにしてしまうのが落ちだ。

散財して手に入れても、すぐに新しい物に目移りをしてしまう。


女は単純だった。相手の顔キャラクターで選ぶからだ。俺の性格を知ろうともしない。

場違いの女を見つけて、褒めてやれば簡単に落ちるだろう。

仲良くなったフリをして頼みごとをする。

相手が応えてくれるなら、感情を揺さぶり続ければいい。

「好きだ」「愛してる」「おまえだけ」「初めて(感動した)」

そんな事を言ってやれば、勝手に依存しやがる。


***


天沢朔也はペンネームを[sakuya]として活動していた。


3度目のタイムリープで初めて見つけたときは、拳を握りしめて喜んだのを覚えている。この内容は良くわからないけど、私が彼に「本当の愛」を教えてあげれば良い。

このページを(私への)愛をつづる作文へと変えてあげるわ!


……などと イキメル少女いきりメルヘンの時期がありました。


真綿でゆっくりと首を絞めるように彼を束縛していった。

そして、めでたく「カクヨム」を通じて、私たちは結婚をした。


これからは幸せいっぱいの人生が待っている、と確信していた。


なのに―――。


朔也は、2023年の春に何者かに殺されてしまう。


どれだけ朔也を独占しても、愛し合っていたとしても、

私は2017年へと 戻ってしまう。


地下室に 朔也を閉じ込めて【死】を回避しても、気が付けば―――。


……なんで?


この日に戻ってしまう理由が見つからず、私は うんざりとしていた。


世の中全体が、私をバカにしているようだ。

 拒絶や妨害といった「意図」を感じてしまう。


「どうして、2023年から 前へ進めないのよ~!」



※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

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