第5話

「つくるおはよー」

「おはよう、ああ晴れ舞台にふさわしい天気だ」

「めっちゃ雨降ってるけど」

「きっと晴れてくれるさ」

「なんかつくる普段に増して一段ときもいね」


 最近よくキモいって言われるけど、俺は正常なのにな。

「健、おはよー。なんかつくるが普段と比べて一段とキモいから気をつけてね」

「健、お前大丈夫か」

「ふ、神童である俺に何を言っても何も効かないのさ」


「佐藤くんおはよー」

「小林さんおはよー」


 あの小林さんが佐藤に挨拶しただと。と、教室中は賑わっていた。


「小林さんつくるなんかキマっちゃってるからお気をつけて」

「佐藤くんそうなの?」

「ふふこの二人にはわからないさ。天才の世界の見え方がな」

「佐藤くん徹夜した?」

「徹夜したんじゅない、俺がすごすぎて太陽も上がってきちゃったのさ」

「あー、こりゃ徹夜でおかしくなってるね」

「まあ、三人とも任せてよな」


 武田先生が小テストを持ってきた。

 さあ俺の時間だ。


 ああ、めっちゃ気持ち良い。全て解けた、これは満点だな。誇らしげに武田先生に早めにテストを提出しに行くと

「佐藤お前、この早テストに早提出はないしお前名前書いていないから0点になるぞ」

 な、なんてことだ

「武田先生、どうか名前を書かせてもらっても良いでしょうか」

「まあ今回はいいからみんなのために静かにしてくれ」

「はい」


 周りの目が痛い。ぴえん。


 休み時間になって小林さんに早く報告したかった。

「小林さん、一瞬良い?」

「いいよー」

「美雨ちゃんもついにかー」

「もーえりか違うって」


「小林さん友達と話してたのにごめんね」

「大丈夫、テストどうだった」

「あのね、めっちゃできた。本当ありがとうね!」

「危うく0点だったよねー」

「かんっぜんに忘れてた」

「危なかったねー、佐藤くんは私に何お願いするのかなー」

「佐藤さんと一緒に花火大会に行きたい」

「あー、2週間後のやつだっけ?」

「うん」

「いいよー。満点期待してるね」

「まかして!あ、佐藤さん」

「どうしたの?」

「俺は今から寝るからまた明日ね!」

「いつまで寝るつもりなの」

「そりゃもちろん放課後まで」

「いや無理でしょ」

「俺の眠りは深いから安心してね」

「おこられてもしーらない」

「まかっせな」

「まあ、放課後まで寝てたら起こしてあげるよー。私今日何もないし一緒に帰ろっか」

「え、ほんと!」

「うん、何か用事あった?」

「何もないです」

「じゃあ佐藤くんまた放課後ねー」

「またね」


「ああー、よく寝たなー」

「佐藤くんおはよう」

 そこには小林さんがいた。

「おはよう。あれ今って何時」

「今もう6時だよー」

「小林さんもしかして待っててくれた」

「もちろんー、だって約束したじゃん」

「ありがとう」

「佐藤くんって本当に起きないねー」

「あれ、手繋いでる」

「あーなんかね佐藤くん起こそうとしたら掴まれたー」

「ごめんね、そのせいで待たせちゃって」

「大丈夫だよー。さー帰ろっか」

「うん」


 小林さんと手繋いじゃった、嬉しいな。

「小林さん、ご飯食べにいかない?」

「あーごめんね、うち夜ご飯出てくるからあまり食べれないや。けど少しだけ軽く食べよっかな」

「小林さんにはなんでも奢るので、お好きに選んでください」

「ほんと?嬉しいな」


 ファミレスに入った。

 俺はデラックスハンバーガー特盛セットを頼んで小林さんはパフェを頼んでた。

「佐藤くんめっちゃ食べたねー」

「小林さんも幸せそうに食べてたね」

「幸せな時間だもんねー」

 ああ、俺なんか勘違いしちゃいそう。小林さんと付き合いたいなー。


「じゃあ小林さんまたねー」

「うん、またねーつくる」


 つくるって誰だっけ。ああ、俺の名前か。

「またねー、みう」

 は、はずかしい。


 みうは心なしか嬉しそうだった。

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