第3話

「ねえ、佐藤くん何にする?」

「ショートケーキかなあ。小林さんは?」

「私はマカロンかな」

「すいませんー」

 なんとそこには笑顔のひかりがいた。

「ショートケーキとマカロンお願いします」

「現在当店ではカップルのお客様に限定のクリームパンを提供してますが、お客様はカップルですか?」

「あー違い「そうです!」」

 小林さんは合わせろよーって伝えたいのか頷いていた。

「あらーそうなのですか。クリームパンお持ちしますね」

 ああ、ひかりさんや。今度何か奢ります。


「佐藤くん話合わせてもらってごめんね」

「大丈夫だよ。小林さんクリームパンそんなに食べたかったの?」

「カップル限定のクリームパンってどんななのか気になっちゃって」

「小林さんは今付き合っている人いないの?」

「いないよー。佐藤くんこそいないの」

「うん、いないよ」

「そっかー」

「私ね。よく告白されるんだ」

「よくされているね」

「みんなあなたの可愛さに惚れましたとか、美しさに惚れましたとか言ってくるのは嬉しいけど私自身を見てくれる人はいなくてさ」

「そうなんだね」

「急にこんな変なこと話しちゃってごめんね」

「大丈夫。あの、小林さん俺の友達になってください」

「いいよ!」

 ああ、幸せ。


「お客様、こちらケーキです。またデート中ということなので写真を撮りましょうか」

「お願いします」

 小林さんとの2ショットゲット。ひかりまじありがとう。ひかりは小さくがんばれって言ってくれた。

「「いただきます」」

「んんー、佐藤くんクリームパンめっちゃ美味しい〜」

「しっとりふわふわでこれ美味しいね」

 母が言っていた、愛する人と食べるご飯は美味しいわよーってこのことだったのか。めちゃくちゃ美味しく感じる。


 ***

 ケーキ屋さんを出た後小林さんとの帰路に着く。1日だけでここまで仲良くなれたことがとても嬉しい。

「ねえ小林さん」

「どうしたの?」

「今日は色々とありがとう」

「こちらこそありがとうね」

「ま、またどこかいきませんか?」

「いいよ!」

「あ、小林さんチャット交換しない?」

「いいよー」

「佐藤くん、変なアイコン使ってるね」

「これかっこいいでしょ」

「なんでラクダの写真なのw」

「小林さんは猫なのね」

「そう、うちのみーちゃん」

「みーちゃん、かわいいねー」

 ふと見ると小林さんがすこし赤くなってた。

「小林さん、風邪でも引いた?」

「大丈夫。佐藤のくせに無自覚はずるいよー」

「あー、猫のことかっこいいって言ってほしかったのか」

「違う!あ、この写真の佐藤くん変な顔してるー」

 よくよく写真を見るとへにゃへにゃな顔してる俺がいた。

「え、俺やばい顔してるじゃん」

「そんなにケーキ美味しかったの?」

「生きてきた中でいっちばん美味しかったよ」

「そっか」

 小林さんとの帰路はとても楽しかった。

「佐藤くん、私こっちだからまたね」

「うん、小林さんまたね」


 ***

「ただいまー」

「つくるあんた変な顔してるわよ」

「え」

「おにいちゃんスマホ眺めながら変な顔してるー」


 え、俺そんな変な顔してるのかな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る