第3話 近づく


いつもどおり歩いて会社へ向かってる。


今日は雨だ。

風もなく、まっすぐに傘に刺さるよう降っている。


水溜りを気にしながら歩いて、前を向いた時に「報せ」が始まった。


妄想なのだろうか

はたまた夢なのだろうか


と最近では考えもしなくなった。






見たことのない男性と女性が

私に頭を下げている。

どちらもとても緊張してるようだが、特に男性のほうが顔が引き攣ってる。


女性も緊張しているようだが、メモを取りながら私に質問をしてくる。





いったいなんの光景を見ているのだろう




最近では「報せ」を見ながら考える事も出来るようになった。



脳裏に浮かぶシーンが飛び



またその男性と女性が出てきた。



どこかの居酒屋だ。


さっき見たシーンでの緊張とかは見られない。私とその二人で酒を飲みながらやわらかい表情で何かを話してる。


内容はわからない。



何かを決めたような

そんな感じに見えた途端



報せは唐突に終わって


私は会社のロッカーで制服に着替え終わってた。



周りから見たら

知らないうちに妄想をいだきながら会社に到着して、準備をし終わってる人なのかと…とは思われないか。



まぁどう思われようがいーか。


人の目なんて。







私に近づいてくるのは人じゃない。


報せだけさ。


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