第4話 求人

「三上君、あとで打ち合わせがしたいんだが…」

小籔課長に捕まった。





会話にならない上司との打ち合わせほど苦痛なものはない。


単純に長い。そして行き着く答えが出ない。


どうするか

どうしたいか

じゃあこうしようか



にも行き着かない。


何故この男が出世出来てるのかがとても謎だ。




勿論プライベートの話もしない。

ただ永遠に落とし所のない仕事の話をするだけの関係だ。



気が重い。

帰りは遅くなりそうだ。



って考えてるときに

上司の小籔が 


「三上君、大丈夫?」



え?

お前のほうが大丈夫かよ。と心の中で毒吐いていてると



「顔色が悪いぞ。疲れてるんじゃないのか?」




珍しく体調を気遣ってくれる。


別にどこも不調はないのだが

小籔にはそう見えるらしい。   


続けて


「最近色々と三上君に負担がかかってるからなぁ…。」


…おまえがもうちょっと動いてくれると負担も減るよ。


「いえ、問題ないですよ。ありがとうございます。」




この男に

そんなに顔色悪く見えますか?

等と返した日には大袈裟に言っても30分くらい捕まる。


簡潔にが一番良い。




「無理はしないように。って打ち合わせの話はね、うん、求人をお願いしてね。それでー」













ああ

報せは

きっとこれだ


違いない。


「小籔課長、もしかして2名ですか?」



「え?私言ったっけな。ま、後で」


とファイルを翳して足早に去っていった。





    






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