第31話 アリス封じられる
「やったわ!聖獣!手出しするとこの子を即殺すわよ」
どこから現れたのか数名の兵に守られたエレンがクリストフのそばに立ち、聖獣に向かって言い放った。
「よくやったわ。」
クリストフにほめるように口づけする。
「それをつけなさい、魔法で余計な事できないようにね」
クリストフが持っている魔力を封じる魔道具をアリスに向かって投げた。
「あ、姉上!僕大丈夫だから!そんなのつけないで。兄上!放して!姉上を守ろうって約束したじゃないか!」
クリストフは反応せず、空では竜が吠えながら旋回している。
「・・・ルイス。前の時もあなたは泣いていたわ。操られながらも必死で私を助けよとしてくれていたのね。そして今も。もう十分よ、ありがとう」
アリスは魔道具を手に取った。
「本当にルイスを解放するんでしょうね」
「ええ、もちろん。私は慈悲の聖女ですから。」
微笑むエレンにアリスは無表情で問いただした。
エルネストはとびかかる隙を狙っているが、クリストフがルイスを拘束しているうえに、兵に守られたエレンは魔法が使える。どちらかに襲い掛かっても道は開けない。
「目的は何?私の力を奪ってどうするつもり?」
「先につけなさい。つけたら話してあげるわ。」
「姉上!駄目!」
アリスは魔道具を自分の首にはめた。
「姉上・・・」
「アリス・・・」
エルネストは真っ青な顔で崩れ落ちた。これを覆せるとすればアリスだけだったというのに。
それを見てエレンは高らかに声を上げて笑った。
「ああ、長かった。あなたを探し出すのも、聖獣を見つけ出すのも」
「約束よ。」
「ふふ、そうね。今更何もできないのだもの。冥途の土産に教えてあげるわ」
エレンはそう言うなり、そばにいた兵の剣を奪うとアリスの体を貫いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます