〜7話〜 師匠
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「それがこいつ、レイドだ」
え??この酔っ払いが師匠??いや見た目で判断しちゃダメとは言うけど…酔っ払いだぞ?いや、えぇ…
「この俺がこんなクソガキの師匠だと!?てめえ寝言は寝て言いやがれ!」
先に口を開いたのはリードだった
「こっちのセリフです」
思わず声に出してしまった
「まあまて2人とも、見た目で判断するのは良くないぞ、そうだな…互いに自己紹介でもするか」
ギルタンはそう言って手頃な木の棒を2本広いリードと俺に渡す
「はっ、こいつで戦えってか?俺が負ける可能性なんて万に一つもないぜ?」
「その通りだ。だからハンデをつける、お前は使っていいのは木の棒のみ。そしてこの範囲から一歩も動くな。」
そう言ってリードの周りに線をかく
範囲はかなり小さくほとんど動けない。せいぜい体の向きを変えれるくらいだろう
「ガイアはどんな形でもいいからリードに一発入れれたら勝ち、体のどこでもいい。対するリードはガイアの頭に一発入れれたら勝ちだ」
俺は自由に動けてこいつは動けない…おまけに当てる部位は決まってるか、あまりにも有利だ、仮にこいつが剣士だとしても余裕で勝てるんじゃないのか?
「それだけでいいのか?その程度で俺がこのクソガキに負けるとでも?俺も舐められたもんだなっ!」
ずいぶん自信家だなこいつ…
「じゃあ始めるぞ、では…始めっ!」
なんとなくで棒を構えリードを見る。棒を杖代わりにして余裕の表情…むかつく
頭を打たれなければいいんだ。とりあえず頭を守っておこう
頭の上に棒を構えつつじりじりと距離を縮める。リードは右手で棒をくるくる回している、顔を見るとムカつくので胴体辺りを見る
なんだ…おかしい…
もう棒が当たる範囲なのに何もしてこない
こいつ俺がガキだからって本気で舐めてやがる…
いいぜ…痛い目みせてやる
狙うのはこいつの左肩。最短距離で思い切り棒を振り切る
俺を舐めた罰だ。くらえっ!
棒を強く握り全力で振り下ろす
と同時に頭に強い衝撃が走る。次の瞬間俺は気を失っていた
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「おーい、大丈夫ー?」
甲高い声に起こされ目を開ける。
天使が目の前にいる、そうか俺は死んだのか…はかない命だった…
「あはは、ガイア何言ってるの」
はっ、レインか、声に出てたとは恥ずかしい
「いてっ…」
起きあがろうとすると頭に痛みが走った
「ああ、あんまり動かない方がいいよ〜、リードったら容赦ないんだもん」
俺は負けたのか…何がどうなったのか何もわからん…あの酔っ払いがあんなに強いとは
「ちょっと!動かない方がいいって!」
「あ、お手洗い…」
「な、なるほど、ごめん…トイレはドア出て左にずっと進んだらあるよ」
「ありがとうございます」
気まずい空気から逃げるようにドアを閉める
さてと…大きい方が中々に漏れそうだ、急がなければ
「だからなんであんなガキの師匠をやらなきないけねーんだよ!?」
リードの声だ、何を話しているか気になる所だが俺は先を急がなければならない
「ああいう何も考えずに生きてきたような奴が俺は大嫌いなんだよ!!」
俺の足が止まる
何も考えずに生きてきた?俺のことを何も知らない奴が何をほざいてるんだ
何も考えてないのはお前の方だろ酔っ払いめ
窓から覗くとリードとギルタンが椅子に座って話していた
「あいつにはお前が1番いい。あいつとお前は匂いがするんだ」
「はっ、あのガキと俺が一緒だと?そこまで言うとは珍しいな…。そうだな々俺に一回でも勝てたら弟子にしてやろう」
「恩に切る」
「あのガキが俺に勝てるとでも思ってるのか?才能のかけらも感じなかったぜ?」
「お前はガイアをみくびりすぎだ」
「はっ、そうかい」
そう言ってリードは部屋から出ていった
あの酔っ払いめ、好き放題いいやがって
だがあの強さ、師匠としては申し分ない。性格に目を瞑ればだが…
よし、決めた。あいつ勝ってや
。
それにしてもギルタンがそんなに俺を信用してくれていたとは。なんだか心があったまるような気がした。というか本当にあったまっていた、特にお尻あたりが…
あ…
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