~5話~ 外の世界

俺は今外の世界で馬車に揺られている。そしてとてもテンションが上がっている

「すごい!本物の馬だ!」って興奮した。外の世界は移動方法も景色も何もかも違う

同じ馬車に貴族が3人乗っているがそんなの関係ない

こんなの興奮しないほうがどうかしてる


~30分前~


「外の世界に興味はありますか?」

「も、もちろんです!」

「なら私たちについてきてください。外の世界につれていきましょう」

「本当ですか!嬉しいのですが…なぜ私を外に?」

「君ががスラムにいるにはもったいないと思いまして」

「嬉しい限りです。おっと、申し遅れました、ガイアと申します」

「こちらも申し遅れました、ギルダンといいます」

男性が名乗る

「申し遅れました。ガッシュです」

好青年が名乗る

「申し遅れました。レインです」

最後に女性が名乗る

「ギルダンさん、ガッシュさん、レインさん、これからよろしくお願いします」

三人とはこれから仲良くしていきたい

「レインでいいよ~」

「俺もギルダンでいい。その代わりといってはなんだが砕けた口調で話す。

敬語は慣れていないものだからな」

「俺もそうさせてもらおう。これからよろしくな!ガイア」

「はい、よろしくお願いします」

「俺たちはこれから屋敷へ戻る。ガイアも来るといい。」

「ご同行させていただきます」

それからなんやかんや、あーだこーだあって今に至る


「それにしてもよくついてきね、私達貴族って嫌われてるんでしょ?」


レインの突然の問いに戸惑った。本音を言うか、嘘を言うか

嫌な気分にさせたくないが嘘をつくと嘘がばれたときにめんどくさい事になる


「そうですね、嫌っている人もいますが全員ではありません。まあ悪く思っている人が少ないわけではないですけどね」


嘘をつくときは事実を混ぜる。もはや俺にとっては当然の技術だ

嘘もすらすら出てくるし、俺ってば天才かもね


「ガイアはどうなの?あ、でも嫌いって言われると傷ついちゃうかも…」


ぼそっと呟くレイン、かわいい


「正直あまりいい印象はありませんでした。でも3人に出会ったとき印象が変わりましたね。貴族も嫌な人ばかりじゃないのかなーって」

「嬉しいこといってくれるじゃねか!だがそんな簡単に人を信じるのは危ないぞ。

世の中には悪い人がいるからな」

「ガッシュのくせにいいこと言うじゃない~」

「いて!なんで叩くんだよ!」


いちゃついてやがる、うらやましい

しかし確かに、外の世界に連れて行ってくれるからといっていい人なわけではない

この3人は貴族も俺らを軽蔑するような目をしなかったから信用してしまった

まあまだ信用といえるほど心を許していないのだが

次からはもっと警戒しよう。普通は世の中にうまい話などないのだから

なんて考えていたらいつの間にか2人のいちゃつきが殴り合いになっていた


「このゴリラが!本当に女かお前は!」

「なんですって!女の私に負けるあんたが弱すぎるのよ!」

「なんだとー!」

「まあまあ2人とも、その辺にしておきましょう」


止めてみるもまったく意味はない。そもそも耳にも入っていないようだ

まあ喧嘩するほど仲がいいっていうしな


「はやくくたばれ!ごみクソが!」

「あんたこそくたばれ!かっこつけて無理してるんでしょ!」


殴り合いのダメージがあるのかただ疲れただけなのかわからないが

2人は互いに胸倉をつかみながら罵倒しあっていた

喧嘩するほど仲がいいっていう、よな?


「その辺にしておけ、ガイアが困っているだろう」


ギルダンが止めるがやはり聞こえていない様子

ギルダンが無言で立つ。

ガンっ

2人に拳骨。その後2人は一言も言葉を発さなかった


「さあ見えたぞガイア。レンダートだ」

外を見ると小さくだが街が見えた。

初めてのスラムの外、初めての外の世界

俺は心臓の音がうるさくて何も聞こえなかった




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