~3話~ 世界への興味
「ふむ、困ったなぁ」
俺は一人呟いた。剣を見つけたはいいものの使い方がまったく分からん
いっそのこと売ってしまうか、かなり大きな額が手に入るだろう
いや、一般的な相場もわからない。ぼったくられる可能性がある
それに算術もできない。こんな貴重なものを何もせずに手放すわけにはいかない
売るならば剣について学び、使い倒してからだ
しかしこの剣があれば俺の夢が叶うかもしれない。スラムから脱出し外の世界を知るそしていずれこのスラムを…
と、今はそんなことよりこの剣だ。よし必要なことは代々わかってきた
今俺がやるべきことは二つ
一つ目は剣について学ぶ
剣が世界でどういう立ち位置なのか、なぜ一般的なのか
せっかく外に出ても何もわからないんじゃ話にならない
剣は世界を知るための第一歩だ
二つ目は生活する能力をつける
主に算術や剣術、外の世界のマナーetc…
要は生きていくための基本だ。できるなら敵を作りたくないのでマナーは必要だ
そしてこの二つの目標を達成するには本を読むか人に聞くしかない
しかし本は高いし三年前の事件で人間不信になって人との関わりも避けていた
そもそも外を知る人間がこのあたりに何人いるか
本を買うための金を稼ぐのも簡単じゃない。あれ、詰んでね?
いや諦めるな。なにか策はあるはず、多分…きっと…
とりあえず本を買うのは得策ではない、時間がかかりすぎる
あまり気が進まないが外の世界を知ってる人を探すしかないか
おっと考え込んでしまった。日が落ちる前に今日拾ったものを換金しなければ
今日は剣を除いてもなかなかの収穫だった
よし!剣も手に入ったことだし今日は贅沢しよう!そうと決まれば善は急げだ
早速換金換金~♪
俺は家を飛び出した。不用心にも剣を隠しもせずに
サウルの中で一番栄えている場所で売買は行われる、ここはなんと家から徒歩5分
アクセスがとてもいい、よし到着、俺の行きつけの店だ
ここの店主は俺が唯一心を開いているイケおじだ
「アランー!来たぞー!」
いつものように勢いよくドアを開ける。
ここは客が少なくほとんど俺が経営を支えている
「ガイアか、今は取り込み中だ。ちょっと待ってろ」
よく見るとスラムには似合わない上品な服装をした人が3人
一目でわかる、あれは貴族だ。貴族は嫌いだ。あの見下した態度が気に入らない
だから貴族を好むやつは少ない、胡麻をするやつはいるけどね
貴族がスラムに訪れることは珍しくない、まったくなんの用があるっていうんだ
俺は店の前で話し合いが終わるのを待っていた、が、終わるのが遅い
何を話しているんだろう…気になる
気づいたら俺は窓を少し開け盗み聞きをしていた、我ながら大胆!
んー…単語は聞こえるが何を話しているかは分からない、つまんねーの
「だから知らねえって言ってるだろ!!」
突然の怒鳴り声にびっくりして声が出そうになった
今の声はアランの声だ。アランが怒鳴るのなんて初めてだ、一体なにしたんだ
ガラガラッ
扉の開いた音がした。さすがの貴族もアラン には勝てないか
貴族が出て行った後すぐにアランの店に入る
「どうしたんだよ?怒鳴り声なんてあげて」
「あいつら知らねえって言ってるのにしつこく聞いてきやがって、人の話も聞けねえのか、これだから貴族は嫌いなんだ」
「はは、同感」
そんなことを言いながらカウンターに座る
「今日はちゃんと上等なもの拾ってきたか?」
「ああ、びっくりするなよ?」
「おお、石炭に皮もある、なるほど確かに豊作だな」
「そしてここだけの話なんだけどな…」
俺は周りを確認し耳元で話す
「なんと剣を見つけたんだよ!」
「それは本当か?」
なんだよもっと驚けよ
「ああ、間違いなく本物だ」
難しい顔で考えこむアラン
「な、なんだよ、クソでも漏らしたか?」
「いや、なんでもない」
おい、ツッコめよ
「それよりガイア、その剣今も気になってしょうがないんじゃないか?」
うん、めちゃめちゃ気になってる
「俺はもうすぐ店を閉めるから早く愛しの剣に会いにいけよ」
「今日は早いな、まあそういうことなら帰りますかね」
金を受け取り店を出る、
そして普段は食べられない肉を買い袋を片手に意気揚々と家に帰る
家の扉を開けると目の前の光景に手にもっていた袋を地面に落とした
家の中から剣が姿を消していた。もう肉のことなど忘れていた
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