第9話 3歳での日常⑤ 子供だから

「あ゛あ゛ー」


「今日はいつに増しても先生の勢いがすごかったね…アハハ」


フィルマ先生の歴史の授業は本当に疲れるのだ。いわゆる歴史オタクで、歴史のことになるとすごい熱気でずっっっっと話している。一時間ぶっつけだと…こっちのエネルギーが持たない。疲れる。こちとら3歳だ、なめるな子供の精神力。いや、精神は大人か?まぁどうでもいいだろう。


「外行くぞ、アルナ。この授業でクタクタになった体、伸ばしに行こうぜ。」


「そうだね、行こう。」


いつも俺たちはこの授業が終わったら屋敷の庭に出て体を動かしている。まぁ流石に3歳だから筋トレとかマジなものはやってはいない。そんなことを3歳からしていると確実にのちの成長に悪影響が出る。ということで…


「「最初はグー、じゃんけんぽい!」」


「よっし、勝ったー!」


「あー流石に3連続勝ちは無理だったかー」


俺たちは庭でじゃんけんをしていた。ちなみに今日はアルナが勝って俺が負けた。別にこれで体を動かしているわけではない。


「はいいーち、にーい、さーん、よーし行くよー!待てー、アストー!」


「ちょ、早いだろ!もっと数えろよ!」


「別にあんまスピード変わらないからいーじゃん!」


俺たちはいわゆる鬼ごっこをやっていた。


「うわっ!」


「タッチ!はい、アスト鬼ー!」


「こんなとこに石さえなければ…待て、アルナー!」


別に毎日鬼ごっこをしているわけではない。転生者から教えてもらった体を動かすゲーム、かくれんぼや缶蹴り、ケイドロなどを毎日交代でやっている。


「あれ、アストどこいった?」


「タッチ!アルナが鬼だー!」


「ちょ!茂みに隠れるのはずるいでしょ!」


「転んでるところタッチしてきたやつに言われたくねーよ!」


多くの場合二人ではできないからよくメイドや執事、時には兄さんや姉さん、母さんや父さんまで巻き込んでやっている。それだけにこれは楽しい。なぜだろう。前さはこんな走り回ることが楽しいとは思わなかったのだが。じゃない、だけど。やっぱり口調はなかなか治らないかー。


「「あっはっはははは!」」


このまま俺たちは2時間ぐらい鬼ごっこを続け、最後には疲れ果てて二人揃って芝生に寝転んだ。


「はぁ、はぁ、今回は、というか今回も、引き分けってことで、いい、かな」


「あぁ、はぁ、本当に、疲れた…」


「ね、子供の体って、意外と、不便…あれ、疲れたら眠くなってきた…」


「俺も、さっき寝たばかりなのに…」


「ま、いっか…おやすみぃ…」


「ん、おやすみ…」


そしてそのまま俺たちはこの日二度目の昼寝をしてしまっていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔王と勇者の転生記〜魔王と巻き込まれ勇者のはちゃめちゃ生活〜 とく @toclock

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ