第3話 転生したところと兄姉

 テルミニス、間違えた、アルナと和解してから数日が経った。その間俺たちは何をしていたかというと、、、


『俺のとこにいた転生者、みんな異世界人じゃなくて転生者って呼んで欲しいって言ってたんだよな。』


『嘘!?そっちも?こっちもなんか転生者の方がなんかあにめ?まんが?の世界っぽい!みたいなこと言っててー』


異世界人ならぬ転生者トークが弾んでいた。意外にもアルナとは気が合っていて…


『俺のとこも!それで最初に「お前誰?」みたいなこと聞かれた時に、「魔王」って答えたら謎に目をキラキラさせてた奴が多かったな。』


『私のとこなんか「え?勇者?勇者って、あの?」みたいなよくわかんないことを聞かれたよー』


まるで学生のようにはしゃいでいた。

まぁ、お互い赤ん坊の姿で特に何かできることもなく暇だったし、意外と楽しい。


『あ、そろそろお昼じゃない?』


『そうだな。いやぁ、腹減ったわー』


 扉が開いて、母親であるルナリエ・ルテ・リガーレがでてきた。


「アルナ、アスト、お利口にしてたー?」


そう言われると、俺たち二人は目を合わせて


「「きゃはは!!」」


と、機嫌良さそうに笑う。


「あら、いい子ねー。じゃあ、ご飯にしましょうかー。」


そうして俺たちは飯を、というかミルクを飲んだ。


『ぷっはー。ウメェー』


『ミルクをそんなおっさんみたいにして飲むんじゃありません。』


こうして食事?を終えた俺たちは、母さんを期待の目で見つめた。


「はいはい。そんな目しなくてもちゃんと絵本読んであげますから。本当に二人ともこの本が好きよね。」


そう、俺たちはいつもこの絵本の時間を楽しみにしているのだ。

おとぎ話が好きなわけではない。

ただ、母さんが呼んでくれる絵本は、歴史についての本だからだ。俺たちが転生した後、どうなったかを知ることができる、赤ん坊としてはいい情報先だ。

昨日まではずっとテルミニルとルステリス、そしてそのずっと前の国々の話だった。


「じゃあ今日は、この国、ルテミリスの創立についてのお話を読見ますよ。」


きた。俺たちがずっと待っていた話。


「約400年前、まだこの国が2つの国に分かれていた頃ー」


話を要約するとこうだ。

 魔王ルステリオと勇者テルミニスは、この争いばかりの世界にうんざりしていた。ずっと気づかなかったが、お互い同じ気持ちだと知ると、二人揃って転生することにした。

 そして彼らが転生したのち、すぐに魔王の右腕であるラロと勇者の右腕であるミトが魔王と勇者が書いた手紙を見つける。それは、戦争にうんざりしたため、転生することにしたこと。二つの国を統一すること。そして、今までの感謝の気持ちが書かれていた。

 二人はその手紙に感動し、二国の対立をやめ、同時にラロとミトを初代王とした、魔王と勇者の名前をとった国、ルテミリス王国が誕生した。

 その国は最初こそ内乱がしばしば起こったが、その二人の優秀な王の腕により、最終的には平和な国となった。また、その後数代は元ルステリスとテルミニルの代表がそれぞれ王を収めたが、そのうちその王同士二人で恋に落ち、王家は一つにまとめられた。結婚した暁に、彼らは名字をテル・ルテミリスとし、その直系の一族は今でもこの国を治めている。


『なるほどな。多少前半に間違いがあるが、後はなんとなく思った通りっぽいな。』


『そうだね。それにしてもルステリオ+テルミニス=ルテミリスなんて、よく考えたものだね。』


『確かにな。言いやすいし、覚えやすい。…俺たちの名字の一部のルテってルテミリスからとってるのか。それで王族はテル・ルテミリス…なんかまんまだな。』


『まぁ名前なんてそんなもんでしょ。』


 とりあえずルステリオは名前がそのまま使われなくて安心していた。自分の名前がついている国で暮らすなんてまっぴらごめんだ。


「はい。今日の絵本おしまい。あ、そうだ。数日空いちゃってけど、お兄ちゃんとお姉ちゃんに会いましょうか。」


『お兄ちゃんと』


『お姉ちゃん?』


「あの二人、今日まで王都の方に遊びに行ってたから会えなかったの。でもかえってきたし、これからは一緒に住む兄妹になるんだから。顔ぐらい合わせなきゃね。今、連れてくるわね。」


そう行って母さんは廊下の方に出て行った。


『兄姉がいるなんて、初耳じゃないか?』


『そう、ね。そうだと思う。いい人たちだといいけど…』


『…兄姉を会う時に思うべきことではないと思うが、まぁ俺も同じ気持ちだ。あと、ちょっと楽しみでもある。』


『それもそうだね。あ、来たみたい。』


外から3人分の足音が聞こえた。少しして、ルナリエに連れられ、茶髪に緑目の優しそうな男の子と、それよりちょっと年下っぽい、金髪に碧眼の意思の強そうな女の子がやって来た。

 最初に、男の子の方が口を開いた。


「初めまして、アスト、アルナ。僕はルストリファー・ルテ・リガーレ。リガーレ男爵家の長男で、君たちの兄さん。ルストが愛称だから、ルスト兄とでもルスト兄さんとでも兄貴とでも好きなように、気軽に呼んでくれ。」


『この兄は優しそうだ。あと、なんか可愛い。』


『そうだね。母さん似っぽいし。』


「そしてわたくしは、リガーレ男爵家長女、ベルーナ・ルテ・リガーレですわ。ベルーナ姉様とお呼びなさい。」


『うっわぁ』


『あれだね、うん、典型的な貴族自慢のタイプの子だね、うん。』


『俺ああいうタイプ嫌いなんだよ。』


『私も、苦手、かなぁ』


「何二人揃って醜い顔でわたくしを見ているのですか。そんな顔向けないでくださいませ。」


『『赤ちゃんに向かって醜い顔って、、、』』


『どうせあいつも赤ん坊の時こんな顔だったろうに。』


『ウンウン』


そこで母さんがベルーナを咎める。


「こらベルーナ、そんな口をきかないの。」


「ふんっ。」


そしてベルーナは「ずんずんずんずん」と言いそうな歩き方で部屋を出て行った。


「まったく、ベルーナったら、、、」


「ま、まぁ、ベルーナはいつもあんな感じだから二人は気にしなくていいからね。」


と、何の助けにもならない助言をするルスト


『まじかよ、』


『だるいかも…』


 会って早々、ベルーナに悪い印象を持つ二人であった。

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