第2話
けれども、出鼻はすぐに挫かれた。
他でもない、ぼく自身によって。
「コユキ……っ、待って! 速い、よ……!」
息も絶え絶えに、先を行くコユキに訴える。
振り返ったコユキは数回瞬きをし、苦笑した。
「おやおや……ミライは体力がないねえ」
「のんびり言ってる場合? そんなヤツ置いて、さっさと行こうよ」
果たしてぼくが遅いのか、コユキが身軽なのか。つい思い悩む程、彼女の足取りは軽やか過ぎた。
そして、猫。一言多い。
「ほれ、あと少しだから頑張るんだよ」
「そんなあ……」
思わず、情けない声を出してしまう。そんなぼくの背中を、彼女はポンポンと叩く。
「あたしが後ろについててやるから。ほれほれ、頑張れ!」
激励され、なんとか走り続ける。
そうだ、早く行ってあげなきゃ。先程の光景を思い出し、自分の体を叱咤する。
コユキだって気が気じゃない筈。ぼくなんかが足を引っ張るわけにはいかない。
やがて、目的のビルが見えてきた。
足を動かしながら、人だかりがないか視線を巡らせる。サラリーマンのおじさんと、目が合って――。
「あれ、君、血相変えてどうしたの? あ、もしかして君達も死んじゃった人!?」
やたらとテンションが高い人物に、ぼくは頭が真っ白になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます