第6話 秋葉原爆破テロ事件-06
何時間くらい気絶していたんだろう?
「ここ……は?」
「気が付いたかね? 少年」
まだクラクラする頭を振って、声のした方に顔を向ける。
また俺を救ってくれたレイヤーなガンマンさんは……つい、さんが付いてしまうようになったが……
「すみま……せん、俺の、せいで」
「気にするな。君のせいでは無い」
「でも……」
「それより少年、君は大丈夫なのかね。起きれるか?」
倒れたままだった自分に気付き、起き上がろうとして、後ろ手に
何とか
所々に穴の開いた壁、すすけた天井。そして床に散乱するダンボール箱、その中身である家電品の数々。
「あのビルの中だ」
命の恩人が答えてくれた。
「ここが
反対側から突然聞こえた声に、思わず振り向いて俺はフラフラと倒れかける。
「だ、大丈夫すか? 君さっきまで気を失ってたんすから、無理は禁物っすよ」
あれ? どっかで聞き覚えがある声?
「とりあえず、身体検査っす。武器隠し持ってたらヤバいっすからね」
そんな事を言いながら、俺の体をあちこち触りまくる。まさかソッチ系の方?
それにしても、
「な、何じゃこりゃあ?」
思わず声を上げてしまった。この縛り方、スケコマ
「君、可哀そうっすね、
言葉にされるとトンでもなく恥ずかしい格好で、俺は縛られたまま正座する事になった。
「命が有るだけマシだな」
命の恩人は例の渋い低音ヴォイスで事も無げに言う。でも、俺にとっては大問題だよ。
こんな
「無能だ……」
情けなさのあまり、声が
「そうでも無いっしょ。ここまで踏み込んだんだから。なかなか見つけられないっすよ」
「おい、無責任に……」
「でも事実っすよ。偶然だろうと昨日の今日で、アジトまで見つけ出すなんて、相当なもんっすよ」
レイヤーなガンマンさんの
「君、引き強いっすね」
「はぁ、どうも……」
オッサンと同じ感想か。どう反応して良いのか分からず、俺はそんな
そう思った
「おう! 気が付きやがったか?」
ピンモヒのお出ましか。その後にゾロゾロとパンク軍団が続く。
「ざまぁねぇな、お
「私は
「うそ言ってんじゃ無ぇよ、そのガキが言ってたろうが」
ピンモヒの目が吊り上がってきてる。自分の感情に振り回されるタイプだね、きっと。
「せっかく昨日、このビル吹き飛ばして、派手に騒ぎを起こしたってのに」
スキンヘッドが声も無く笑いながら、ひたすら
「肝心の
「何の事かね?」
「ばっくれてんじゃねぇ!」
よく見ると、中年過ぎのその顔は至る所に青あざができていた。暴行を受けた
「悔しいか?
「固定剤?」
思わず俺は口を開く。何だよ、それ。って感じで。
「俺達ゃ、この世界の人間じゃないんだよ」
知ってる。もちろん口には出さないけど。
ピンモヒは、俺の沈黙を恐怖と取り違えたらしい。ドヤ顔で説明し始めた。
「俺達ゃ、お前らと違ってだな、物を
こいつ、自分の弱点に成りかねない事を自慢げに
しかも
「何だ? その目は」
多分、視線に感情が出たんだね。ピンモヒが反応した。ちょいヤバイかも、この手の
「少年、
そこにレイヤーなガンマンさんの一声が。
「自分にとって
「なんだと貴様ぁ!」
あ、やっぱりキレた。
「まぁまぁ、そんなに怒らない方がいいっすよ……ぐへっ!」
取りなそうとした
「ちなみに不意を突かれるなど、意識が
レイヤーなガンマンさんが淡々とおっしゃる、いやいや、弱点と言うなら貴方にとっても、ですよね?
「クソがっ!」
倒れて動かない
「後楽園球場とかってのを、吹っ飛ばしてやる前に、お前らを血祭りにあげてやるぜ」
ちょい待ってくれ、今なんて言った?
「馬鹿な事を。これ以上、事件を起こすな」
「はぁ? 俺達ゃ事を起こすために
このままだと第二の爆破事件が、しかもこのビル程度の被害じゃ済まない。気が気じゃない俺の耳に、ガンマンさんの冷静な声が響いた。
「
「う、
このピンモヒ、とみすえって言うのか。それよりも、いきなり
「お、俺達ゃ、言われた通りに騒ぎを……」
「やり過ぎたのだ。昨日の、このビル爆破事件で三十人以上の死傷者が出た。
「そ、それは……」
「
見る見る内にピンモヒの顔が青ざめて行く。 同時に、よく見ると
「
「いい
「クビになったら、どうやって帰るんだよ! 俺達は無一文なんだぞ!」
次々に、ピンモヒの口車に乗せられたらしい人々の
「やかましい! 全部、俺の責任かよ!」
あ、ピンモヒこと
「クビだってんなら、俺達で
その言葉に、レイヤーなガンマンさんが反応した。
「貴様、
「これから死ぬ奴が、気にすんなよ」
ニチャと音がしそうな笑い方で、ピンモヒが
「ボス! 敵襲だ! 正面玄関から入ってきやがった! ついでにここの警官どもまで引きずってよ、増援頼むぜ!」
「何だと?」
ピンモヒらのやり取りを聞きつつ、我が命の恩人は天井を
「せっかく奇襲のチャンスをやったのに、正面突破とは。芸が無いな」
え? いつの間に連絡を?
そう思った瞬間、上から
続いて天井が
「もちろん、
その一言と共に舞い上がる土煙の中、ピンモヒ配下のスキンヘッドらを手にした長い
「
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