第3話 秋葉原爆破テロ事件-03
自身の重さで、ゆっくりとビルは
「落ちて……くる?」
ケーキをフォークで切るように、ビルは前に
「土ぃーならまだしも、オレ様の力じゃぁ、このデカブツは止めらんねぇ」
実際、8階建てのビルが
中央通りに面した8階建てのビルが裂けて落ちてくるんだ。あれが落下してこの
後ろの通りを走る車のクラクションがドンドン増えてる。
みんな、逃げるに逃げられない。
「どうすれば……」
普通の高校生に何ができるんだろう? 今この瞬間にも
「ボウズ、行け! カァちゃん泣かせたいのかよぉ!」
オッサンの必死の
「クソッ! 遅いか!」
隣で
「だめだ……」
視線は
「えっ! ?」
「こいつぁ……どうなってやがんだぁ?」
恐怖に目を固く閉じてた人や、頭を
そこには巨大なコンクリートの
残りカスのような破片が、
まるで初めから何も無かったかのように、消え失せてしまった。
「これって……」
記憶の端っこに引っかかる物が有るんだ。必死で思い出そうと目を閉じる。
「おい、どうしたよ? ボウズ」
ぼうず。オッサンの呼びかけに、脳みその中を電流が
坊主。それだ、それだよ。オッサン。
あの日、あの寺の、山門の前。
スクーターで追っかける銀八さんに向かって、ワゴン車から身を乗り出したレイヤーなガンマン。
あの男が銃を撃った後、寺の山門前で道路はどうなった?
「これって……まさか?」
俺は後ろを振り返り、周りを見渡す。
「上か?」
視線は向かいのビルの屋上へ。そして隣のビルへ、更に反対側、向かって右へ。
もう一度、左側のビルに戻って、四軒向こうのビル屋上にまで視線を走らせる。
「
あの時と同じ、トレンチコートが風になびいていた。ここからじゃ仮性近視の俺では見えないけど多分、
「あの時の」
コスプレイヤー丸出しの、異様にデカイ拳銃を構えていたガンマン。
そう言えば、さっきの不可思議な連中が乗って去って行ったワゴン車。あの時と同じ?
全部つながった気がした。
銀八さんが、ここに
「おい、ボウズ。どうしたって聞いてんだろ? 返事しろや」
あ、オッサンの事、完全に忘れてた。
「あれ」
一言のみで、ただ見つめる先のビル屋上を
「んだぁ? ありゃ」
俺の隣にオッサンが並んで、四軒向こうのビルを見上げた。
「
「よく見えるな、この距離で」
「目はイイんだよぉ、オレ様」
思いっきりドヤ顔だよ、オッサン。確かに仮性近視の俺からすれば、
「げぇ、何でい、あのバカでっかい銃は?」
「そこまで見えるのか……」
もう
「ホルスターに収めてんだろうがよぉ、あれ。しっかしよぉ。でか過ぎだろ、拳銃にしちゃぁな」
いやいや。俺じゃ、そこまで見えないんだって。せいぜいコートの中に右手を差し入れてるんだろうな、くらいにしか見えない。
ビルの上を
奇跡が起きた、とかね。
遠くからパトカーのサイレンや、消防の鐘の音が響いてきていた。新聞社のだろうヘリコプターも飛んで来てる。
そんな中、1398番宇宙のケイ素生命体であるオッサンが、俺の方を向いた。
「んで?あのジジイが何なんだよぉ?」
「多分……落ちてきたビル消したの、あの人だと思う」
「あ? あのジジイが、かぁ?」
オッサンにも判るように、あの日、寺の山門前で起きた事を説明する。
「ほほぉお、あれが
獣みたいな、不敵な笑いだよ。
「ちょいと、ご
そう言いながら、レイヤーなガンマンの
「オッサン! 足、治療するのが先だろ」
「あ? 別にとっ捕まえようってんじゃねぇ。
いや、絶対ウソだろ。戦う気マンマンのくせに、足引きずりながらでも。
寺の
「ボウズ! カァちゃん心配させねぇように、さっさと家に帰んだぞぉ!」
そう言いながら、人ごみに
「家に帰れって言われてもな……
あの
「連絡くれよ、
つぶやいた後、急に
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