第8話 特殊指定動物密輸事件-08 了
ニセ坊主事件から約1週間。街は、いや我が校は、GWを前に浮かれきってる。
GW? もちろん、ゴールデンウィークの事だよね。
あれから俺の周りは、いたって平穏。正直言って拍子抜けしてる。
「ああ言う話しといて、
下校途中、あの、最初の出会いの場所。多分、スラム化の影響で空き地になった場所に、俺は差しかかっていた。
「ここから、全てが始まったんだよな」
そんな事を考えてる俺の目の端に、見覚えの有る棒きれが。
思わず、茂ってる草むらに隠れる。
「マジ、居たよ……」
「んで? まぁだ
「30人以上の
「
「良くご存知で」
「まぁな」
「
「目くじら立てる事ぁ無かろうがよぉ?」
「立ててませんよ」
「そちらこそ、良いのですか?」
「あのインド人かぁ?」
「ハーフだったと思いますが。判ってらっしゃるんでしたら、何も言いませんがね」
「とりあえず
密輸を
「理解してたなら、良いですよ。あの
「まぁな。普通、俺を止めるよなぁ?」
「でも、犯人の腹を
「くちゃべられたく無かったんだろうぜぇ」
何をだよ。あのフクロウ
「ゆびき、そこで途切れましたね」
湯引き……ハモの? そんなお気楽な話じゃないよな。そう思いつつ、耳をそば立てる。
「ユビキタス。ってぇ言葉は、あそこで出したく無かったんだろうがよぉ」
「
「だからよぉ、イー・アァ・ウーから、泣きが入ったみてぇぜぇ」
「やはり……」
「んだぁ? オメェんトコもかよぉ?」
「えぇ。125ヌクレオチド連合から、正式に依頼が来たようです。つながる所、ほぼ全域に、みたいですよ」
何だよ、その125抜くれ、なんとかってのは? 初耳だよ、俺。
「だからですか? 彼に、あんな事を言ったのは」
「さぁな。今回の件で、ボウズが
くそっ! オッサン、覚えてろよ。事実でも、いや事実だからこそ傷つくんだぞ。
「それだけですか?」
「カァちゃんにも、
「そちらが、本音でしたか」
妙に納得した表情で、1637番宇宙の俺こと、阪本銀八さんが
「これ以上ボウズを、関わらせるのはヤベぇんじゃ無ぇかってぇなぁ。オレらの方から関わんのもなぁ」
銀八さんを見上げて、
「確かに、そうかも知れませんね。彼に関しては
「あぁ?」
「
「んだよ。オメェの気にする事かぁ?」
「多分、女子大……短大生かな、位の年齢ですよね?」
あれ?
「まぁ、な。似てたような、気がしてよぉ」
何か、今まで以上に、この話、気になる。
「あんな
かなりヒドイ言いざまだけど、寺カフェのお姉さんの事だと、俺でも気付いた。
「
「多分、なぁ」
ぶんき? 何だよそれ?
「あの日、お寺の店で、彼は女子大生の彼女と
「オレ様のお仕事を手伝ってくれたからよぉ、多分なぁ……」
「深く関わる事無く、ですか。1498番宇宙とは違う未来になる、と?」
「お流れ、だろうなぁ、この1500番宇宙ではよぉ、多分」
頭真っ白、目の前真っ暗、だよ。今の俺。
「ま、ちったぁ
銀八さんが大きな
「1ピコグラムも思ってないですね」
オッサン! そこで否定しろよ! 大げさに肩すくめてないでさっ!
今すぐ飛び出して、
「定期報告は、コンなもんだぁよなぁ?」
「ええ。ではまた」
おう。と
顔を上げた俺の視線の先には、誰も居ない空き地が有った。そして、彼女ができるはずだった、失われた俺の未来も。
「う、
我ながら情けない
そんな俺を、物陰から誰かが見ていたなんて、その時は気付きもしなかったんだ。
第2章 了
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