第2話 焼きそばパン
山咲桜。
まあ端的に言うと.....何というか、小動物、と言える。
本当に小動物の様だから、だ。
翌日。
俺はその姿を見ながら窓からまた外を見る。
そうしてボーッとしていると。
「お前さん」
「.....何だ?友崎」
「教室中で有名になってんぞ。何かあの小動物と濃密に話したらしいな?」
「.....濃密?はァ?.....しかしそんな事が有名になってどうするんだよ。僅かしか話してないし」
「まあそうだろうな。お前の様な童貞じゃな」
「煩い。締め殺すぞ」
やってみやがれハゲ、と言いたい所だが。
アイツの事に関して情報を手に入れたから言っておくぞ、と俺に真剣そうな顔で向いてくる友崎。
何だよ一体、と思いながらかったるく友崎を見る。
友崎は、アイツぼっちらしいぞ、と話してきた。
「.....?.....意外だな。そんなもんなのか?」
「ああ。まああんな感じで寄って来る連中はつまりただ単に興味があるだけだ」
「そうなのか.....」
俺は相変わらず絡まれる小動物の山咲を見る。
山咲は真顔のまま話を聞いていた。
無言のまま、だ。
俺は、ふむ、と思いながら窓から外を見る。
そして俺は欠伸をした。
友崎が苦笑して伸びをする。
「興味があるってその程度ってもんだろ。陽キャは」
「お前も陽キャだけどな。姿だけなら」
「おう。まあそうだな」
そして友崎は肩を鳴らしながらそのまま俺を見てから。
でも山咲って確かに絡まれる程可愛いんだよなぁ、と言う。
俺の事を散々ペドとか言いながら。
ジト目になりながら友崎を見てからそのまままた欠伸をした。
何で今日はこんなに眠いのか。
☆
「さて次の時間は視聴覚室だったな」
「そうだな。別教室だった」
そんな感じで言う友崎を見る。
友崎は教科書を用意する。
先行ってる。俺.....トイレ行きたいから、と俺に向いてきた。
俺は、おう、と見送ってからそのまま立ち上がる。
それからかったるく思いながら部屋を移動しようとした時。
山咲が移動してないのに気が付いた。
「どうした?山咲」
「.....」
「.....?」
ジッと俺を見てくる。
そして机の中を見る山咲。
俺は?を浮かべながら山咲を見る。
口が動いている。
つまり.....。
「.....何?教科書が無い?」
「.....そう」
「.....ああ。それは忘れたという事か」
「.....そう」
「.....ふむ」
そうなると.....そうだな。
俺は考えながら自らの教科書を見る。
そして距離を考えた。
それから、一緒に見るか?教科書、と提案してみる。
山咲は!という感じで俺を見てくる。
そして直ぐに俯いた。
「.....でも」
「何か誤解するとか?.....気にすんな」
「.....」
「お前が問題あるとか?.....隣の奴が良いか?」
「.....いや。貴方が良い」
山咲はそう呟きながら俺を見てからそのまま無表情で前を見る。
俺はその姿を見ながら、そうか、と返事した。
そっけないというか簡単な返事だ。
何だかまあ。
不思議な生き物である。
☆
「先生。山咲さん教科書忘れたので一緒に見ます」
「おう。分かった」
そんな感じで無精髭の似合う先生に許可を貰ってから。
俺は山咲と同じ班になる。
それから山咲に教科書を見せる。
山咲は無表情のままその教科書を見た。
俺は山咲を見ながら、ふむ、と思いつつ目の前の黒板を見る。
「なあなあ.....何でアイツ山咲に仕掛けているんだ?」
「それな。結構不思議だよなぁ」
男子と女子の陽キャがそんなコソコソと会話をする。
俺はムッとしながらその言葉に山咲を見るが。
山咲は集中している様で気が付いてない。
俺はその姿を見ながら授業に集中し始める。
すると山咲が俺の袖を引っ張った。
「.....どうした?」
「貴方は迷惑じゃない」
「.....?.....何がだ」
「私と一緒で」
「.....ああ。別に全く気にならない。.....むしろ人助けが出来て有難い」
「.....そう」
ボソボソ声。
相変わらずだったが。
何だか感謝の意図を汲み取れた。
俺はその姿を見ながら、うむ、と考えつつ。
そのまま黒板に集中した。
☆
「おう。お前ってやっぱペドなの?」
「.....殺すぞ?何言ってやがる」
「いやー。さっきは驚いたぞ。山咲と一緒なんぞ」
「.....そうだな。まあ山咲が困っていたからな」
そんな感じで会話をする俺達。
今の時間帯は昼休みだ。
俺達は賑わう教室でパンを食っていた。
半分こしながら。
これ結構良い方法だ。
色々なパンを味わえるしな。
「山咲は不思議だな。お前の言う通り」
「.....小動物だからねぇ」
「.....そうだな」
それからクソ煩い教室を見渡していると。
山咲がビニール袋を持って帰って来た。
どうやら売店に行ったらしい。
俺はそんな姿を見ながら友崎の話を聞きながら居るとその山咲がいきなり俺に近づいて来た。
ぬっ、と巨人の様に俺に迫る。
俺は驚きながら目を丸くしながら山咲を見る。
「.....お、おう。どうした?」
「.....これ。.....お礼」
「.....これは.....焼きそばパン?」
「.....そう。.....お礼」
「.....ああ。もしかして教科書のか?.....気にする事は無かったんだが」
「.....貸し借りはちゃんとしないといけない」
貸し借りのつもりもなかったんだが。
しかしそう言うなら有難く受け取ろう。
そう思ってやきそばパンを受け取る。
それから山咲を見上げると。
山咲は、有難う、と言いながら戻って行く。
「.....やれやれ」
そんな事を呟きながら驚いている教室を見て横を見ると。
友崎が( ^∀^)的な顔をしていた.....。
コイツぶち殺すか?
俺は思いながらも我慢した。
ヘラヘラしやがって他人事だと.....。
小動物の山咲さんは今日も無口 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。小動物の山咲さんは今日も無口の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます