小動物の山咲さんは今日も無口

アキノリ@pokkey11.1

第一章 140センチの華

第1話 小動物の様な少女

山咲桜(やまさきさくら)。

関わったのも僅かでしかも無口。

年齢は知らないが同学年なので17歳ぐらいではないだろうか。


髪の色は茶色がかった黒髪、更にヘアピンに桜。

顔立ち童顔、美少女であり.....まあその。

身長も140行くか行かないかで低くまるで低学年の小学生の様だ。


そんな俺は山咲を見ていて.....そうだな。

もうかれこれ1年は経過した。

俺の名前は長谷部春(はせべはる)。


17歳の男子高校生といえる。

県立高校に通っている。

それなりに顔立ちは整っているが別に自慢しようという気はない。

才能も凡人の高校生。


山咲桜とはそんなに馴染みがある.....というか。

接点は消しゴム落として拾っただけ。

小さいなコイツの手、と思ったが。

お礼も言われずそれだけだ。


取り敢えずは.....そうだな。

小動物で無口で何を考えているかも分からない彼女とは.....あまり接点を持ちたくは無い気がする。


何も言わない様な無口な女の子は苦手だ。

思いながら俺は目の前の友人を見る。

友崎流星(ともさきるほ)。

少しだけチャラい童貞だ。

顔立ちもイケメンの。


「なあ。友崎」


「んあ?.....何だ」


「.....山咲ってマジに不思議よな。.....あれ」


「何でいきなり山咲の名前が出るんだ。.....何だお前は。恋か?」


「ちげぇよこのアホンダラ。.....アイツ無口だし魅力が何だか不思議だからどういう育ちなのかなって思ったんだ。お前はそうは思わないか?」


スマホを置きながら友崎は、ま.....そうだな、と山咲を見る。

山咲は、人形だな、と囲まれながらも真顔のままだった。

俺はその姿を見ながら顎に手を添える。

そして、ふむ、と窓から外を見る。


「.....まあ不思議ではあるよな。.....山咲ってマジに」


「.....だよなぁ」


「少なくとも小学生の様ではある」


「言われんでも分かる。あれは小学生だ」


「でも顔は美少女なんだよなぁ.....」


「それはまあな」


そんな会話をしていると。

山咲が立ち上がった。

そして何処に行くのか分からないがそのまま外に出てから。

そのまま消えた。


「.....まあお前に山咲は合わない。気を付けろ」


「何にだよお前。何だと思ってんだ俺を」


「ペドぐらいか?」


「.....お前絶対にぶ・ち・こ・ろ・す」


そして山咲が戻って来てからチャイムが鳴った。

それからそのまま俺達は授業を受ける。

しかし外の桜が綺麗だよな。

そんな事を思いながら放課後まで授業を受けた。



「分からないしな。.....図書館に行ってみるか.....」


俺は勉強の調べ物で図書館に行く用事が出来たので放課後に向かった。

すると目の前をちっちゃい動物がナヨナヨと歩いてい.....違うか。

山咲じゃないか。

何やってんだアイツは.....ん?図書館か?


「.....ふむ」


思いながら山﨑を観察する様に見ていると。

山咲が図書館のドアを開けて中に入ろうとした。

俺を見て手が止まる。

小さなその手が。


「.....ああ。すまん。俺も図書室に用事だ」


「.....」


「.....お前も調べ物か」


「.....」


「.....そうか」


うむ。やはり喋らないか。

俺は思いながら真顔の山咲を見る。

山咲はそのまま図書室のドアを閉めた。

そして俺と一緒に歩く。

辿り着いた先に司書が居た。


「あら。どうしたのかしら?山咲さん。今日は男の子と一緒ね」


「.....」


「.....山咲?知り合いになっているのか」


「.....」


うーむ.....コイツは良く分からないが。

取り敢えずは頷いたので、そうなんだな、と思う。

思いながら司書の女性を見ながら貸し出しカードを受付する姿を見る。

本が好きなんだな、と思う。


「.....まあ俺は俺の事をするか」


俺はそんな事を呟きながら。

そのまま本棚を見ていく。

そこには数学の本やら現文、古典。

英語と色々あった。


俺は、ふむ、と思いながら手を伸ばすと柔らかい感触。

山咲の手に触れていた。

というのも山咲もその本に手を伸ばしていたのだ。

俺は?を浮かべながら山咲を見る。


「.....これ見るのか?」


「.....」


「.....そうか。じゃあ先読んで良いぞ」


「.....」


有難うの一言も言わないかと思ったが。

小さく小さく何か言った気がする。

物凄く小さな声だった。

俺は?を浮かべながら山咲を見届ける。


「ふむ」


そんな事を言いながら俺は改めて手を伸ばした。

その本は数学の本。

簡単な数学解説、と書かれていた。


俺はその本を持ってからそのまま図書室の椅子に座ろうと思った.....のだが。

空いている箇所が.....既に人で埋まり。

まさかの山咲の隣しか空いてなかった。

うーむ......このまま帰るか?


「.....」


何か視線を感じて顔を上げると。

そこに山咲の顔が.....あった。

ジッとこっちを見ている。

そして椅子を見た。

俺は.....顎に手を添えてから、仕方がないか、と思いながらそのまま山咲の隣に人をかき分けて腰掛けてみる。


「山咲。隣に座ったが.....良いのかお前」


「.....」


ゆっくりとこくりと頷く山咲。

山咲はそれから教科書を見てから勉強を始めた。

やっぱり訳が分からない奴だ、と思いながら山咲を見る俺。

そして俺も勉強を始める。

すると早速間違えた.....のは良いが。


「.....ああ。畜生。.....消しゴム.....」


消しゴムを忘れていたのを忘れていた。

売店で買おうと思っていたのだが。

仕方がないな、と思いながら考えていると。

消しゴムを探している俺に山咲が向いてくる。

そして消しゴムをスッと取り出した。


「.....?.....何だ?これ貸してくれるのか?」


「.....」


頷きながら俺を見てくる山咲。

俺はその消しゴムを見てから、ふむ、と思いながら、じゃあ借りるよ、と答えた。

それから俺は数式を消す。


すると山咲が俺に迫ってきた。

それから書いてある数式を指差す。

何だ?、と思っているとボソボソと何かを話した山咲。


「.....まちがってる」


「?.....あ.....。これ間違っているのか?」


「.....」


それからそのままノートに解説の様に小さな文字で書き始める山咲。

俺はそれを見ながら目を丸くする。

その事に、頭が良いんだな、と山咲に聞いてみると。

山咲は頷きながら必死にノートに書いてくれる。


「.....山咲。有難う」


「.....」


俺を見ながら山咲は?を浮かべる様な顔をする。

その姿を見ながら俺は、ふむ、と思いつつ.....山咲の数式の解き方の解説を受けた。

何故こんな事になったのだろうか。

そんな事を思いながら.....何だか不思議な時間を過ごした。

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