『薬師は独りで眠れない』1,2章の言い訳集
※拙作『薬師は独りで眠れない』のネタバレを含みます。※
※これは【小説家になろう】連載時の活動報告(≒近況ノート)からの転載です。※
【プロローグの言い訳】
このプロローグは《小説家になろうコラボ『耳で聴きたい物語』コンテスト2022 女性主人公編》に応募するために、短編として書いたものを少し修正したものです。
実はこの話、最初に書いた幻のバージョンがありまして、相手役が王子様でした。
ちょっと俺様感のある王子に活躍してもらったのですが、そんな貴人が単独で猛毒状態のまま、薬師の扉を叩く理由がうまく書けず。
さらに、ビビがどうにもこうにも彼に惹かれてくれなかったせいで、
「はっはっはー、いいから僕のお城においでよー」みたいなラストになったのでお蔵入りしました。
ただ作者は、ビビちゃんをいたく気に入ってしまいまして、じゃあ誰なら彼女をあの孤独な森から解き放ってやれるのかと考えた末、できたのが熟練のハンターさんでありました。
旅慣れていて、強くて、賢い大人の男性。ややアウトロー寄りのスーパーダーリンを目指しました。(書けたとは言ってない)
すると王子バージョンと話は同じ流れなのに、ラストが大きく変わりまして「おとぎ話の材料を求めて旅立ちエンド」に到達したわけでございます。
コンテストにはかすりもしませんでしたが、拙作を評価してくださった方に、ありがとうございますと唱えていたら、ガゼン何か書きたくなりました。
二人の旅立ち後のことを妄想し、書き散らかしたのが本編となります。
【1章末の言い訳】
ざっくりとした1章の目標として
「森での生活しか知らなかったビビが、ハンターに助けられながら、ゆっくり世界を開いていく章。とにかくビビをかわいく、ハンターさんを強くカッコよく書く!」
と、掲げて書き始めたものの……ビビが全く思い通りに動いてくれないキャラクターでした。
まず、町に連れ出してみたところ、あなたプロローグの時とずいぶん性格が違うじゃない? というほどコミュ症を発揮しました。
内気とか、そういう設定は一切無かったんですが、どんだけハンターの影に潜めば気が済むの? というくらい隠れまくりの、噛みまくり。
かと思えば二人きりになった途端に、ハンターのことは脱がすわ押し倒すわでやりたい放題。恐るべき二面性。
そして、こんなはずじゃなかったのに、初っ端からベッドイン(睡眠)
二人の距離感、そこをスタートにしちゃったらこの先どうしたらいいのよ! 4章構成なんだぞ! と、頭を抱えました。
ハンターの過去の仕事や生き方に絡むような、王道イベントも入れてみたのですが「薬師も人を殺します」とか勝手な設定をブチこんでくれたり、ハンターを泥沼に転がしてくれたり、これも全部作者の筋書にはありませんでした。
「少しこの手が汚れすぎていた。人殺しの手だ」の後に「そんなことありません、私を森から救い出してくれた手です」みたいなセリフも書いてみたけど、私はそんなこと言いませんとでもいうように、ビビちゃんがそっぽを向いて動かなくなってしまうんですよ。
こんなことはじめてで……(震)
そういうことってあるあるだよ! という書き手様がおられましたら、ぜひコメントにてお知らせください。
そして「キャラクターが言うこと聞かない会」に私も加入させて下さい。
結局、早々に根負けして「沼地のヌシの大ウロコさえゲットしてくれればいいよ」と、作者はあらすじを捨てました。
キャラクターのペースで旅してもらい、それを外から眺めるように記録するスタイルは、書き手として褒められたものでは無いと思いつつも。
先が知りたい、でも自分が書かないと先が読めない! という謎のジレンマに陥って、寝食を惜しんで書き進めました。
先にネタバレしますと、ビビのハンターへの感情とか、なつき具合とかは、エピローグまでそんなに大きく変化しません。最初から彼のことだけはまるっと信用していて、大好きです。
つまり二人の関係性がどう変わっていくかは、ハンターの手にゆだねられているわけです。
暴走しがちなビビを、大人の余裕で包んであげて! と、応援しているのですが……。
「もうあんたを普通の女だと思うのはやめる」宣言をさせられたハンターが、全力で煽られながら添い寝する道を選んだあたりで、タイトル「薬師は独りで眠れない」が決まりました。
彼は、ほぼいいとこ無しで進んだ1章ですが、最後にちょこっと意趣返しができて満足だったでしょうか。
スパダリなにそれ美味しいの? って、なったので2章から本気出す予定ですが……出てるかな。
お気に入りのキャラクターは海猫亭のご主人で、不思議なダンジョンにも潜れる某有名商人さんをイメージして書いていました。時々ゲスいところがチャームポイントです。
あとはキサナを書いている時が、とても楽しかったです。あの純真さとカタコト感がたまらん!
彼はクロヒョウを彷彿とさせるような、すらりとしたイケメンなんですが、ビビちゃんがハンターにしか興味が無いせいで、精悍な青年としか出てきません。キサナ、ごめんね!
【2章末の言い訳】
プロローグで万能薬の材料を、以下のようにハンターが説明しています。
「そうでもない、必要なものはハッキリしている。沼地のヌシの大ウロコ、大鍾乳洞の奥で採れる七色の涙、氷河雪ナマズのヒゲ、それから死の山に住むドラゴンの心臓」
このたった2行から「よし、続きを書こう!」と見切り発車したわけなんですが、中でもこの2章の鍾乳洞のシーンが一番最初に頭に浮かんでいました。
傷ついたハンターと、それを守るように抱くビビちゃんが、ぼんやりと光る水に濡れている絵です。
このために、書き始めたと言っても過言ではありませんので、大変楽しく書かせていただきました。
「旅って楽しいね!」のお気楽ムードで南大陸から戻ると、がっつり追手がかかっておりましたで始まる2章は、教会と薬師の関係に重点を置いた章です。
もう一人の薬師兼、ビビへの常識教育係のコニーちゃんが登場し、にぎやかになりました。
コニー先生が「はんたーと いっしょに ねるなんて とんでもない」と叱り飛ばしてくれましたが、その反動で寝不足&やさぐれビビが、ハンターを爆煽りしました。
書いてる最中は「あらー、ハンターさんも大変だわねぇ」と彼に同情的だったんです。
しかし、後に読み返すと、それ以後のハンターが目に余るほど自分からビビに触りに行っていて、だいぶ修正させられることになりました。
ビビちゃんにOKもらって調子に乗ったんだな、と笑いました。
また、聖騎士のヴァイスが登場した事で、色々情報が明らかになり、やっとこさハンターの名前が出てきました。
常識人で、仕事ができて、人が良さそうなヴァイは、すでに苦労性のオーラをまとっております。
第一印象に違わず、今後もガンガン忙しい思いをしていただくことになるので、申し訳なくも頼りにしているキャラクターの一人です。
大鍾乳洞の探索の末、作者念願の瀕死に追い込まれたハンターですが、ビビが大奮闘してくれました。
薬師じゃなくて、外科医じゃ……と思った読者様、私もそう思います。医療系総合職(それも違う)ということでご容赦下さい。
そして2章の最終話が、コニー女王様に至った経緯としましては、ロウソク→鞭の連想ゲームが行われたという、至極くだらない理由によるものです。
乙女の悪しき会議で、足をバタバタさせてるコニーちゃんがかわいく、「媚薬も自白剤も考察済み」とさらっと告白してきたビビは、やっぱりおそろしい子でありました。
ラストの馬車シーンで、ビビの肩に頭を乗せて甘えてきたハンターに、ちょっと距離が近づいた雰囲気を感じていただけたら嬉しいな、というあたりで、2章のいいわけを締めさせていただきます。
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