ものがたりの、つくりかた

 この話題は、早めに消化しよう。そうしよう。


『薬師は独りで眠れない』は20万文字の長編小説である。

 この作品を書くにあたって、立てた筋書は以下の通り。

 ちなみにネタバレになる内容はほぼ無いので、未読の方も安心してほしい。


【腕利きのおじさまハンターと、薬師の少女が、沼地のヌシの大ウロコ、大鍾乳洞の奥で採れる七色の涙、氷河雪ナマズのヒゲ、それから死の山に住むドラゴンの心臓を手に入れて万能薬を作る物語】

 よぅし、書き始めるぞ! と私はパソコンに向かい、メモ帳機能でいきなり書き始める。文字のカウントができないので、メモ帳ファイルが10kbになったら約3千文字という大雑把な目測で書いていた。


 一応この他に『手書きの地図(らくがき)』と『主要キャラクターの年齢を書いた表(1枚)』も用意した。

 これが無いと、東にあったはずの町がいつのまにか西に動いたり、その事件の時ににあのキャラはまだ生まれていない! となったりして、世界崩壊の危機が訪れる。


 そして実際に2人の旅路が始まると、ほぼキャラクターが好き勝手に動くので、私はただの物語の記録係となる。

 この「好き勝手に動く」には、キャラクターの性格や特性も含まれていて、想定外のセリフを言い出すし、想定外に酒豪だったりする。


 これがどれほど想定外かという詳細は、【小説家になろう】に連載していた時に、章末ごとに「言い訳」として活動報告(カクヨムで言う近況ノート)にあげていた。

 これだけ読めばあらすじが分かるレベルでネタバレしているので、読了の方、及びネタバレ上等の方のみ、続けてアップする言い訳集をのぞいてみて下さったらお分かりいただけるかと思う。

 

 また書き始める原動力となるような、「シーンの鮮明な映像」が頭の中にあることが多く、薬師の場合は『鍾乳洞の闇の中、ぼんやりと光る水に濡れているハンターとビビ』だった。

 ただ、どうしてそんなことになるのかというのは、恐ろしいことに、そこまで書いてみないと分からない。


 であるからして、私の書き方は非常に効率が悪いし、ほぼ書き終わるまで連載を始めることができない。

「あー、だからあの時ああしたのか」となっては該当箇所に戻って、説明を書き足し「こうなるなら、ここで言っておいてよ……」となっては戻ってセリフを書き換える。4章を書いているのに、平気で1章に戻る作業がある。

 

 そして全部を書き終わってようやく、自分がどうしてこの物語を書きたいと思ったのかが見えてくる。

 テーマは一番最後に浮き上がってくるのだ……。(もはや怪談)

 それが人様にお見せしても、不快でなさそうな場合にだけ、公開に踏み切ることができる。

 当然、5万文字くらい書いたのに、お蔵入りするものもある。


 多分最初から、心のどこか深いところで物語はある程度できているのだと思う。 

 ただそれを、ハッキリした設計図として書きだす能力が無いのだ。

 一文字一文字書きながら、キャラクターにセリフを言ってもらいながら、自分の書きたかったものの正体をつかんで行くしかない。


 このやり方が全然褒められたものじゃないことは分かっていて、矯正の意味も込めて、もう少しちゃんとあらすじを作ってから『金欠ローグと地下40階の迷宮』を書き始めた。


 が、しかし、想定外に一生懸命なオーガストにほだされて、やっぱり金欠ローグもキャラクターたちのやりたいようにやってもらう形になった。


 ちなみに金欠ローグで鮮明に浮かんでいたシーンは、ノエルの「……金が無い」であり、これはたくさん出せて嬉しい。



 

 今回のエピソードは、伊草いずく様のエッセイ『無菌室四畳半、日当たり良好。』より

 https://kakuyomu.jp/works/16817330652957001952

・キャラクター、どう作って描きますか?

・続・キャラクターのはなし

 などなどに触発されて書いたのに、己のカオスをさらけ出しただけで申し訳ないことになってしまった。

 伊草様は、非常に深く考察されているので、もしも創作論を求めてこのページを開いてしまった哀れな子羊様がいれば、そちらを参考にされたい。


 実は、金欠ローグのエピローグに『もし詳細なプロットが無いとすれば臨機応変のプロか……』なんて、溺れるようなお褒めの言葉をいただいて、内心「やべぇ」と冷や汗をかいていた。

 この波に乗って、さっさと白状してしまおう。


 未だ、ストーリーもキャラクターも制御できません。これから少しずつ頑張ります!




 ということで「物語のつくりかた」について、お声をお聞かせ下さい。すでに書いたエッセイや近況ノートをお持ちの方はコメントにて教えて下さったら、喜び勇んで拝読しに行かせていただきます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る