ドラゴンに会いに行くぞ!05

 次にパールはバックス伯爵のところへやってきた。早速バックス伯爵から迎えられる。


「魔王様。ようこそです。資金援助や人員増強ありがとうございます! めっちゃ助かってます!


 この調子ならもう少しで人間どもを追い出せそうで、もとの領土も取り返せますね!」


「うむ。そうか。それは良かったわい。ワシも調整した甲斐がある。引き続き励むが良い。そして聞いておろうが、ワシからの命についての説明と、個別におぬしにも命を与える。


 ドラゴンとの戦闘までの1週間。やつらからは攻撃は無いと言っておったが、それでも過激派なんかもいて制御が効かん連中がいるかもしれん。充分に警戒するように。ここはドラゴンの住む森から一番近いからな。


 あと、ブレスやエルフたちが森から動物を避難させたり、ドラゴンの亡命者が来ると思うのでそちらの保護も頼むぞ。」



「わかりました。それは問題ないで頑張ります。ただ、疑問があるんですが。」


「なんじゃ? おぬしもか? まあ、言うてみよ。」



「はい。自分は魔王様がドラゴンにやられることはないと思ってます。でも、一匹残らず根絶やしにすると聞いてます。しかもひとりでやるって。


 さ、流石にひとりでドラゴン全部を相手はキツイんじゃないですか? なので、自分も参戦したほうが良いなら喜んで協力します!!!」


「おぬしの忠義には感謝する。じゃがな、心配は無用じゃ。大掛かりな魔法を仕掛ける予定でな。なので、味方が多くても逆に巻き込まれたりする可能性があるんじゃよ。


 まあ、見ておるが良いわ。」


「なるほど。そうなんですね。」


 バックスは返事をした。ちょっと残念そうであった。



『ブレスやギジならともかく、バックスについては行動が読めないところがあるからな。その点でも邪魔になるんだよね。ゴメンね。』





「あと、パステルとその姉にも聞いておきたいことがある。」


「な、なんでしょうか?」


 急に話題を振られたパステルの姉でちょっとびっくりしていた。



「パステルの姉よ。急にすまぬな。それにそんなに硬くならずともよい。その点はパステルを見習うが良い。」


「ちょっと魔王様! それじゃあ、私がいつもめっちゃユルユルしてるって思われるじゃないっスか!


 お姉ちゃんの前なのにヒドイっスよ!」


 パステルからツッコミが入った。それを笑ってごまかすパールであった。



「さて、話を戻すが、おぬしら精霊族は今回の件、どう思っておるのじゃ? あの地には多くの精霊たちが住んでおろう? あ、そういや妖精族とも親交があるよのう?


 ワシらの都合じゃからとばっちりも良いところじゃろうし、正直なところ良くは思っておるまいて?」


「恐れながら、無礼を承知でお答えします。


 まず、妖精族ですが種族同士の親交はありますが、私はバックス様の元で公務させてもらってますので状況はわかりません。


 しかし、妖精族は魔王様よりドラゴンたちのほうに寄っておりますのでもしかしたらドラゴン側に付くものも多いかもしれませんね。


 そして我ら精霊族ですが、この件について昨日大精霊に会ってきました。正直良くは思っておりませんでした。しかし、大精霊もドラゴンたちの内争により森が荒らされていましたのでより複雑な事情です。


 そもそもとして我々精霊族は魔王様に恭順しております。普段より魔王様からは多大にご配慮いただいておりますので、今回の件も魔王様の意向に準じております。


 本日より避難を始めております。」



「なるほど。そうか。それはすまん事だな。


 父上がおぬしらを従えてから従順にしてもらっとるとはいえ、今となってはおぬしら精霊族の献身的な働きがないとこの国がたちゆかんところまで来ておる。


 精霊族とは今後とも良き関係を築いていきたいと考えておるので、この件が片付いたら一度大精霊殿にも詫びを入れに行くとしよう。その後の復興も約束するのでな。」


「その寛大なお言葉、感謝申し上げます。我が大精霊も安心されることでしょう。」






 パールは最後に旧バンパイア領、今はギジが治める鬼族領にきた。早速ギジ達の鬼族の幹部たちに迎えられた。


「魔王様。遠路はるばるご足労いただきありがとうございます。本来であれば私がお伺いしなければならないのですが………。」


「ハッハッハ! 相変わらず真面目な奴よのう。今はワシの命が出ておるのじゃ。おぬしには領内に残って領土・領民の安全を第一にしてもらわねば困るというものじゃ。」



「はい。そこはぬかりありません。どうぞ、安心してお任せください。」


「ふむ。大儀であるぞ!」



「魔王様が各諸侯を御巡りになっている際に、追加で勅命をお与えになっているとお伺いしています。


 私にも何か勅命を下していただけるのであれば全力で対応させていただきます。なんなりとお申し付け下さい。」


「いやはや、なんとも殊勝な心掛けじゃ!


 これは他の者にも言っておるのじゃがのう。この領土もドラゴンどもが住んでいるところと隣接しておる。やつらからの襲撃には充分に注意してくれ。


 それと、ブレスとエルフたちが動物たちを避難させるようにしているので、それを保護してやってくれ。あと、ドラゴンどもの亡命者の受け入れも頼むぞ。」



「謹んで奉勅いたします。その件はすでに配下たちに指令を出していてブレス殿やエルフの皆さんをサポートするようにしております。」


「おお! さすがに仕事が早いな! 大儀であるぞ!」



「はい。他にも何かあれば随時おっしゃってください。それとは別に私もお伺いよろしいでしょうか?」


「なっ!? ギジ、おまえもか? なにやら先が見えるようじゃが………。まあよい、言うてみよ。」



「も、申し訳ありません。お、恐れながら………。


 すでに他の方に質問されているかもしれませんが、ドラゴンとの戦闘の件です。魔王様が後れを取ることなど微塵も考えておりませんが、おひとりでドラゴンすべて殲滅すると伺っております。


 本当に可能なことなのでしょうか? いくら魔王様がお強いとは言え流石に………。」


「あー、やっぱりおまえもかあ! 同じことはブレスとバックスにも聞かれたぞ!


 ワシひとりでドラゴンを全滅させるって盛りすぎじゃと思っとるのじゃろう? しかしな、あるんじゃよ。まあ、この世界の常識では図り知れんじゃろうが、そういう魔法をワシは知っておるんじゃよ。


 しかも、昨日テストもやっておって、うまくいったので問題あるまい。魔法の壮絶さを考えて、逆に巻き込まれる可能性があるのじゃ。だから少数で向かうんじゃよ。


 で、この世の地獄を具現してワシが魔王たるゆえんを再度この全大陸に示そうではないか! ギジも楽しみにしておれ!」


 その後、パールは豪快に笑っていた。






 パールが各諸侯へ廻った後、決戦の時までブレスとエルフが中心となってドラゴンの住んでいる森にいる動物、精霊に妖精、さらに獣たちを避難させることに注力した。


 さらにエルフについては、魔王パールの名代としてドラゴンの中でも穏健派や戦争反対派などに積極的に接触して亡命を促していた。



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 さて、今度はホントのホントにドラゴンとの折衝開始!

 友好関係なのでてっきりうまくまとまるものだと思っていたけど、

 思わぬ予期せぬ展開に進んで行く………。

 これはもうブクマも☆も付けるしかありませんね!

 いや、付けるでしょ?☆もブクマも?

 いえ、ぜひともめちゃくちゃお願います。ほんとにお願いします!☆とブクマ!


 この後の展開もぜひとも楽しんでいってくださいね!



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