ドラゴンに会いに行くぞ!02

 内心は焦り始めているパールであるがそれを悟られないように話を進める。


「いやな、我々もおぬしたちのいざこざに巻き込まれて困っておるのと、おぬしたちも困っておると思って東の領土を解放しようと思ったわけじゃ。それ以上の他意は無い。


 逆に聞くが、おぬしたちのいざこざはどうすれば収まるかのう? あ、バックスの領土以外でじゃぞ?」


「うーん、そうだよなぁ。魔王様が言うように、領土不足が一番のいざこざの原因ですわ。


 森を抜けると人間たちの領土があるけど、あそこに住み着いたとしてもすごい広い見渡しの良い平野部で人間も定期的に来るだろう。それは落ち着かないから嫌だな。」


「そうなると、バンパイア領の一部をもらうかだな? あ、今は鬼の公爵だっけ?」


 ドラゴンたちは各々好き勝手に言う。



「そんなもん、ダメに決まっておろう!」


 パールは一蹴する。



 一蹴されたドラゴンたち、明らかにムッとした表情になっていたが話を続ける。


「であれば、現状維持。ってことじゃないっすかね? さっきも言いましたけどね、我々ドラゴンだって納得していないんですわ。我慢しているんですよ。そこんところを、魔王様も汲み取って貰わないと困りますわ。」


「本当のことをぶっちゃけてしまうとですね、我々ドラゴンの総力を挙げれば人間領、魔王領、どちらかは落とすことだって可能ですわ。


 しっかし、そんなことをしても我々の被害も甚大。誰も幸せになれない。だから我々も我慢しているんですけどね。


 どっちかっていうとこっちも被害者なんですわ。」



 ドラゴンたちの妙に連携の取れた好き勝手な物言いに対して、少しずつ顔が引きつってくるパールである。しかし、なんとか堪えて話を続けるが実際は我慢の限界がきていた。




「いや、ちょっとワシも疲れてきたのかな? なにやら空耳のようなものが聞こえてきたんじゃが?


 まさか、おぬしらが我らと戦って万が一にでも勝てると思っておるのか? ワシらがたかがトカゲごときに後れを取るとでも本気で思っておるのかえ?」



「はああぁ? おうおう魔王様よ。あんたこそ我々ドラゴンと総力戦で戦って無事でいられると思っているんですかい?


 確かに魔王軍に比べると数は少ないですがね、ですが、我々ドラゴンは老若男女問わずすべてが戦闘員。さらに個体の戦闘力が皆相当高いでっせ。


 それに我々も昔に比べて数も増えてますぜ。そうなると魔王領も大損害でしょうし、魔王様もそれなりに負傷するんじゃないですかね?」


「ぬかせ! というか何を言っておるか? 勘違いするでないわ!


 そもそも前提が違っておって、おぬしらトカゲなぞ何匹、何千といようがワシひとりですべてを丸焼きにすることもできるんじゃぞ?」




「えっ? いやいやいや、ハッハッハッハハハハハ―――――――! あああ、おなか痛いわっ! 何言ってんですか魔王様? いくら何でもそれは盛りすぎでしょうよ!


 確かに魔王様の強さは認めてますよ? 我ら1対1であれば絶対に勝てません。そこは謙虚に理解してますよ。曲がりなりにも魔王様に従っている理由になりますからね。


 けどよ、いくらなんでもひとりでオレらの相手なんて、あんまり無茶言ってもシラケるだけだわ。もうちょい現実的なこと言ったほうが可愛げがありますよ?」


「そうそう魔王様。


 もちろん総力戦の全面戦争にでもなったら我々としても複数で囲ませて貰いますからね。3人で、いや余裕をもって5人で魔王様を囲めば討ち取ることもできるってもんですわ。


 あ、これを卑怯とか言わないでくださいよ? 戦争ってことになれば当然の戦術ですからね。


 魔王様を討ち取れば、あとはあの鬼の公爵だけですかね。あの鬼も我々が1対1で仕留められないでしょうから、数人で囲って仕留めることになるでしょうから。


 エルフやドワーフは眼中にないし、吸血鬼たちも今はパッとしないしな。」


 そして、ドラゴンたち4人は大声で笑っていた。




『いやはや、友好的な関係を壊すまいとこっちが下手に出てるからってこいつら本当に言いたい放題だな。


 ここまで言われて黙ってたら逆にこいつらをさらにつけ上がらせるだけかもしれんし、ここは一発でかいことをやって冷え上がらせたほうが良いな。


 もう方針を撤回というか、そもそもオレも我慢の限界だわ。』




 パールはひとつ大きなため息をついた。そしてドラゴンたちに諭すように言う。


「は―――――――。ほんとにクソでかため息がでるわい。あのな、おぬしらが本当に3匹や5匹で我をなんとかできると思っておるのか?


 いやはや舐められたものじゃし、おぬしらがそこまで驕り高ぶっておったとは思わなんだわ。


 先ほどおぬしらは迷惑が掛かっててもそれは自分たちの問題で、嫌ならほかに行けばよいと言っておったな?


 じゃあ、ワシらも同じようにワシらの都合でおぬしたちに迷惑を掛けたとして、嫌ならほかに行ってくれるということで良いんじゃな?


 これだけ侮辱され舐められたのじゃ。魔王の威厳にも関わってくるじゃろうし、ここは良い機会じゃ。全大陸に向けてワシの本気というものを示すのも良かろう。」


 ここでいったんパールは一息つく。ドラゴンたちもパールの雰囲気が変わったのを察知して様子を伺っていた。



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 さて、今度はホントのホントにドラゴンとの折衝開始!

 友好関係なのでてっきりうまくまとまるものだと思っていたけど、

 思わぬ予期せぬ展開に進んで行く………。

 これはもうブクマも☆も付けるしかありませんね!

 いや、付けるでしょ?☆もブクマも?

 いえ、ぜひともめちゃくちゃお願います。ほんとにお願いします!☆とブクマ!


 この後の展開もぜひとも楽しんでいってくださいね!




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