第4章:びっくりだけど鉄板!狼からのお願い

狼からのお願い01

 連続して大変な仕事、というかイベント(出来事)を豪快に解決してきた自分である。そろそろ癒しが欲しくなっていた。


 今日は午前中、公務が無かったのでモフモフするためにゆるフワに会いに行くことにした。ちなみに今回はひとりである。


 っていうか、すっかりゆるフワにはまっていた。




 カチャ。


「ゆるフワはおるかぁ?」




 パールはゆるフワのいる部屋のドアをそっと開けた。おそらく満面の笑顔になっているであろう。その辺はしっかりと自覚している。


 すると、狼はパールの近くに寄ってきて礼儀正しく座った。そして、予想だにしなかったことが起きる。




「お願いしたいことがございます。」


 なんと! 狼のほうから語り掛けてきたのであった。




「な、なんじゃとぉ!? おぬししゃべれたのか? 長い間いっしょにおるが、ぜんぜん知らんかったぞ?」


「えっと、今の状況は厳密に言うとしゃべっているわけではなくて念話に近いものとなります。しかし、言葉を発して会話したほうがわかりやすいですね。


 しばらくお待ちください。」



 その後、みるみるうちに狼は姿を変えていく。そう、もちろん人型に。


 モフモフのケモミミと尻尾の七尾はそのままであったが、もともとの青い目はそのままで吊り目でもなくためれ目でもない大きな瞳。


 身長は180センチくらいはあるだろうか? 狼の時も大きかったので人間になってもそれなりに大きい。


 胸はそこそこあるが、とても細い腰回りでスレンダー系の美人のお姉さんで、服装は着物というか浴衣というかそのようなデザインで片側に大きくスリットがあり色っぽい感じになっていた。


 あと、声もやさしくしゃべり方も上品なので気品にあふれていた。



『な、なんて綺麗なお姉さんなんだよ! これはオレ的にめっちゃツボじゃんか!』


 そう、中の人的にタイプの容姿であった。(そんな情報は不要でした。)




 しばらく見とれていたが、気を取り直してパールは狼に向かって言った。


「い、いやー、これは本当にたまげたな。しゃべれるだけじゃなくて人型にも変身できたのか?」



「黙っていて申し訳ありません。


 尻尾が多いほど知能が高かったり、魔力量が多かったりしますが、おそらく人型に変身できるのは私だけだと思われます。


 そして、お願いの前にお尋ねしたいことがあります。」


「なんじゃろうか?」



「いえ、その間違っていたら大変失礼なのですが、魔王様は人が変わられましたか?

 言い方が難しいのですが、中身がそっくり入れ替わったというか………。」


「なっ、なんじゃと!?」


 ゆるフワがしゃべったことや人型への変身でボーっとしていたパールであったが、その一言で一気に我に返ったようであった。そして話を続ける。




「おぬしにはそんなことがわかるのか? おぬしにそのようにワシのことがわかるということであれば、他にも気が付いている者がいる可能性もあるということか?」


 予想を反して取り乱し気味のパールを見て若干気おくれをする狼であったが、言葉を慎重に選び丁寧に応対する。



「いえ、恐らくそれはありません。


 私のは直接魂を視る(みる)というレアスキルにより違いがわかりました。魔王様は見た目も、魔力の質も変わっておりませんので他の方にはわからないと思われます。」


「なるほど。じゃが、レアであれ、スキルということであれば同じスキルを持っている場合はバレるということにはならんのか?」



「それはそうかもしれませんが、可能性は低いと思います。


 このスキルを持っていて、かつもともとの魔王様の魂の状態を知っている者が対象になると思われますが、私の知る限り、魔王様の知りえる方にこのスキルを持っている方はいませんでした。」


「なるほどな。そういうことであればとりあえずは一安心じゃろうか?


 まあ、儂もそんなスキルがあることを知らんかったからな。スキル自体相当レアなものなんじゃろうな。」




 正直、まだ不安は残るパールであったが、一度は胸をなでおろした。そして、人型になっている狼を再度見つめて話を続けた。



「で、話を戻そうかのう。確かにおぬしが言うように中身が入れ替わっておる。ワシはこことは別の世界の人間であった。


 それをもともとの魔王様が転生の魔法を使用して魂だけを入れ替えたのじゃ。魂のスワッピングとも言って良いかのう?


 その際に記憶に関してはお互いに共有するようにしておる。なので、みんなのことも理解はしているということじゃ。」


「なっ!? て、転生魔法………、ですか!? しかも魂のみのスワッピング?」


 キョトンとしている狼だったが、パールに関してはうんうんとうなずいているだけであった。そして狼は話を続ける。



「転生魔法はレア中のレア魔法として存在することは存じていましたが、魂だけを入れ替えるなんていうのは聞いたことがありません!?


 私の魂を見るスキルなんて霞んでしまいます。でも、そういうことであれば理解できましたし、最近の魔王様の行動とも辻褄が合います。」


「うむ。そうなのじゃ。しかし、このことはくれぐれも内密に、この世界のトップシークレットで頼むぞ。


 もし、バレるようであればおぬしを消さねばならぬこともあるのでな。まあ、こんなこと普通は誰も信用せんと思うがな。」



「も、もちろん心得ております。このようなこと他の人には言えません。」


「うむ。よろしく頼むぞ。


 でじゃ、わざわざ自分の正体を明かしたり、ワシの正体を暴いたりしてきたのじゃ。相当な頼みごとになるんじゃろ?」



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 思わず茶番のような戦闘をこなし、それでもバンパイアたちの心を掴んだ魔王様。

 次に目指すはドラゴンとの折衝!

 かと思いきや、思わぬイベント発生。

 これまた鉄板の展開だが!

 これはもうブクマも☆も付けるしかありませんね!

 いや、付けるでしょ?☆もブクマも?

 いえ、ぜひともめちゃくちゃお願います。ほんとにお願いします!☆とブクマ!


 この後の展開もぜひとも楽しんでいってくださいね!




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