ジルド(元)公爵領へ向かうぞ!05

 暫くしてバンパイア城の玉間に戻った。そしてパールは最初の話の続きを始めた。



「さて、なにやら茶番を挟んでしまったようになったが話を戻す。先日、元領主のジルドはワシに不敬、反逆の疑いにより処刑した。


 内容が内容なだけに、さすがに新領主をこの地から選出することは叶わぬ。よって、ここの新領主にギジをあてがうことにした。


 とまあ、決めたのは良いのじゃが、おぬしたちの事情も多少は理解しているつもりじゃ。ワシとて皆には気持ちよく働いてもらいたいと思っておる。


 何かあれば言ってみよ。恩情を与えてやることもできる。」



「恐れながら魔王様。こちらについて進言させてください。」


 パールの言葉に内務卿が言葉を出した。



「うむ。よかろう。」


「ははっ。魔王様が新しい領主にオーガ殿を立てるということについては賜りたく存じます。しかし、我々はオーガ殿の配下に加わらなければならないでしょうか?


 魔王様も先ほどご配慮いただきました通り、我々吸血鬼と鬼どもとは相容れぬ関係。同格というのならともかく、配下ということであればここで全員自害する所存であります。


 もとより同格であったとしても、のちに問題が発生して、しいては魔王様にも多大なご迷惑をかけることは目に見えております。」



「ななっ? ギジよ。おぬしも嫌われたものよのう。いったい何をしたというのじゃ?」



 パールのボソッとした言葉に割り込むようにギジも発言する。


「魔王様。発言をお許しください。」


「なんじゃ?」



「はい。バンパイア殿がそのようなことを言うのであれば、我々としてもとてもじゃありませんが、うまくやっていくことは叶わないでしょう。


 私からも魔王様の恩情をいただけないでしょうか。」


 そう言ってギジは深々と頭を下げた。



「なんじゃなんじゃ? 揃いもそろって言いたい放題。本当にわがままな奴らじゃなあ。」


 パールは困った表情で言ったが、それには目もくれず、ギジも内務卿も頭を下げていた。完全にパール待ちの状態である。



「しかし、優秀なおぬしたちに自害されたり問題を起こされて困るのも事実じゃ。具体的にワシはどうすれば良いじゃろうか?」



 この言葉に対して内務卿が発言する。


「もったいなきお言葉です。恐れながらお言葉に甘えさせていただきます。


 我ら吸血鬼族に関しては、ジルド様と盟友関係にあるマリー公爵の配下に移ることは可能でしょうか?


 また、獣人・獣魔などたくさんの領民がここにおります。彼らはこの地に残ることになりますが、迫害に逢わぬように配慮いただきたいと存じます。」




「ふむふむ。よかろう。了とする。


 残る者たちに関しても儂に忠誠を誓う者たちは家族である。ギジが不要な迫害をするようであれば元より法で裁かれることになる。


 安心せい! マリーの配下でも活躍を期待しておるぞ!」



「多大なるご配慮、痛み入ります。受けた恩情決して忘れません。今後はそれ以上魔王様と領民のために働きたく存じます。」


 そう言って内務卿はさらに頭を下げた。他のバンパイア貴族たちについても頭を下げていたのであった。



「うむ。期待しておるぞ! あ、そうじゃった。忘れておった。ワシからひとつ良いかのう?


 現在バックスの領内で人間どもと抗争中なのは知っておると思うが、おぬしたちからまとまった数の人材を出してもらえんかのう?


 バックスと協力して人間どもを追い出してやってほしいのじゃ? もしかしたら武勲に一番近いかもしれぬぞ?


 どうじゃろうか?」


 パールの言葉に今度は軍司令長官が答えた。



「承知しました。魔王様には不甲斐ないところをお見せしましたが、もともと我らも戦闘は得意なんです。


 最近は特に実戦も無くて腕がなまっていたところです。必ずや戦果を挙げてお役に立つところをご覧に見せます。」



「大儀である。心強い限りじゃ。


 ギジも人員が総入れ替えとなって軍も内政も再編せねばなるまい。始めはバタバタするかもしれぬがこの地のことは領主になるおぬしに一任するのでな。


 新しいこの地で一層励むが良い。」



「もちろん承ります。我々としても因縁があるのはバンパイア殿のみ。他のこの地の先住民の方々には敬意しかありません。


 私の領民と、この地の先住民と合わせてさらなる発展を遂げて見せましょう。」


「おおおぉ! こちらも心強いではないか! よろしく頼むぞ。」






『いやー、なんか変な戦闘もすることになったけど、まあ、楽しかったし、バンパイアや獣人たちも従属してくれたようなのでよかったよかった。


 これにていったんは表面的に噴き出していた問題は片付いたのかな?


 今後は組織的により一層まとまって問題解決していけば良いんだろうけどね。まあ、もしかしたら問題は都度都度でるだろうし、それはそん時に考えるしかないな。


 さて、次は友好国というか、国じゃないんだけどドラゴンたちの懸念がある。確かにあいつらは最近調子に乗りすぎてるからなあ。これ以上問題になる前につぶしておくとしよう。


 うーん、もうひと踏ん張りだな! がんばんないと!!』



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 跪いてイベントを無事にこなし、公爵をひとり失ったが、

 なんとか他の公爵の人心掌握に成功した魔王様。

 バンパイア領へギジと向かうのだが、これもお約束の展開が待っている!

 これはもうブクマも☆も付けるしかありませんね!

 いや、付けるでしょ?☆もブクマも?

 いえ、ぜひともめちゃくちゃお願います。ほんとにお願いします!☆とブクマ!


 この後の展開もぜひとも楽しんでいってくださいね!




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